あらすじ
高血圧なキリンの心臓、物をつかみにくい猫の手……生き物に「ざんねんな進化」はない!
ヒトとキリンは似ている動物? 見た目はまったく違うけれど、じつは骨格の構造や赤ちゃんの育て方など共通点も多くある。似ている部分に注目すると、複雑な進化の仕組みを理解しやすくなる。生き物の成り立ちを知るうえで「比較」は最も重要なのだ。手足、首、皮膚、心臓など8つの器官を通して、さまざまな動物の体に刻まれた進化の歴史をひも解く。
「キリン博士」こと人気解剖学者によるユニークな進化の話!
はじめに――解剖からひも解く生き物の進化
第1章 肺 息苦しい水中への対応策
第2章 手足 手のひらを返すヒト、返せないキリン
第3章 首 頭と肩に挟まれた隙間
第4章 皮膚 外から支える偉大な「臓器」
第5章 角 その不思議な魅力
第6章 消化器官 たくさん食べるか、無駄なく消化か
第7章 心臓 はるか遠くへと血液を運ぶ旅
第8章 腎臓 「毒」の排出を担う器官
第9章 呼吸器 酸素の取りこぼしを減らす工夫
第10章 進化とは妥協点を探ること
あとがき――自分の体を知ることは
*電子書籍版ではイラストをカラーで収録しています。
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Posted by ブクログ
色んな動物の進化や違いについてわかりやすく説明。
腎臓が3つのフィルターで濾過しているのは初めて知った。
こんなに若い女性が執筆しているのは驚きだった。
Posted by ブクログ
半回神経の話と腎臓についての話が好き。
テーマとなる臓器の仕組みのわかりやすい解説と、それが異なる種の間でどのように運用されているのかが多く紹介されていておもしろかった。
ヒトを含む哺乳類より原始的な構造を持っていたり、人間からすると非合理な構造であっても、それが劣っているというわけではないことが丹念に書かれていて非常に良い本だと思った。
Posted by ブクログ
キリンや他の生物とヒトの身体構造比較について分かりやすく解説している。
一般的にキリンの膝関節と思われているところは実はヒトのかかとにあたる。キリンの膝関節は足の付け根付近にある。
という話が衝撃だった。超長い足裏ですね
Posted by ブクログ
生き物を解剖することで解るのは“違い”。
構造の違い、進化の過程で変化した違い。見た目も違う。
だが、同じ哺乳類である共通点も存在する。
「からだ」を題材にした動物の解剖学エッセイ。
・はじめに――解剖からひも解く生き物の進化
第1章 肺 第2章 手足 第3章 首 第4章 皮膚 第5章 角
第6章 消化器官 第7章 心臓 第8章 腎臓 第9章 呼吸器
第10章 進化とは妥協点を探ること
・あとがき――自分の体を知ることは
column、参考文献有り。
キリン博士が語る生き物の進化論は「からだ」が題材。
見た目は違うけど、同じ哺乳類である共通点があったり、
魚類など異なる種族にも痕跡が残っていたりする。
肺呼吸とエラ呼吸。手足の構造と魚のヒレ。ひずめと爪。
首のはたらきと骨。皮膚は体を守る臓器。
ヒトとキリンの四肢の皮膚の弾力の違い。
独自の進化を遂げた5種類の角。
消化器官に微生物を宿す動物と反芻。
心臓からの血液の循環とキリンの高血圧。
小さな腎臓の大きな役割。
体内水分での海水魚と淡水魚の違い。
首が長いと気管も長い。鳥の気嚢と魚類のエラ。
進化って面白いなぁ。
どの生物も悠久ともいえる中での環境の変化に伴い、
如何に食を得るか、生活を対応できるか、子孫を残せるかの、
試行錯誤の進化を歩んできたのかが、それぞれの比較で解る。
いまあるものを何かに活用したことでの変化。
ある種では発達した気管が、ある種では痕跡として残る。
肺とうきぶくろの関係には驚かされました。
また、添えられたイラストが分かり易いし、
著者の焼肉屋の食材の例えが楽しかったです。
食べるときにフワは肺、ギアラは第四胃と確認しそうです。
それと「鬼滅の刃」の禰豆子の角はウシ?「もののけ姫」の
シシ神様の角は鹿?と推測したのも著者らしいかも。
Posted by ブクログ
最近動物園に行ってキリンの舌を見てその黒さにびっくりしたが、その理由が書いてあって納得した みんな同じに見える動物のツノとか、それぞれの違いの説明があって楽しく読めた本だった
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以前読んだ著者の「キリン解剖記 」がとても良かったので、迷わず即購入。
前作でキリンについて新たに知ることは興味深かったし、長年の謎が解き明かされるシーンや母親とのエピソードには感動しました。
本作は、キリンと他生物・人間とを比較しながら生物の身体を解説し進化について易しく教えてくれます。
「へ~!」がいっぱい詰まった1冊。
キリンのことだけじゃなく、新たに知ることがたくさんで好奇心を刺激されました。
それに著者の考えや思いに触れ、お人柄もうかがえる。彼女から語られる言葉は心に響いてきます。
動物園や博物館に行く前に読んでから行きたい!
