石森愛彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
昆虫の学会で、若い研究者さんたちを優しく導く、著者の吉村仁先生、ナイスです!
この本は、そんなやさしさあふれる?吉村先生のロングセラーです。ページ数も少なく、フリガナ付き、やさしく読みやすく、小中学生以上にピッタリ。まるで30分の科学ドキュメント番組をみているようです。
石森愛彦さんのイラストもすばらしい!
読んでよかった。素数ゼミ(周期ゼミ)は知っていましたが、基本のとこ、誤解していることが多かったです。
わたしが誤解していたことは、1.サイズが普通のセミと同じ、2.全米に生息、3.全米で発生年がそろってる、4.アメリカには素数ゼミしかいない、など。そんなことなかったです。
吉村先生は、「素数ゼミの謎」を理解しやすいように「3つの謎」に分解し、それを順々に説明されています。
昔から13年と17年周期で現れる「素数ゼミ」は、ふつうに知られていたようです。
吉村先生はその現象に「地球の壮大な歴史」と「数字」の視点で論理を組み立てて、素数ゼミの進化のミステリーに解決の道筋をつけられました。パラダイム・シフトですねぇ。
この本は1996年「アメリカン・ナチュラリスト」に寄稿された論文がもとになったそうです。この本が出版された2005年でも、すべてを説明できているわけではないようですが。
吉村先生は、この研究の端緒を、「セミを調べることで「地球の壮大な歴史の不思議」と「数字の不思議」がわかる」からと書かれています。なんか後付けのように感じてしまいます(笑)
「数字」については、わずかな差が大きな違いになるため、生き残りの可能性を緻密に計算されたのでしょう。
では「地球の壮大な歴史」は?吉村先生はどうしてこの着想を得られたのでしょうか?これは「吉村仁の謎」ですね(笑)
いずれにせよ、孤独な集団である「周期ゼミ」と、孤独な数字である「素数」を、吉村先生が「進化」で結び付けた大傑作でした。 -
Posted by ブクログ
今年の夏ももう終わり。夏といえば、ここ一週間で元気な鳴き声が聞こえなくなったセミ。セミといえば、13年あるいは17年に一度だけアメリカの一部の地域ごとに大量発生する「素数ゼミ」という奇妙なセミの秘密が本書で解明されている。
そのような周期で成虫し、地方で億単位の匹数で発生する数種類のセミ。それまでは、ジッと地中で、その時を待っている。その謎を日本人の科学者が初めて解いたもの。
「素数」という言葉に得も言われぬ抵抗感がある方もいるが、これらのセミは、氷河時代を乗り越え、まさに「風雪に耐える」を幾度も経験しているため、絶滅を回避してきた逞しさがヒシヒシと伝わってくる。 -
Posted by ブクログ
素数ゼミは13年のものと17年のものがいます。
アメリカ全土で13年または17年周期にセミが一斉に羽化するわけではありません。
今年はこの地域の素数ゼミが羽化して、来年は別の地域の素数ゼミが羽化するという具合です。
幼虫の期間が長い理由は気温の影響です。
これは氷河期が影響しています。
気温が低いと成長に時間がかかりますし、寒いと幼虫の間に死んでしまう個体も増えます。
そうなりますと、羽化してもまわりに仲間がいないため繁殖の機会が得られないケースも出てきます。
そこで、氷河期と言えども盆地など比較的暖かい場所に、素数ゼミは固まって生息するように進化していきました。
次は発生のタイミングです。
バラバラのタイミングで羽化したのでは、羽化したときに仲間の数が少ないくては繁殖の機会は減ってしまいます。
そこでタイミングを合わせて羽化するようになりました。
それでは、なぜ13年や17年なのか?
元々、北部では14~18年周期のセミがいて、比較的暖かい南部では12~15年周期のセミがいたそうです。
15年周期のオスとメスからは15年周期の子ゼミが生まれ、18年周期のオスとメスからは18年周期の子ゼミが生ます。
しかし、セミには繁殖相手が何年周期のかはわかりません。
もし周期の違うオスとメスが交雑すると、子ゼミは周期がずれてしまいます。
(たとえば15年周期のオスと18年周期のメスから17年周期の子ゼミ生まれるなど)
周期がずれて羽化したセミは繁殖の機会を得られずに、死んでいきます。
こうして、なるべく交雑せずに世代を経た種のみが生き延びます。
交雑は発生周期の最小公倍数の年に起こります。
そうなると発生周期が素数であるほうが最小公倍数が大きくなり、交雑の回数は少なくなります。
これが現代に13年ゼミと17年ゼミが残った理由だそうです。 -
Posted by ブクログ
いやー,おもしろい本でした。しかも,納得させられてしまいました。
・13年と17年周期に出てくるセミたち
・なんでこの期間なのか。
・なぜ,同じ場所で大発生するのか
について,一つ一つそのなぞを解いていきます。
素数と言えば,「1と自分自身しか約数を持たない数」のこと。5年生の算数で習います。素数同士の最小公倍数は,そうじゃない数同士よりも結構大きめの数となります。これが,このセミが生き残ってきた原因でもあるのではないか…というのです。
これ以上話をするとネタバレになるのでよくないので,やめておきます。
ま,ドキドキしながら,著者の理論を読んでみてください。