神奈川新聞取材班のレビュー一覧

  • やまゆり園事件

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    1996年7月に起きた障害者施設での殺傷事件のルポタージュ。
    事件の経過、犯人との接見、被害者家族の感情、障害者福祉の現状など丁寧な取材が書かれていました。

    当時のニュースを見て、秋葉原通り魔殺人事件、神戸連続児童殺傷事件など、何度も起きている殺人事件の延長で捉えていたと思う。理解不能な極端な優生思想によって起きた事件、気の毒だけれど自分の日常からは離れた所で起きた事件と認識していました。

    「優生思想を突き詰めると能力主義にたどり着く」文中に出てくる言葉。現代社会ではあらゆる場面で生産性、効率化、能力を測る言葉を目にします。自分は上手くできない人々に苛立ち排除しようとしていなかっただろうか

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    2025年07月06日
  • やまゆり園事件

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    やまゆり園事件の取材から、社会のあり方とは?を考えさせられる本。単なる異常者の犯行ではなく、日本社会の病理を浮かび上がらせる。答えを提示するのではなく、各々が考えるきっかけになる。全人類に読んでほしい。

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    2023年05月06日
  • やまゆり園事件

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    この事件をきっかけに浮き彫りにされる様々な矛盾と、社会としての問題を改めて実感させられた。
    障害福祉に携わって来た人間として、とても読みごたえがあり、考えさせられるものだった。

    子どもたちが、障害者と当たり前に共生出来る社会を作っていけるような行動を私たち大人がとっていかなければいけないと思う。

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    2022年11月12日
  • やまゆり園事件

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    ネタバレ

    2016.7.26未明、神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され職員2人を含む26人が重軽傷を負わされた、元職員植松聖による事件は記憶に新しい。事件の概要、植松聖という人物について、匿名での裁判のほか、優生思想、障害者(児)の教育や暮らしの問題などについて書かれている。事件後、そして現在でも植松の行為について称賛的な意見が少なくないのは事実。以下本文より(P337) 「当事者は差別されている存在であることを自覚した上で差別に対してもっと声を上げていく必要がある。一方、健全者(健常者)は自らが障害者を差別する存在であることと向き合うべきだ」(p356 ) 「地域に密着した生

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    2022年08月18日
  • やまゆり園事件

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    元ライターです。
    膨大な取材量かつ非常にわかりやすい文体。神奈川新聞記者の能力に感動。
    植松聖を通して、社会の問題と矛盾を突いた一冊です。

    ・「生きる価値なし」と命の選別をした植松は、生きるべきではないと死刑をくだす矛盾。
    ・世間では命の価値は平等と謳いながら、出生前判断で染色体異常が見つかると9割は中絶する矛盾。
    ・障害がある人にとって必要な支援が受けやすいようにする特別支援学校が、健常者と障害者の分断を促進しているというジレンマ。

    「どうして優生思想に傾倒していったのか」を裁判で掘り下げなかったことは、第二の加害者を生む問題に繋がりかねない。

    我が心にもいる小さな「植松聖」と向き合わ

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    2021年01月13日
  • やまゆり園事件

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    誰にでも優生思想はあるということを再認識した。読んでいる中で植松聖に共感できるところが多かった。
    犯行の内容、裁判の内容、彼の意見や被害者の意見が詳しく書かれていてとても面白かった。

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    2025年07月14日
  • やまゆり園事件

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    事件についての詳細と、加害者や被害者の思考や、とりまく環境なども詳しく書かれていて、誠実で丁寧な内容でした。(丁寧すぎてちょっと長いけど)

    また、優生思想についての問題も多く語られており、事件を通して障害を持つ当事者の差別問題も知れて大変勉強になりました。

    優生思想については、両者の言い分のどちらにも正がある難しい問題だと思うので、反優生論のみではなく、より中立的だとより良かったのではないか。

    近年の反差別や平等などの思想が一人歩きして、生活レベルでの実利との差が開きすぎて生まれた事件のような気がしました。

    差別に対する怒りも理解出来るけど、平等が正当であるという、確固たる理由もないと

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    2025年03月09日
  • やまゆり園事件

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    凶悪犯罪者に関する書籍で最も深かったと思う。快楽殺人ではなく、信念を持った犯行であり、植松死刑囚の問いかけは万人に通ずるし考え続けないといけない。特に京アニとの比較、被害者の記号化は考えさせられた。

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    2024年04月17日
  • やまゆり園事件

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    個人による日本における大量殺人事件「やまゆり園事件」。元職員の男がなぜこんな凄惨な事件を起こしたのか、だけにとどまらず、この社会に潜む病理に切り込んだ一冊。

    確かに犯人・植松の思考は、常人のそれとは違う。でも、異常者と言えるほど、突飛な発想ではないようにも思える。特に、障がい者の家族のしんどさや職員の疲れた様子を鑑みて、それを軽減させたいという思いはなんとなくわかった(だからと言って、勝手に命を奪ったり傷つけたりするのは言語道断だが)。でもこれが現実なんだろうなと。

    そして、奪われて良い命などないという原則によって行われている裁判のはずが、死刑を求刑している(命をうばいにいっている)のが、

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    2023年12月17日
  • やまゆり園事件

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    202208/事件と犯人についてのドキュメンタリーだけでなく、後半はグループホーム建設や地域の無理解・差別等についても言及されていて、思ってたのとは違う1冊ではあったが読み応えあった。やまゆり園事件の犯人のような命のジャッジはあってはいけないと思うのに、この事件に限らず酷い(と自分が思う)事件の犯人に対し死刑が妥当と思えてしまうという自分もジャッジしているパラドックス…。