おもしろかった。
『細かく“解き剖ける”ことは、何かを深く理解し、魅力を知るには最良の方法だ。そして、何かを知ることは、好きになることの第一歩だ』
『誰もが知っているあたりまえの知識は、かつて誰かが自身の一生を捧げて明らかにした発見である。そして、いままさに明らかになりつつある知見や、新たに使われるようになった技術も、どこかの誰かが人生を賭けて取り組んでいる研究の成果なのだ』
Posted by ブクログ
郡司さんの著作はキリン解剖記に続き二冊目だ。
キリンに特化しているわけではなく、生物の部位ごとに、生物ごとの比較をして進化の過程の理解を促す良い一冊だった。解剖は、体を理解するための、そしてもう少しだけカジュアルな学問になっても良いのになと思う。その生物特化の話ではなく、自分の体の理解のためにも学んで損はないものだ。
反芻の仕組みを持つものと持たないものの見分け方や、腎臓の尿素の電気的なフィルター、エラ呼吸の効率化、あとはガス交換に関与してない気管がデッドスペースと呼ばれることなど知らないことも知れて大変ほくほくである。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに~解剖からひも解く生き物の進化
第1章 肺~息苦しい水中への対応策
第2章 手足~手のひらを返すヒト、返せないキリン
第3章 首~頭と肩に挟まれた隙間
第4章 皮膚~外から支える偉大な「臓器」
第5章 角~その不思議な魅力
第6章 消化器官~たくさん食べるか、無駄なく消化か
第7章 心臓~はるか遠くへと血液を運ぶ旅
第8章 腎臓~「毒」の排出を担う器官
第9章 呼吸器~酸素の取りこぼしを減らす工夫
第10章 進化とは妥協点を探ること
<内容>
NHKのウエブマガジン「キリンと人間、どこが違う?」を大幅に加筆訂正をしたもの、もとは大学での講義録らしい。本職は解剖学だが、この本は生物の各器官の役割をわかりやすく紹介しながら、進化についてもふれるという良書だと思う。生物の教科書的な本。
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キリンの膝ってどこにある?の章 キリンの足の真ん中には,私たちの膝とは逆方向の"くの字”に折れ曲がる関節が存在するが、じつはそこは膝ではない。「かかと」である。関節のすぐ上をよく見ると、うっすらと浮き出たアキレス腱を見つけることができる。彼らは長い足の裏をもち、かかとを上げてつま先立ちで生活しているのだ。
では膝はどこにあるのだろうか?彼らの膝は足の真ん中あたりではなく、もっと胴体に近い部分にある。お腹と同じくらいの高さだ。私たちの足は長さの半分ほどが太腿だけれども、キリンの足は半分が足の裏なのだ。
本文中に繰り返し語られるのは、生き物に残念な進化はないということ。生存に有利であれば、目的さえ達成されていれば、やり方なんて何でもいいんだよ。進化の答えは一つだけではないのだと言うことだ。
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比べて分かるというコンセプトで説明された進化の解説書はそんなに多くないのではないか。ましてや本書のように平易な文章で書かれ、初心者にも優しい本となるとますます出会うのが難しいのではないだろうか。
そんな奇跡の組み合わせの本。
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キリンのタイトル、キリンの絵が表紙に載っていると言っても、キリンのことだけでなく、哺乳類、魚類、鳥類等動物のからだの仕組みを、機能や進化の観点で説明してくれる。
説明されているからだのパーツは、肺、手足、首、皮膚、角、消化器官、心臓、腎臓、呼吸器。それらの機能が、動物によって違いがあるとか、同じだとか、一般の人にも分かる内容で書かれてあるので、取っつきやすくなっている。
キリン、馬、ダチョウなど、脚の真ん中辺りにある関節って、膝かと思ったら、実はかかとであったり手首であったり。
で、その下と言えば、足の裏や手のひらなのだと。
骨格を見ると、その仕組みが分かるようだが、なるほど。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙でキリンのお話かと思ったら,キリンだけではない生物の進化のお話.様々な動物を例にして人間とも比べながら肺から手足,首など色々な器官の進化の紹介.
へぇ,ほぉと驚きの事実が満載で,わかりやすく面白かった.
Posted by ブクログ
読みながら、へーと思ったところに付箋紙を着けてたら付箋紙だらけに。
かかとと膝の位置。
ヒトの大腿骨は10度ほど傾いている。
手足のもとは、胸ビレと腹ビレ。
大人のキリンの首は、ほぼ横綱白鳳。
ゼノケリクス・アミダラエはスターウォーズ
のパドメ・アミダラから命名。
5種類の角、サイの角・シカの角・ウシの角
キリンの角・プロングホーンの角。
キリンは生まれたときから角をもつ唯一の哺乳類。
ペリカンの下顎
面白いー!
