国分チエミのレビュー一覧
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「自分だけが、ひとりだと思うなよ!」
この言葉の強さが好きだ。強烈だ。必死で、切なる気持ち過ぎて、読んでいて、真正面からビンタされるみたいに、はっとする。
思春期まっただなかに読んで、20年ぶりくらいに読み返し、泣いてしまった。
読みながらゆっくり、話の内容を思い出しながら、ここまで来て。この勝田くんの言葉が好きだった、とあの頃の自分を思い出す。
解説の金原瑞人先生が、「大人の方が絶対に、この作品に弱い」と解説で言っており、いまならわかる。
思春期に読んだときはYAは「私たちの物語」だったし、さくら達は時に共感しながらもモダモダした。
いまは、彼女らの未熟さも含めて、まっすぐで眩し -
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ネタバレ森絵都さんの作品が好きで手に取りました。
凄く好きでした。。
私は永遠の出口という作品が断トツで好きなのですが、同じくらい好きな作品となりました。
この物語の主人公は中学生の女の子さくらであり、
新学期の進路調査アンケートに「不明」と書いてしまうほど、将来に期待感などなく、ノストラダムスの予言の通り、本当に二〇〇〇年が来ないのではないかと不安を抱いています。
さくらは、不良グループとの付き合いで万引きをしたり、親友の梨利と不和を起こしたりと、人間関係に疲れていますが、宇宙船を設計しているという不思議な男性、智さんと出会い、智さんの家で飲むミルクコーヒーが安らぎのひとときです。
ただ、穏や -
購入済み
何だかんだみんな心弱くて変な部分があって。、だから依存症とか走っちゃうこともあるけど自分のSOSは気付けない。 人のSOSに応えるときにはふさわしい道理とか説得より「会いたい」とかシンプルなメッセージが一番大きな力持つこともあるんだなあって思えた。
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【2025年145冊目】
あの時、手を取ったことをずっと後悔している。親友だった梨利と気まずい関係になってから、梨利につきまとっていた勝田のことも疎ましく思い始めていた中学生のさくら。そんなさくらの唯一の居場所が智さんのアパートだった。けれど、智さんの様子はどんどんとおかしくなっていって――。
危なかった、外で読んでましたが泣きそうでした。堪えた堪えた、危なかった。最初はつきまといをする勝田に「何歳であろうが、誰かに付き纏う人間って怖いのね」と恐怖を感じていましたが、だんだんとさくらを取り巻く人間模様がわかってくるにつれ、不思議と勝田への警戒心も薄れていく結果に。
親友だった梨利と距離が -
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「五十音順の作者を読む」第35冊目「も」。
万引きに手を染めてしまった中学生のさくらと梨利(りり)、彼女たちとつるむ尚純(なおずみ)、精神を病んでしまった青年・智(さとる)という4人の交流が描かれた、青春物語です。
さくらや梨利の、犯罪に手を染めてしまったが故の悩みや、智の精神が壊れていく様子に胸が詰まりました。
4人のこれからが、今より少しでも救いのある方向に行ってほしい。
読み終わると心からそう思えました。
火事の表現があるため、トラウマのある方は注意が必要です。
「闇から抜け出すような青春物語が読みたい」という方におすすめの作品です。 -
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中学生の心理描写が絶妙だったなぁ。
小学生のようにもう無邪気ではないけれど、まだまだ大人の入り口に立ったばかり。
親友とうまくいかなくなった理由は、裏切られたからではなく裏切ってしまったから。
一人になるのは怖いけど、誰にも言えない秘密がある。
そんな、さくらと梨利と勝田くん。
ノストラダムスの大予言が流行っていた頃のお話。
人類が滅亡するという予言と、考えなければならない進路、大事な親友を裏切ってしまった後悔‥‥もうどうしたらいいのか分からない、どうにでもなってしまえ、という諦めがひしひしと伝わってきます。
弱い人を助けるのは、小さくても尊いもの。
そんな尊いものに自分はなれるかなぁ?