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    2022年09月14日
  • やまゆり園事件

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    インクルーシブ教育といいつつ、地域に知的障害者の施設は作らないでと言う。
    植松がネット上では正しいと考える人が、とてもとても多くいることが分かる。
    自分はどうか、読んでいてずっと自問自答させられ、答えが出ないような気持ちになった。
    一つ不満は、入居者、家族への言及はたくさんあったが
    施設従業員への言及は少なかったように思う。介護のブラック労働かつ低賃金を無視して、この問題が進むとは思えない。

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    2022年03月21日
  • やまゆり園事件

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    人の尊厳を、
    その生産性や効率性といった主観的合理主義からのみ測るのは虚しい。
    理屈では語れない愛おしさが、
    生命にはあると信じている。

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    2021年05月24日
  • やまゆり園事件

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    狩猟生活から農耕生活。農業から工業。機械制御、電子制御、AI。進化とともに人は自らが生産しなくてもよくなる。と同時に文化を発展させ心が豊かになる。書籍や絵画では飢えや風雨を凌げないが、遠かった存在の思いが身近に感じられる。人自身が生産しなくてもよいために生産性はある。人には生産性は求められない。生産性はデフレで調整され減らされる。莫大なお金がかかるものこそ今の日本に必要なのだ。重度障害者の存在こそ必要なのだ。その思いを身近に感じることで文化も発展する。お金は無限。生産性は人が消費することで向上するもの

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    2020年09月13日
  • やまゆり園事件

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    ネタバレ

    ずっと気になっている事件だった。「重度の知的障害者には生きる価値がない」という植松の主張への、明確な反駁を知りたかったからだ。人間の命の価値とは何か、という点に踏み込んで論じるものではなかったが、読みながら自問させられることも多かった。
    本書の前半は、植松の生い立ちや凶行の顛末、遺族の心情や裁判など、やまゆり園事件という具体的事例について。後半は、優生思想や障害者を排除する分断社会、インクルーシブ教育などについて、日本の現状を解説している。
    後半は、高度経済成長の中で生産性が重視され、障害者の隔離や不妊手術が行われてきたこと、対して80年代からの当事者運動の発展などにも触れられ、読み応えがあっ

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    2024年11月01日
  • やまゆり園事件

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    本の概要
    2016年7月26日、知的障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が死亡、26人が重軽傷を負った「やまゆり園事件」。犯人は植松聖、当時26歳の元職員だった。なぜ彼は「障害者は生きるに値しない」と考えるに至ったのか。地元紙記者が、37回の接見ほか丹念な取材を続け、差別を許容する現代日本のゆがみを浮き彫りにした渾身のドキュメント。

    植松の犯行を行う前の状態や行動・言動までよく取材をされて書かれています。
    ただ、後半の亡くなられた方のご遺族やら周りの皆様、亡くなったご本人の思い出や会話が何人分も記載されており、後半読めずにおりました。大変胸の痛い事件で、何て言葉にしたらいいのか分からない。

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    2024年02月28日
  • やまゆり園事件

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    ★★★
    今月2冊目
    かの有名事件。
    喋れない障害者は世の中に必要ないと19人殺害、26人負傷させた植松。その動機背景は。
    この本後半はだらだらでいらん

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    2024年02月02日
  • やまゆり園事件

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    日本史に残る個人による大量殺人事件。
    植松死刑囚がナチスのような選民思想というか大麻でネジが緩くなっていたのかは不明だが自意識過剰である事は疑いない。事件前に精神病院での退院をクリアしている辺り事件を起こして精神異常を訴え再度退院して娑婆に出ようと考えていたのではあるまいか。どちらにせよ彼にとっての格上でなく格下の人間を殺すという行為は卑劣卑小の極みであろう。本書の語録からは無感覚なものを感じるが死刑を迎えるその日にどの様な心境になるか…。
    被害者が植松曰く「劣ったもの」として扱われ本名すら明かされない報道やこの事件をどう捉えて乗り越えていくか迄に筆は及んでいる。

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    2023年08月27日
  • やまゆり園事件

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    ネタバレ

    植松聖の動機は結局わからないという印象を抱く人が多いが、本人から説明されつくされているが理解できないという印象をいだいた。
    この本を読んで衝撃だったのはメディアが被害者の実名報道にとても固執していること。実名報道が通例なのだとされているけど、筆者である神奈川新聞取材者が書いてある通り、被害者家族はメディアスクラムを恐れていた。
    その気持ちを無視して知る権利という、主語が曖昧な権利を主張するのは、なんというか怖かった。
    報道されることで、周りからの目線、取材攻勢、あるいは施設に入れてしまったという後ろめたさを抱えながら生きてきたことに直面する辛さ、肉親が殺されたばかりの被害者家族をそういった状況

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    2023年06月22日
  • やまゆり園事件

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    ヤマユリ園事件を長期に亘って取材した良書!ただ重度障害者にとって地域共生社会実現へのハードルの高さを思い知らされた感じ!

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    2022年12月29日
  • やまゆり園事件

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    神奈川新聞取材班『やまゆり園事件』幻冬舎文庫。

    2016年に知的障害者施設で起きた悲惨な殺傷事件と犯人の心の内側に迫るドキュメンタリー。と、思って読み始めるが、事件と犯人の人物像に迫るのは前半のみで、犯人の心の闇が明らかにされることもなく、いつの間にか障害者問題を描くノンフィクションへと変貌してしまう。

    再び、事件と犯人のことについて言及されるのかと読み進めるが、そういうこともなく、消化不良気味に完結してしまうのだ。

    2016年7月26日、当時26歳の元職員の植松聖が知的障害者施設『津久井やまゆり園』に浸入し、19人を死亡させ、26人に重軽傷を負わせた最悪の殺傷事件。

    植松は「障害者は

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    2022年08月05日