【感想・ネタバレ】世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月14日

前知識なしに読んだら、哲学の本だった。
そして、想像していた以上に素晴らしい内容だった。
タイトルからして、胡散臭い自己啓発系の本かと思った。
と言うのも、本書を手に取ったのは前に読んだ「傘のさし方がわからない」で、著者がこの本を話題に挙げていたからだ。
で、読んでみたらパズルのピースがぴったりとハ...続きを読むマったようなまるで雷に打たれたような驚きと感動を味わった。
ぼんやりとしていた気持ちが「贈与論」という概念を通してはっきりと明確になったからだ。
また、後半部分のボールを支えている外力の話も印象に残った。私たちが普段何気なく享受しているものは他の誰かに支えられているからこそなのである。
そして、それを忘れがちだ。
当たり前のことなんて何もない。
過去の人々や生きている他の人々から様々なものを受け取っているんだと、自覚して感謝を忘れないでいたい。

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Posted by ブクログ 2024年04月06日

深い。
贈与:無償で誰かに与えること。ここでは、物の贈与でなく、目に見えないことについて論じられる。
贈与は、交換とは対にあたる。

今の、自由で資本主義の社会。一人でも生きていけることを目指せと言われる。しかし、誰にも迷惑かけない社会とは怖い、という説明にドキッとした。誰にも迷惑かけない社会とは誰...続きを読むからも必要とされていないこと。迷惑とは頼られること、助けること。

しかし。資本主義を否定せず、むしろ資本主義のすきま、アノマリーに贈与というのがハマるというのも興味深かった。常識や普通のことと異なる異物性に着目し発見された英知の数々。感謝や賛辞を求めずに発見され、世の人に役立ってる、そんなことが数知れずある。我々はそういう贈与に気づこう、と。それに気づいたら、周りは贈与にあふれていて感謝するし、自分もそれを与える人になれると、社会は良くなる。

とても温かい哲学を読んだ。

ちょうど前日に訪れたクルミドコーヒーが登場して、あまりの偶然とタイミングにびっくりした。

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Posted by ブクログ 2024年02月10日

資本主義、市場主義があるからこそ、その「すきま」にアノマリーとして贈与が現れる。不当に受け取ったという健全な負債感から、贈与のメッセンジャーとなり贈与がつながっていく。差出人は受取人から「使命」を逆向きに贈与され、それこそが「生命力」となる。
第1〜8章までで語られてきた内容が第9章で1つにまとめら...続きを読むれ、ストンと腑に落ちた。

この本のおかげで、自分の受取っていた贈与に気づくことができた。明日からも明るく生きようと思える名著。

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Posted by ブクログ 2024年01月27日

「受け取ってしまった」という感情は、私の中でとても思い当たる話でした。
人に大事にされてきた感覚や、いま生きている事自体が奇跡だと思い知るような経験(思いがけない不幸や生の偶発性に気付く経験)が今の自分を作っています。

「どうにかしてお返ししなきゃ!」と焦るような感情は確かにあります。
これが知ら...続きを読むず知らずに原動力になり、日々自分は動いているんだなぁ…
この本で言う「メッセンジャー」になっているんだなぁと振り返る事ができました。

献血、徘徊、サンタクロース、蝶番、テルマエロマエ、誤配、すきま

この辺りのキーワードがとても面白かったです。

win-win、やりがい、生きがい等の言葉が好きだった自分が恥ずかしくなりました。

「交換」思考で生きると誰かが苦しくなる。
お返しできるものがなくなると詰んでしまう。
それは自分かも知れない。そう考えると恐いです。

手紙が届くには時差がある。届いていたことに気がつくのにも時差がある。
届いて、読んで、忘れて、また読み返して。
こんな風に過ごすと楽しいし、楽ちんだろうな…

「交換」思考は出した手紙の返事がまだ返ってこないと、自宅前のポストでウロウロ、イライラしているような状態かも知れません。

「贈与」思考を自分の中に取り入れたいです。
分かり易い「やりがい」や「ありがとう」の言葉は求めないようにいたい。
それが無い時にすぐに止めたくなるから。
あらゆる仕事が人手不足になりそうですね。
誰を助けるか分からないから、そりゃ献血も減りますよね。

