元ライターです。
膨大な取材量かつ非常にわかりやすい文体。神奈川新聞記者の能力に感動。
植松聖を通して、社会の問題と矛盾を突いた一冊です。
・「生きる価値なし」と命の選別をした植松は、生きるべきではないと死刑をくだす矛盾。
・世間では命の価値は平等と謳いながら、出生前判断で染色体異常が見つかると9
...続きを読む割は中絶する矛盾。
・障害がある人にとって必要な支援が受けやすいようにする特別支援学校が、健常者と障害者の分断を促進しているというジレンマ。
「どうして優生思想に傾倒していったのか」を裁判で掘り下げなかったことは、第二の加害者を生む問題に繋がりかねない。
我が心にもいる小さな「植松聖」と向き合わなければ、差別や偏見の呪縛から抜け出せないだろう。