作品一覧

  • 利他・ケア・傷の倫理学
    4.4
    1巻1,980円 (税込)
    「訂正可能性の哲学」がケアの哲学だったことを、本書を読んで知った。 ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ。 ──東浩紀 人と出会い直し、つながりを結び直すために。 「大切にしているもの」をめぐる哲学論考。 「僕たちは、ケア抜きには生きていけなくなった種である」 多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらいいのか? 人と出会い直し、歩み直し、関係を結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察。 進化生物学、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、スラヴォイ・ジジェクの哲学、宇沢弘文の社会的費用論、さらには遠藤周作、深沢七郎、サン=テグジュペリ、村上春樹などの文学作品をもとに考察する、書きおろしケア論。『楢山節考』はセルフケアの物語だった! 「大切なものはどこにあるのか? と問えば、その人の心の中あるいは記憶の中という、外部の人間からはアクセスできない「箱」の中に入っている、というのが僕らの常識的描像と言えるでしょう。/ですが、これは本当なのでしょうか?/むしろ、僕らが素朴に抱いている「心という描像」あるいは「心のイメージ」のほうが間違っているという可能性は?/この本では哲学者ウィトゲンシュタインが提示した議論、比喩、アナロジーを援用してその方向性を語っていきます。」(まえがきより) 【目次】 まえがき──独りよがりな善意の空回りという問題 第1章 多様性の時代におけるケアの必然性 第2章 利他とケア 第3章 不合理であるからこそ信じる 第4章 心は隠されている? 第5章 大切なものは「箱の中」には入っていない 第6章 言語ゲームと「だったことになる」という形式 第7章 利他とは、相手を変えようとするのではなく、自分が変わること 第8章 有機体と、傷という運命 終章 新しい劇の始まりを待つ、祈る あとがき
  • 世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学
    4.2
    1巻1,980円 (税込)
    ■第29回山本七平賞・奨励賞 受賞 ■紀伊國屋じんぶん大賞2021(紀伊國屋書店 主催) 第5位 入賞 ■読者が選ぶビジネス書グランプリ2021(グロービス経営大学院+flier 主催)リベラルアーツ部門 第4位 入賞 これが、ニュー・ノーマル時代を切り拓く哲学書。 「ずっとじぶんでも考えていたことが、別の光を当ててもらったような気がして、読んでいて興奮しました」 ――糸井重里(株式会社ほぼ日 代表) 「わたしはすでに受け取っていたんだ。読むと次にパスをつなげたくなる本」 ――伊藤亜紗(東京工業大学准教授・美学者) 「贈与を受け取ったから、私は家族の物語を書きはじめました」 ――岸田奈美(作家『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』) 「人間の『こころ』の力動の機微をとらえる近内さんのセンスには肌の温かさと機械の精緻さがある」 ――茂木健一郎(脳科学者) 「コロナ後の経済は『贈与』を軸に駆動します。必読でしょう」 ――山口周(独立研究者) 2020年最有望の哲学者、「希望」のデビュー作 この資本主義社会で「お金で買えないもの=贈与」が果たしている役割とは何か? 「人間」と「社会」の意外な本質を、みずみずしく平易な文体で驚くほどクリアに説き起こす。 ビジネスパーソンから学生まで、 見通しが立たない現代を生き抜くための、発見と知的興奮に満ちた「新しい哲学」の誕生! 「一見当たり前に存在しているこの『世界』の成り立ちを、『贈与』や『言語』、『常識」の成り立ちを通して説き起こした鮮烈なデビュー作。 人間の『こころ』の力動の機微をとらえる近内さんのセンスには肌の温かさと機械の精緻さがある。 ウィトゲンシュタインと小松左京の本書を通しての出会いは思考世界における一つの『事件』。 社会の見え方を一変させ、前向きに生きるために、この本を処方せよ!」 ―――茂木健一郎 目次 第1章 What Money Can't Buy――「お金で買えないもの」の正体 第2章 ギブ&テイクの限界点 第3章 贈与が「呪い」になるとき 第4章 サンタクロースの正体 第5章 僕らは言語ゲームを生きている 第6章 「常識を疑え」を疑え 第7章 世界と出会い直すための「逸脱的思考」 第8章 アンサング・ヒーローが支える日常 第9章 贈与のメッセンジャー

ユーザーレビュー

  • 世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学

    Posted by ブクログ

    「賦」という言葉が、贈与の原初的なかたちとして提示されているのが面白い。これは「贈る」という行為の前にある、世界から与えられているものへの気づき、あるいはそれを受け取ることそのものを指す。
     「賦」はもともと「ふ」と読み、古代中国では「賦税」や「賦詩」などに使われた。「賦詩」は、自然や出来事に触れて、そこから湧き上がる感情や意味を言葉にする行為。つまり「賦」とは、世界から与えられたものに応答すること、そしてそれを言葉や行為に変換する創造的な応答でもある。
     「賦」は「贈与の始まり」ではなく、「すでに贈与されているものへの気づき」として位置づけられる。

    これは倫理的転回で述べられるrespon

    0
    2025年11月08日
  • 利他・ケア・傷の倫理学

    Posted by ブクログ

    会社員という言語ゲームをやめる決断をした私にとって、とても響く内容だった。
    売り上げを上げるため、時間の使い方や、自分が納得できない方法を強要、コントロールされるようにな心底疲れ果ててしまった。
    「したくないからしない」が倫理というのも目から鱗だった。

    終章の「祈り」はただただ感動。希望を感じた。
    生産性、有用性に回収されない劇、そんな劇で、踊るために私は生きるんだ。

    0
    2025年07月31日
  • 世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学

    Posted by ブクログ

    結婚できない自分に対する負い目の感情はなんなのか、その答えがあって納得した本。
    ペイフォワードが見てみたいと思った。

    0
    2025年07月21日
  • 世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学

    Posted by ブクログ

    非常に良い本でした。希望のある本です。
    贈与とはなにか。それは差出人と受取人との関係性の中に生まれる。しかし、それだけではない。
    資本主義や民主主義、貨幣経済、今ある衣食住や教育、現在進行形の常識があるからこそ、贈与は逸脱して現れる。
    ぼくらが思う創造は、天才的なアイデアからの発想だと思いがちだが、そうではない。常識を常識と捉え、しかしそれでは矛盾するその一点を付く。つまり、知識の上にある。
    だから、この今をしかと生きる。そして観る。ぼくらは与えられていることを想像し感じる。さすれば、差出人に気づいた受取人となり、また差出人になれる。
    そうしてまた、見返りを求めない贈与ができる。
    こうして世界

    0
    2025年05月25日
  • 利他・ケア・傷の倫理学

    Posted by ブクログ

    忘己利他・・初期研修の頃から何度も聞いた言葉。今でも、これは利他なのか独りよがりの押し付けなのか、悩みながら実践をしている。
    内容はなかなか何度か繰り返さないと理解しきれなさそうだ。併せて、贈与の本も読み直してみよう。
    近い世代の著者だけあって、例えが身近で(ONEPIECE や 松任谷由実など)親しみやすい。

    0
    2025年04月15日

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