きっと行動し続ける為に、「これは贈与だ。
もう既に自分は沢山受け取っている」感覚が大切なのでしょうね。

労力や愛情を川に流すようなイメージで良いのかも…と思いました。私自身、過去の人たちの作ってくれた流れに乗っかってプカプカ浮いてこられたのだから。

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Posted by ブクログ 2023年11月01日

贈与という行為はモノそれもの以上の価値を生み出す、時計をプレゼントとした時、モノ以上のプレゼントしたという価値が生まれる。しかし、それは、ものを貰えば返さなければならない、交換の論理に巻き込むということ。返せる場合はまだ良いが、返せなければ受け取り側が罪悪感を抱く呪いにもなりうる。贈与はわたす人では...続きを読むなく受け取り手が生み出す。受け取り手が贈与と気づくことで初めて贈与になる。
ホームズの推理に共通するのは「アノマリーの列挙」と「常識・確実な知識」の組み合わせによって、隠された謎を解くという方法論。贈与の差出人は名乗ってはならないということは、裏を返せば、贈与の差出人は名乗ってくれないということ。しかし、「届いていた手紙」は必ず痕跡を残す。痕跡はアノマリーというかたちででてくる。求心的思考と呼ぶ。世界と出会い直すための想像力。世界と出会い直すことで、私達は多くのものが与えられていたことに気づく。逸脱的思考。SFなどを呼んだ時の思考。
「受け取ってくれてありがとう」「困った時に私を頼ってくれてありがとう」これらは、差出人の側がなにかをあたえられたと感じたからこそ発することのできた言葉。つまり、贈与の受取人は、その存在自体が贈与の差出人に生命力を与える。宛先がなければ、手紙を書くことができない。そして、僕らは手紙を書かずには行きて行けない。「宛先てしてただそこに存在する」という贈与の次元がある。もはや一体どちらがどちらに贈与しているのかわからなくなり、「受取人」と「差出人」が刹那のうちに無限回入れ替わるような事態がある。ここではもはや「与える・受け取る」という階層差はなくなり、並列的な関係へと変わる。

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Posted by ブクログ 2023年10月09日

贈与と交換の違い。宛先があり、そこに意味が受取人によって見出される。順序は逆だということ。協働体感覚の方向が実は逆。

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Posted by ブクログ 2023年09月17日

ウィリアム・バーンスタインの『「豊かさ」の誕生 : 成長と発展の文明史』で資本主義は民主主義を前提条件にしない、という主張に驚いたのが2017年でした。それから6年…現実の世界もパンデミック、戦争と向き合いながら資本主義の行き詰まりを感じているようです。首相が掲げる「新しい資本主義」もいまいち理解出...続きを読む来ていないのですが、世界中の知識人が、ポスト資本主義、資本主義のチューニング、果てまた21世紀にマルクスを召還して社会主義を語るなど様々な投げかけをしています。そこで語られるキーワードとして資本主義の基本である「交換」に対比するものとして「贈与」が頻出していると思います。ということで岩野卓司『贈与をめぐる冒険―新しい社会をつくるには』に続く「贈与読書」でした。あるいは麻生武『6歳と3歳のおまけシール騒動: 贈与と交換の子ども経済学』のからの本でもあり、さらにはオラーフ・ヴェルトハイス『アートの値段』との繋がり本にも思えて来ます。なにか資本主義のこれからは、経済学だけでなく,哲学、倫理学、社会学、芸術…人類の知恵を総動員して立ち向かわなくてはならないプロジェクトなのでしょう。それだけに、それが途方も無い難問である気もします。そのハードさ対して、本書はめちゃくちゃソフトでわかりやすく、またあたたかい気持ちになります。「おいしい生活」でバブルを先取りし(?)「ほしいものがほしいわ」でバブル終焉を予言した(?)糸井重里が,この本を薦めるのもなんかわかる気がします。ただ、この本を読んでいる最中に視聴したNHKスペシャル「ルポ海外臓器移植」には「交換」と「贈与」の厳しいせめぎ合いがレポートされていて「世界は贈与でできている」の性善説に水をさされた気分にもなりました。アノマリーに対する感受性を強く持ちたいと願いますが…。