だけでない。
母親が熱中症で入院した時、腎臓がダメージをうけて3ヶ月の療養になったのは、
「スポーツドリンクや塩飴、麦茶は嫌い!」
「味が嫌いなの!」
と
「私は、水や緑茶を飲んでるから平気!」
と、
いくら危険だからと説明しても、ダメで、
倒れて救急車。
暑いなかの病院通いは、大変だったなぁ~
作者の一番好きな腎臓の話は、世の中の人、全てに読んでもらいたい!
そして、「ミネラルの濃度を一定に保つ」
ことの大切さを学んでもらいたい。
夏場のテレビニュースで、熱中症で倒れて救急車で搬送。と聞くたびに思います。
水分を取ればもとに戻れるわけでなく、母は
腎臓が壊れ、そこから心臓が悪くなりと内臓に悪さが波及しました。
あとがきで作者が、「本書が自分自身の体について改めて考えるきっかけとなっていれば
とてもうれしく思う。」と
はい。ありがとうございます。
とても、勉強になりました。
Posted by ブクログ
生物の進化、身体の仕組みに関心があり、また以前から著者のことも気になっていたので発売日に購入。
タイトルにキリンとあるが、キリンを主軸にヒトを含む幅広い動物について取り上げられている。
読みやすく、全く知らなかった生物の進化、身体の不思議についてたくさん触れられて楽しい本だった。
著者も最後に述べていたが、身体に起こる不調や変化がどのようなメカニズムで何のために発生しているかを俯瞰的に知ることで、身体の弱かった自分を認めることと、自分を大切にすることに繋がると思った。
また、身体の構造的な知識も得られて、通っているピラティスで指導される内容がより理解できそうだなあと思った(腹式呼吸と胸式呼吸の差や、ヒトの肺には筋肉がなくて、周りの肋骨や横隔膜を動かすことで結果的に呼吸に繋げている、など…)。
キリンは首を長くした結果、血圧を非常に高くする必要があったし、首の血管を細くする必要もあって良いことばかりじゃなかったとのこと。
自分は体格に対して首が長くキリンに元々少し親近感があったのだが、肩こりや冷えなど長い首によるデメリットの方が多く感じていたのでより親近感を抱いた。
最後に、退化も「進化の一部」であること、そして進化は必ずしも効率化を目指したものでなく、そのものが置かれた環境で生き延びるために生まれた変化であるという著者の主張に勇気づけられる気がした。
Posted by ブクログ
他の生物と比べることで見えてくる動物の進化の歴史。色々な動物が進化して手に入れた身体の構造に『ざんねん』はないのだ。それぞれが生きやすい無駄のない構造をしている。だから世界は面白い。
Posted by ブクログ
キリン解剖がとても面白く、著者のファンになったのでとても楽しみに読みました。
解剖学を通じてキリンを研究されている著者が、体内の各器官(肺、心臓、皮膚、腎臓など)について、器官ごとに章でまとめて、人や他の動物での働きの違いを比較したり、その進化の過程をひもといていく構成。
おそらく研究者になるまでに膨大な勉強をして得た知識の一部なのだろうと、改めて研究者の方々に対し敬意を感じる。当たり前だけどキリンの研究するためにはキリン以外の知識も必要なんですよね。
織り交ぜられる豆知識(キリンがむちゃ高血圧。サメの肉はなぜアンモニア臭いのか。鳥類のおしっこの秘密など。。)も興味深いし解説がわかりやすく納得。いざという時?理由付きで披露できそう(笑)。
前作と同じくわかりやすい解説に読みやすい文章。中学生でも理解できるし楽しめる一冊と思う。
Posted by ブクログ
キリンは不思議で面白い動物だな、と昔から思っていた。
そのキリンの体の仕組みを少し垣間見れる。
進化の面白さを感じることができる。
生き物って、すごいな、面白いな、人間もその中の一つなだけで、唯一優れている、というわけでは決してないんだよな、と改めて感じた。
【memo】
カモノハシは卵を産むが、哺乳類。
Posted by ブクログ
キリン解剖記も面白かったけれど、今度は私たちヒトの中身についてもあれこれ比較して理解できる内容。普段見えている臓器は皮膚ばかりだが、私たちを支えているのは紛れもなく中身なんだと実感がわく。
そういえば、やけどして自宅療養していた時に皮膚や外科医の本「はたらく細胞」のアニメを見たりしたことを思い出した。普段意識しなくても体の中身は休む暇もなく働いているんだなぁとケガをして改めて感じたのだった。
Posted by ブクログ
筆者は、キリンを専門にする比較解剖学の先生。ので、キリンが出てるんだな。
個々の生物のパーツを比較することで、進化を考察する。色々と面白い。草食動物は自分が消化できないセルロースを分解するのに微生物を飼っているが、それを、胃に住まわせてるのと、大腸に住まわせてるのがあるんだって。質をとるか量を取るか、そんなところでも変わっていく。
一般向けのエッセイみたいなもんで読みやすく面白かった。
淘汰とか適応とかいうけど、要は、絶滅するほどのハンデではないってことか。
キリンの首が長いのも、ツノも、自然淘汰でどう説明するかっていうのは定説ないらしいが、性的選択から、ようは、メスがそれを好んだだけなんじゃないかという気もする。首が長い方が、モテたんだよ、きっと。