近内悠太のレビュー一覧
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世界は贈与でできている
[本の個人的評点:【第1章〜第3章】30点/100点、【第4章〜第9章】80点/100点]
【所感】
・【第1章〜第3章】までは無理矢理ロジックを積み上げたような部分が散見されて、理解に苦しむ主張であった。特に「無償の愛」「ペイ・フォワード」「孫が見たい」「プレヒストリー」「若者の献血離れ」「返信無用」らへんの論理展開は、めっちゃ無理矢理だし短絡的だなぁと感じながら読んでいた(第4章以降のロジックを正当化させるために無理矢理積み上げている感が透けて見える)。
・【第4章】以降は非常に示唆に富んだ中身であった(第1章〜第3章は、ここに繋げる前振りであったとはいえ、いらなか -
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ネタバレ前作との対として、「与える」ことに焦点を当てた1冊。哲学的な内容であり、完全に咀嚼し切れていない箇所も多々あるだろうが、現時点での認識を記しておく。
先ず興味を惹かれたのは、道徳と倫理の違いについて。端的に、道徳は規範やシステムにより強制されるものであり、一方倫理は「嫌だからしない」等、自由度を持つものだとのこと。この記述を通じて、道徳と異なり倫理は「実体感」を必要とするのではと感じた。仮に上記の定義が正しい場合、道徳を身に着けるために必要なことは規範やシステムを理解することであり、これは知性を有する人であればそう難しくないことと思う。一方、倫理には分かりやすい答えがなく、どうすれば倫理観を獲 -
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前書「世界は贈与でできている」が「受け取る」の本であれば、この本は「与える」を考えた本である、と著者は言う。ケアや利他という言葉は聞き慣れてはいるが、深く考えたことはない。倫理的に考え、行動するとは何か?、この本を通して自身の中で構造化でき、アプローチしやすくなったと思う。
ケアは相手の大切なものを大切にすることで、利他は自分の大切なものよりも相手の大切を優先する。このように定義することで、言葉のしっぽを掴めるようなイメージがある。
個人的に腹落ちした部分が、「利他には葛藤がある」である。社会で決められた規範に対し、我々は道徳心でそれを維持しようとする。しかしながら、その規範に苦しむ人もい -
Posted by ブクログ
ネタバレ単なる心温まるペイフォワードの話ではない。
贈与は与えられていることに気付くところから始まる。身近なコミュニケーションの話かと思えば、「贈与は差出人に倫理を要求し、受取人に知性を要求する。」知性がないと贈与に気付けない、知性を身につけるために歴史の勉強が必要だと説く。現代社会において先人が築いた贈与に気付き、いかに世界が贈与に満ちているかを悟った人を教養ある人と呼ぶそう。さらに、生きる意味を考えるとき、それば贈与先から偶然に返ってくるものだという。不当に受け取った贈与に気付き、次にパスをする。その先から偶然返ってくる(返ってこないかもしれない)もの、それが生きる意味だと。パスをつなごうとする使