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Posted by ブクログ 2023年08月19日

ワタシの中では「贈与論」と言えば、内田樹。大変失礼ながら、本書もその焼き直しかと思っていたのだけれど、さにあらず。それどころか内田の贈与論を超えていた。
加えて、昨今ますます目にするようになった資本主義批判かと思いきや、市場経済こそが贈与を贈与たらしめていると説く。目からうろこ。

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Posted by ブクログ 2023年08月09日

これはこれは読んでよかった。
最初の方とかはよくわからなかったけど、読み続けるとつながってくる。今って、人の人生に簡単にアクセスできるから、自分に足りないものばっかり見てしまって、お金も愛ももっともっとって、満たされない感情ばっかりになる人が増えていると思う。
でも私たちは、ほんとはもうすでにたくさ...続きを読むん貰っていることに気づける、想像力を持った"贈与の受取人"にならなければいけない。
冷房をかけた室内で寝れて、ぼーっとしながら起きて、ほぼ定刻に電車が来て、昨日見た同僚と今日も会えて、美味しいご飯をちゃんと食べれる。そういうあたりまえの安全な社会を、多くの働いている人や先人たちの努力によって私は"贈与"されている。自活できるよう育ててくれた両親、心の支えとなってくれる友人や恋人。見ず知らずの人の、過去の人の、何の気無しの思いやりを、時代を超えて受け取っていることもある。
受け取った、と自覚できたときに、人はまた見返りを求めず"贈与"することができる。
心が温まるこの仕組みを、とてもしっかり解説してくれた。とても沁みた。

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Posted by ブクログ 2023年08月02日

もやっとしていることが言語化されている。読んでよかった。人によって表現は違えど、言っていることは通じる部分がある。言語化することは大事。これも贈与か。

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Posted by ブクログ 2023年04月06日

今目の前に当たり前にあるものが、誰かの贈与であり
気付かないまま毎日、何となく同じように生きている。
子どもの頃に誰しも夢見たサンタクロースという存在が
クリスマスの日にこっそり枕元にプレゼントをくれるのがたまらなく嬉しいのは
ギブアンドテイクやWin-Winなんてない世界だから。
今の当たり前って...続きを読む、実は当たり前では全くなくて
先人の苦労だったり発明だっりいろんなものを後世に残してくれた訳だけど
それは全て、過去からの贈与であるということ
忘れてはいけないなと思う。

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Posted by ブクログ 2022年12月31日

自分がいかに無教養であるかを思い知らされた。
贈与は名乗ってはいけない。名乗った時点で返礼の義務が生じ、それは贈与ではなく交換になる。
「気づかれない可能性」を持つことを前提に、受取人が未来に存在し、過去時制によって把握される贈与こそ贈与に相応しい。
現在社会では、等価交換を前提とした資本主義の市場...続きを読む経済を共通のシステムとして採用している。「贈与」はその「スキマ」に存在するからこそアノマリーたらしめるのである。
また、人は教養を身につけて初めて、アノマリーである「贈与」の存在に気がつく想像力を手に入れる。そして、その受取人がまた未来に受け取られ贈与になる可能性を秘めた祈りを送る。そうやって贈与は回っている。

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Posted by ブクログ 2022年11月26日

具体的事例を用いた理論の説明の仕方が鮮やか。

特に、導入の原発の事例、親が子に孫を期待する話などによって、一気に贈与論の輪郭が立ち現れ、引き込まれた。

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Posted by ブクログ 2022年10月24日

中島岳志さんの「思いがけず利他」と言わんとしていることが重複しているようなところがあって、利他と贈与は本質が同じだなと思った。
日々、何事もなく過ごせることが多くのおかげさまで成り立っていることを改めて感じさせてくれる本だった。

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購入済み

語りかけてくる文章が読みやすい

2021年10月03日

倫理学本を読むのも初めてだし贈与論も初めて知りました。今は利他についての本を買ってます。
資本主義の見直しは話題になりやすいですが、カネではない贈与を受け取ったと思える感覚がいかに観念的であり、このシステマティックな社会の中で見落としやすいかも感じさせられました。
また、そうした現象を汲み取って...続きを読む形にする哲学は地味だけどちゃんと必要だなと感じてます。

