郡司芽久のレビュー一覧
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哺乳類の首の骨(頸椎)の数は決まっていて、猪首と呼ばれるほど首がないイノシシでも、長い首のキリンでも頸椎の数は七つと決まっていて、不変だ。
でも、本当にそうだろうか?あんなに長い首を持っていて、他と同じで生きていけるのか?
小さい頃からキリンが大好きで、東大に入ってぼんやりとキリンの研究をしてみたいと考えていて、経験のないママ見よう見まねで動物園で死亡したキリンの解体を経験し、そのまま正月休みも返上し、30体以上のキリンを解体・解剖して、キリンの首には8個目の頸椎の役割をする骨がある事を発見した筆者の、キリン好きがキリン博士になるまでを描いた自伝的研究史。
キリンという、幼児でもその名前を -
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「自ら理論立てて考える人でなければ、優れた観察者にはなれない(チャールズ・ダーウィン)」
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世界一キリンを解剖している(かもしれない)著者による、キリン解剖記なる本。
しかし、最初から順調な解剖が出来たわけでは、もちろんない。
はじめは「解剖」ではなく「解体」だ。極端に言えば、バラして肉を削ぎ落としていくのが解体で、知識と技術を持って行うのが解剖だ。そして、はじめての「解剖」にいどんだキリンが、(僕にとって何か因縁があるが、本書の流れではそうでもない)僕も見たことのある、地元浜松動物園のキリン、ニーナなのであった。
ところが著者は、このキリン解剖を、一人で初めて行った故か、 -
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観察が上手い人は「ノミナを忘れよ」をやっている
キリンの解剖に青春を捧げた女子大生の研究ストーリー。この本以降、研究者が研究史と自伝を重ね合わせて語るエッセイが多数出版されていることからして、バカ売れしたんだと思う。
ストーリーも面白いし、学びもたくさんあって、中でも自分が一番印象的だったのは「ノミナを忘れよ」という言葉が出てくる場面。
著者が希少なキリンの遺体解剖で、どの部分がなんという名前の筋肉かわからず、ただバラバラにしてしまっただけで何の成果も得られなかったという苦しい局面で、先輩研究者から言われて救いになったのがこの言葉だという(ここら辺うろ覚え)
ノミナはラテン語で「名前」 -
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キリン解剖がとても面白く、著者のファンになったのでとても楽しみに読みました。
解剖学を通じてキリンを研究されている著者が、体内の各器官(肺、心臓、皮膚、腎臓など)について、器官ごとに章でまとめて、人や他の動物での働きの違いを比較したり、その進化の過程をひもといていく構成。
おそらく研究者になるまでに膨大な勉強をして得た知識の一部なのだろうと、改めて研究者の方々に対し敬意を感じる。当たり前だけどキリンの研究するためにはキリン以外の知識も必要なんですよね。
織り交ぜられる豆知識(キリンがむちゃ高血圧。サメの肉はなぜアンモニア臭いのか。鳥類のおしっこの秘密など。。)も興味深いし解説がわかりやす -
Posted by ブクログ
筆者は、キリンを専門にする比較解剖学の先生。ので、キリンが出てるんだな。
個々の生物のパーツを比較することで、進化を考察する。色々と面白い。草食動物は自分が消化できないセルロースを分解するのに微生物を飼っているが、それを、胃に住まわせてるのと、大腸に住まわせてるのがあるんだって。質をとるか量を取るか、そんなところでも変わっていく。
一般向けのエッセイみたいなもんで読みやすく面白かった。
淘汰とか適応とかいうけど、要は、絶滅するほどのハンデではないってことか。
キリンの首が長いのも、ツノも、自然淘汰でどう説明するかっていうのは定説ないらしいが、性的選択から、ようは、メスがそれを好んだだけなんじゃ