遠藤慶太のレビュー一覧
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六国史の内容を要約した本、ではない。六国史が作成された理由や編纂者たち、そしてその時代状況、さらには六国史がいかに受け継がれてきたか、を描いた本である。
六国史は次の六部を指す:日本書紀、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、そして日本三代実録。日本の正史なのだが、第58代光孝天皇の御世(仁和三年:887年)までしか編纂されていない。
この本の前2/3は六国史について書かれているが、のこり1/3は六国史が伝えられてきた伝統や歴史について書かれている。前部分もさることながら、この後部分が興味深かった。
前部分では、「これが正しい歴史である」と編纂時の権力者の意向が当然ながら反映されて -
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大学で古代のゼミ・演習を受けた人は大概輪読を経験したことがあるであろう「六国史」であるが、本書は「六国史」の編纂過程やそれに関わった役職・人物、組織を細かに説明し、天皇の紀伝としての正史の特質を明らかにしようとしている。
〈目次〉
はじめに
序章:六国史とは何か
第1章:日本最初の歴史書-『日本書紀』
1:全三〇巻の構成と記述-神代から四一代持統天皇まで
2:伝承と記録のあいだ
3:素材-公文書から外国文献まで
第2章:天皇の歴史への執着-『続日本紀』『日本後記』
1:奈良時代史への入り口-『続日本紀』
2:英主、桓武天皇の苦悩-特異な成立
3:太上天皇への史臣評-『日本後紀』
第3章:成熟 -
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ネタバレ隋・唐の脅威を感じながら、大陸からもたらされた仏教や律令を導入して国家の形を整えていく時代。律令制の完成とともに、「日本」「天皇」といった言葉が用いられ始める(以前は「倭」「大王」)。
◾️時代
・古墳時代
・飛鳥時代
◾️出来事
・十七条憲法
・乙巳の変→大化の改新
・白村江の戦
・壬申の乱
・大宝律令
・「古事記」「日本書紀」編纂
◾️人物
<皇族>
・聖徳太子(厩戸皇子)
・推古天皇
・皇極/斉明天皇
・天智天皇(中大兄皇子)
・天武天皇(大海人皇子)
・持統天皇
<皇族以外>
・物部守屋
・蘇我馬子
・蘇我入鹿
・藤原(中臣)鎌足
・藤原不比等
推古天皇、皇極/斉明天皇、持統天 -
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奈良時代から平安時代にかけて編纂された『日本書紀』をはじめとする歴史書「六国史」について、各書の成り立ちや内容を解説しつつ、中世以降の六国史を伝えた人々の営みについても紹介している。六国史を概観するのに最適の書。
個々の六国史の内容について、少し物足りない気もしたが、それは裏を返せば、六国史をもっと詳しく知りたいという気にさせてくれる本であったということだ。
内藤湖南が、六国史は、「官報を綴じ込んだようなもの、毎日毎日書いたものが何時の間にか集まったもの」と消極的に評していたことに対し、著者が「六国史の記事が公文書・日録を材料としたことへの着目であり、史料としてみるならばむしろ、大きな利点と映