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購入済み

オススメ( •̀∀•́ )✧

2020年09月27日

今年のコロナ前に書かれ3月に出版された本。
今だから、より突き刺さる著者のメッセージ。
なんども唸ってしまった。
この若い哲学者に多いに刺激をいただきました。

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Posted by ブクログ 2024年02月21日

最近、大学の授業で贈与論に触れたことがあり関心があって、書店でタイトルを見かけ堪らず買って読んだ。

私たちの世界に潜む「贈与」の性質と、潜んでいる「贈与」の見つけ方がわかった。
私たちが交換というやり取りのすきまにしている「贈与」…。人間関係において大切な概念だったんだなって温かい気持ちになった。...続きを読む

昨日ストーリーで少し話した「シェア」は、そんな贈与を次へと誰かへと繋げていこうとする心の働きが関係しているらしい。これからもシェアを通じて関わりあいつづけたい…


読んだ後、自分で考えたんだけど "present" という英単語には、
   pre/sent > 以前(誰かから)送られたもの
みたいな意味があるのかなぁ…?とふと思ったの。そうやって受けてきたpresentを誰かに贈るのかなぁと。
このことは、作者も触れていないし語源には諸説あるので、完全に私の独自意見です!だけど読んだ人なら共有できる気がする…!

講義から関心があった贈与論について、知識を受けられてよかった。

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Posted by ブクログ 2023年12月18日

内容を知らずに表題から経済的な話かと思って読み始めたら、倫理的な話だった。交換との対比で贈与は認識された時点で成立、というあたりは面白かったのだが、途中から双方向で未来から過去へ、みたいな話の辺から贈与と定義しているものがなんだかな、と感じるように。最後はやや違和感で終了。

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Posted by ブクログ 2023年11月27日

「すきま」として生きていきたい。

資本主義の隙間にある贈与。

読み始める前は、この贈与こそ素晴らしいと唱え資本主義を否定する本かと思っていた。

だが実際は、資本主義があるからこその贈与だということを教えてくれる素敵な本だった。

全てが交換でもダメ。全てが贈与でもダメ。

資本主義という交換主...続きを読む義と贈与がバランスよく混じり合ってはじめて、人間社会はキラキラと輝く社会になれるのだ。

職業という交換手段に目が行きがちな現代において、その隙間をうめる贈与者として名も知れず誰かの役に立っていきたいなと強く思う。

この本から受け取ったものを、誰かに渡していこう。

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Posted by ブクログ 2023年09月08日

「贈与は気づかれてはいけない。呪いになるから。(ビジネス的には返報性の原理ともいうかな)」

「でも、気づかれない贈与は贈与として成立しない。だから、未来の時点で気づかれる必要もある」

ってのはまさしくで。

サンタクロースのくだりは面白い視点(親からの負債として感じずに受け取れる設計)だなと。
...続きを読む
個人的には、ローカルコミュニティを運営してるので、資本主義の弱い部分を補える仕組みをつくろうとしてるだけに良い視点を得たように思う。

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Posted by ブクログ 2023年06月10日

「贈与」とは物質的にも精神的にも交換や見返りを求めず無自覚的に提供されるものである。例えば子供や家族に何かを期待したりせずにただ尽くそうとする愛情。あるいは誰が始めたのか知らないような心地よい慣習や歴史の中で誰かの発明したもの。世界はそうしたもので溢れ、そうしたものの恩恵を受け、また誰かにそうした恩...続きを読む恵を与えている。
お金で交換する市場経済の隙間を「贈与」が埋めて温かい資本主義社会が成り立つ。
 恋人に何かを求めて愛するのは違う。子供に何かを期待して愛するのは違う。仕事に生きがいを求めるのは違う。人生に意味を求めるのは違う。それらはすべて交換経済的思考であって、そこに答えは見つからない。
 とそこまで読んで、タイトル違うでしょ、と思う。「世界のすきまは贈与が埋めている」が正しい
 

