利他・ケア・傷の倫理学

利他・ケア・傷の倫理学

1,980円 (税込)

9pt

「訂正可能性の哲学」がケアの哲学だったことを、本書を読んで知った。
ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ。
──東浩紀

人と出会い直し、つながりを結び直すために。
「大切にしているもの」をめぐる哲学論考。

「僕たちは、ケア抜きには生きていけなくなった種である」
多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらいいのか? 人と出会い直し、歩み直し、関係を結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察。
進化生物学、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、スラヴォイ・ジジェクの哲学、宇沢弘文の社会的費用論、さらには遠藤周作、深沢七郎、サン=テグジュペリ、村上春樹などの文学作品をもとに考察する、書きおろしケア論。『楢山節考』はセルフケアの物語だった!

「大切なものはどこにあるのか? と問えば、その人の心の中あるいは記憶の中という、外部の人間からはアクセスできない「箱」の中に入っている、というのが僕らの常識的描像と言えるでしょう。/ですが、これは本当なのでしょうか?/むしろ、僕らが素朴に抱いている「心という描像」あるいは「心のイメージ」のほうが間違っているという可能性は?/この本では哲学者ウィトゲンシュタインが提示した議論、比喩、アナロジーを援用してその方向性を語っていきます。」(まえがきより)

【目次】
まえがき──独りよがりな善意の空回りという問題
第1章 多様性の時代におけるケアの必然性
第2章 利他とケア
第3章 不合理であるからこそ信じる
第4章 心は隠されている?
第5章 大切なものは「箱の中」には入っていない
第6章 言語ゲームと「だったことになる」という形式
第7章 利他とは、相手を変えようとするのではなく、自分が変わること
第8章 有機体と、傷という運命
終章 新しい劇の始まりを待つ、祈る
あとがき

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利他・ケア・傷の倫理学 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    会社員という言語ゲームをやめる決断をした私にとって、とても響く内容だった。
    売り上げを上げるため、時間の使い方や、自分が納得できない方法を強要、コントロールされるようにな心底疲れ果ててしまった。
    「したくないからしない」が倫理というのも目から鱗だった。

    終章の「祈り」はただただ感動。希望を感じた。

    0
    2025年07月31日

    Posted by ブクログ

    忘己利他・・初期研修の頃から何度も聞いた言葉。今でも、これは利他なのか独りよがりの押し付けなのか、悩みながら実践をしている。
    内容はなかなか何度か繰り返さないと理解しきれなさそうだ。併せて、贈与の本も読み直してみよう。
    近い世代の著者だけあって、例えが身近で(ONEPIECE や 松任谷由実など)親

    0
    2025年04月15日

    Posted by ブクログ

    目からウロコな考え方がてんこ盛り。脳が活性化されて行くのが分かった。曖昧に使っていた信頼という言葉や、ケア・利他の本質。腑に落ちるところもあれば、自分の読解不足で理解しきれているか自信の無い部分もあるので、何度も読み直し、体に染み込ませたい本

    0
    2025年03月03日

    Posted by ブクログ

    自由は利他から生まれるのでしょうか。
    本書は、利他の意味や概念を何度も見直します。
    その作業こそが、人と生きる事なのかなと思いました。いずれにせよ、何度も読み返す本になりそうです。

    0
    2025年02月23日

    Posted by ブクログ

    ケアとは、利他とは、傷とは。
    善意がなぜ空回りをするのか。

    いろんな事例、小説や哲学の引用、思考ゲームを経て考える哲学。

    なぜタイトルが
    倫理学
    なのか、も読み進めるとわかってくる


    なんだか、NVCとも通ずるところがある感覚。

    0
    2024年09月02日

    Posted by ブクログ

    道徳はシステムを作り、こうしなけばと決まりごととなる
    一方で、システムの義務に抗い、自由に動くとき倫理が必要になる

    倫理には利他という「自分の大切にしているものよりも、その他者の大切にしているものの方を優先すること」が問われる

    その問いに答えがケアという行動で示される

    0
    2024年07月01日

    Posted by ブクログ

    間違えて2冊買ってしまいました。最近のおすすめ何かありませんか、と聞いてくださる方がいたので、2冊目を差し上げました。ずっと手元に置いておきたい良い本です。

    0
    2024年06月11日

    Posted by ブクログ

    文字通り、利他、ケア、傷を起点に難しい論旨を今風にわかりやすく伝えてくれます。
    利他とケア、偽善との違い。叱るに潜む危うい自己欺瞞など、読めば読むほど日頃の自分に目を覆いたくなるとともに、
    メッセージとしては、
    もっと自分の意思で生きて良いんじゃない?
    過去の意味は未来と現在が作るという意味で正解は

    0
    2024年06月06日

    Posted by ブクログ

    他者の大切にしているものを、共に大切にする、をできるようになりたい。「こうあるべき」を振りかざし、それが「正しい」、「あなたのためになる」とすることは、他者の大切にしているものをないがしろ。この態度は、仕事では「甘い」と言われそうだが、自分は他者の大切にしているものを、共に大切にする劇を演じ踊り続け

    0
    2024年06月02日

    Posted by ブクログ

    後半の『楢山節工』のエピソードで泣いた。
    未来の自分に対するセルフケア。

    著者ならではの切り口で、あたたかく、他者との関わりに対して少しだけ背中を押してくれるような本でした。

    0
    2024年04月30日

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