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Posted by ブクログ 2023年04月07日

他者から贈与されることでしか “本当に大切な” ものを手にすることができない。
でも、贈与は差出人に倫理を、受取人に知性を要求する、か。
いやぁ、自分は気づくことができなさそうだ。

でも、個々の元素を発見するのではなく、メンデレーエフのように周期表をつくるような仕事のしかたをしたい。

この本を読...続きを読むんで、我々は市場経済に支配されすぎて、何か大切なモノを失っている感覚に襲われた。

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Posted by ブクログ 2023年03月30日

ウィトゲンシュタインやSF小説などを解説しながら、資本主義社会の中での今までにない見方を提案する哲学書

個別にはわかりやすく解説していて、そういった情報がたくさんあって、まるで推理ドラマであるかのように最後に全て繋がって新しい概念を説明されている

表紙にたくさんの固有名詞や単語が書かれているが、...続きを読むそういったデザインにした気持ちがわかるようである。

日本の若い哲学者のデビュー作ということであり、この後も楽しみ。

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Posted by ブクログ 2023年02月06日

Twitterで、教えて頂いた本。
この時期に読むことになった意味があるのだと感じる。
気がつけたなら、大切に 贈りたいし、受け取った事に感謝したい。有難う御座います。
この資本主義の破滅的な世界を、生き抜かなくては…

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Posted by ブクログ 2023年02月05日

長期思考につながる話。
贈与は祈りであり、受取人には想像力が必要。

祈りでもあっても良し、とできるかは贈る側の使命感にかかるのかも。

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Posted by ブクログ 2022年12月25日

贈与。ペイフォワードについて哲学的に学び、考えさせる本。概念的な話が多く、理解が難しいところもあるが、具体的な実話や例をもって説明されているので、少しづつだが理解して進められる。
資本主義経済において、贈与という一見不合理に見えるものこそが、世の中を下支えしていると感じた。
また、歴史を学び直し、自...続きを読む身の目で見つめてみたいとも思えた。

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Posted by ブクログ 2022年12月12日

交換に慣れた私たち、贈与は明らかになると、返礼の義務を生み出し、また交換となる。

世界は贈与でできている。
差出人のわからない贈与や、贈与だと気づかないことであふれている。
それは社会が平和である証拠。何も起こらない日常の幸せ。
私たちはこんなにも多くの素晴らしいものをもっている。
そこに気づき、...続きを読む感謝して生きていくことの大切さ。

サンタクロースの話もおもしろかった。
交換に慣れた私たちに純粋贈与に立ち返らせてくれる。
親になった今、親は子に生かされていると感じる。
贈与の受け取り人自体が差出人に生命力を与える。
子どもたちに感謝しかない。いつもありがとう。

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Posted by ブクログ 2022年12月05日

本当は今年中にもう一度読んで感想を整理したかったのだけど、、間に合わそうなので取り急ぎ。
とても面白かった。読後は晴れやかな、自分を肯定してもらえたような気分になった。

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Posted by ブクログ 2022年09月05日

贈与により、喜びや後ろめたさを感じる精神構造をしている。
身体的な進化より社会的な生物としての進化を前提とした生き物となったため

他者から贈与されたものには、モノ以上の価値が付随してくる。
贈与された時点で、モノがモノでないものへと変換する創造的行為である。

経済学者は贈与が嫌いである。本人が欲...続きを読むしい物は、本人が一番良くわかっているため、贈与されたものは、本人以外からの贈与品は、それ以下の価値しか絶対にありえないためである。故に経済学的には贈り物をしたいなら現金が合理的であるらしい。
贈与とは、そういうことではないのだ、と本書は言いたいのだろう。

甘えると頼るは違う
甘えるは自分でできるのに人に頼ること
頼るは自分にはできないことを人にお願いすること

人に頼ることが必ずしも甘えではないということ

セカイ系
一挙手一投足が国家や社会という枠組みを飛び越えて直接世界の命運を左右する、というストーリーライン。

インセンティブ報酬
サンクション制裁
報酬が報酬、制裁が制裁になるとは限らない

贈与とは、「これは贈与であり、見返りを求めてますよ」という意志が相手に伝わってはいけない
贈与から交換になってしまうから

贈与とは、非合理的である。むしろ非合理的であればあるほど、贈与として価値が増す場合がある。
愛も似ている

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Posted by ブクログ 2022年11月17日

気鋭の若手哲学者が提唱する、とっても興味深い論考。
ちょっと世界の捉え方が整理される感覚が味わえる。

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イスラエルのある託児所では、親たちが子供を迎えに来るのが遅いという問題に直面していた。
そこで託児所は、遅刻する親...続きを読むたちに罰金を科すことにした。
するとどうなったか。
予想に反して、親たちの遅刻回数が2倍になった。
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本書では、僕らが必要としているにもかかわらずお金で買うことのできないもの。
およびその移動を「贈与」と呼ぶ。

お金は価値を扱いやすくした記号だが、実のところ世界はお金にできない価値(の移動)で満ちている。
お金を使った価値の移動(=市場)は等価交換の原則で成り立っている。
交換の論理、ギブ&テイクやウィン・ウィンの論理は「交換するものを持たないとき、あるいは、交換することができなくなったとき、そのつながりを解消する」ことを要求する。

一方贈与は一方通行が原則だ。
基本的に贈与は、それが贈与だと知られてはいけない。

贈与の贈り手はそれが届くかどうかは関係なく送り出す。それは善意や好感に類する動機から発せられるのかもしれない。
贈与を受けた者は、ときに自分が受け取っていることにも気づかない。
贈与の受け取り手は、それを自分が受け取っていたんだと自分で気づく必要がある。

上の託児所の例では、お金に変えてはいけないものをお金に変えてしまったことにより、親たちは遅刻する権利をお金で買うようになってしまった。
実際、遅刻しないように毎日託児所に子供を送り迎えすることは非常に大変で、それでも多くの親が自主的に時間を守るのは「贈与」の原理で成り立っていたのだ。
文化として積み上げられてきた社会をうまく回すための倫理や知識も、僕らは贈与として知らぬ間に受け取っているし、だからこそ贈り手にもなっている。

贈与は善意の形で現れる事が多い。
一方で、贈り手が明示されている贈与は「呪い」にもなる。

贈り手が明かされるプレゼントはひとつの呪いのフォーマットだ。
とても返せない過剰な贈り物などは受け手を押しつぶすことにもなる。
受け手はプレゼントにお返しすることで等価交換の様式に置き換えなければその呪いから逃れられない。

同じように、親からの無償の愛も「不当に受け取ってしまった」というある種の呪いとなりうる。
それを避けるために、決して名乗らない、お返しをする必要のない架空の贈与者を立てることになる。
それが、サンタクロースという存在である。

などなど。
なるほどなーと思える話がたくさん出てくる良い読み物。

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Posted by ブクログ 2023年08月09日

月がきれいですね

・哲学とは人類の幸福な生存のための概念を作ることが生業だ
・贈与者は名乗ってはいけない。お返しがくるから。贈与はそれが贈与と知られない場合に贈与となる。しかし贈与はいつかどこかで気づいてもらう必要がある。あれは贈与だったよと後に把握される贈与こそ、贈与の名にふさわしい。
・贈与は...続きを読む常に宛先に届くわけではない。
・地球の自転が停止するといった逸脱的思考を持つことは大切。それは破局が起こる前に、破局を見ること。災害が起こる前に災害を経験すること。
・歴史を学ぶことが大切。ただし、歴史を学びながらもし、自分がその世界に生まれ落ちていたら、この目には何が映るのか、どう行動するのか、何を考えるのかを意識的に考えるようにする。

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Posted by ブクログ 2023年04月23日

お金とあらゆるものの交換で成り立っているのが資本主義。贈与とは見返りを求めないもの。
想像力がないと自分が贈与を受け取っているということに気づけない。だいたい贈与とは既に受け取ってしまっているもの。

いろんな事情を例に出して著者の考える贈与論に当てはめていた印象。わかったようなわからんような。
...続きを読むも、贈与を受け取ってしまったら返さなきゃいけなくなり身動きが取れなくなる(恩を返す義務が生じてしまう気がする)というのはなるほどと思った。

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