藤井啓祐のレビュー一覧
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学生時代の光の物理について研究していたことからしばらく無線通信の技術に浸かってすっかり離れてしまった感があったのだけど、最近になって量子コンピュータ関連の話をあらためて仕事でかかわることになりそうだったので、準備のために読んでみることにしたのがこの本だ。一般知識としてまずどんなトレンドがあるのか含めざっと把握したいという思いから読んでみた。
けっこう序盤は大学生時代の学び直しの気分・・・。大学院の授業での量子エレクトロニクスを思い出した。マクスウェル方程式に青春をささげた(?)身としてはとても懐かしく、あーそうだったねぇ、と。18歳の時にアインシュタインロマンというNHKの番組を見たのをきっかけに物理への興味が強くなって光ファイバ通信に関連する学部・学科を進路に決めた。学生時代に光導波路解析という光の伝搬事象を電磁気学の理論から導出された波動方程式を差分法で解析する計算機シミュレーション手法を研究していた。そのときに量子エレクトロニクスの授業や電磁波工学、光の材料物性などの授業で聞いたとても懐かしい物理トピックがこの本の1章、2章に並ぶ。
アインシュタインの軌跡の年(1905年)の話も触れられていて、2005年にスイス旅行でベルンのアインシュタインの家に行き、博物館で軌跡の年から100年の特設展示も観てきたことを思い出させてくれtあ。この本の1章は私にとっては本当によい学び直しという感じで、光電効果やマクスウェルの方程式などの話をしみじみ懐かしさを感じながら読んだ。
一番役に立つと感じたのは、3章、4章だ。量子コンピュータの5大方式は、もし大学教員で文系学部の一般教養の授業を担当したら間違いなくこの説明を引用させてもらうだろう。数式もなく理解のしやすさはピカイチだと思う。やっぱり最先端の有識者は違うなぁ、と感じる。実用化をめぐる企業間の競争についても触れられていてビジネスパーソンの観点でICT業界にかかわる人ならば、もとても有益で参考になる情報に思える。物理とか数学って世の中の何の役に立つの?なんて思っている人にもけっこう納得してもらえるのではないかと思う。もう少し読み込んで、この「教養」の効果をいろんな場面で発揮できるようにしたい。 -
Posted by ブクログ
ほーほーなるほどそうなのかーと思いながら面白く読んだ。量子コンピュータの仕組みは何度聞いてもよくわからない。普通のコンピュータは0と1でーーこれもまあ理解してるとは言い難いが、すべてのことを0と1に分解してまあすごいスピードで計算するのねといういい加減な理解だけどまあわからんこともない。だけど量子コンピュータは0と1が重ね合わさってるので計算がすごくよくできるとか、は?しかなくて悲しい。
本書を読んで物足りなかったのは最後。量子コンピュータを何に使うかというところが、性能のいいコンピュータ以上の使い道が見えなかったことだろうか。AIもそうだけど、技術が人間の想像力を超え始めてるのだろうか。だから技術を世界に公表して使い道は市井の天才たちに考えてもらうという道を取るのかも。ちょっとこわい部分ではあるけど、そういう時代なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎量子ビット!
同著者の「教養としての量子コンピュータ」に参考文献として掲載がありもう少し量子について詳しく知りたくなって読んでみた。
本書も量子コンピュータに関わる歴史や原理、業界の状況、今後の展望が一通り書かれている。記載ついては少し難しいとも思われるが「教養…」と比べ、様々な概念の定義がしっかり説明されており、逆にわかりやすかった。
電子の存在の可能性が広がる状態や0と1だけの2進数による古典ビットの表現と、確率振幅よって様々な状態を表現できる量子ビットの違いがよくわかり、これはすごいと思ったところ。デジタルでは不可能だったことが量子コンピュータにより実現できるのではないかと期待を持った。
また、量子もつれ、量子テレポーテーションNP問題、P問題などが例を用いて説明されてよく理解できた。
業界としての情報は少し古くなっているが、量子についてより具体的にわかった本であった。デジタルではなくこれは新たなアナログの世界なのではないかと勝手に思った。この技術によってさらに世の中の技術が発展していくと感じる。 -
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ネタバレ⚫︎量子コンピュータの周辺
量子コンピュータを簡単に学べそうだと思い読んでみる。数式はほぼない。量子力学の始まり、アインシュタインからの反論などの歴史的流れに始まり、量子コンピュータの原理の概要、古典コンピュータとの比較、応用の考え、業界の動きや今後の予想など、物理学からの量子の視点だけでなく、一通りの量子力学や量子コンピュータに係る流れがわかる。
数式を使わずに言葉だけの説明だと逆に難しいと感じるところがあったが、そこを工夫してよくまとめられている。有限要素法など様々な分野へ応用され、AIと同じように新たなツールになっていくと感じた。
印象に残った点は、まずAIを使いこなせる人。自分で解答はわかっているが煩雑で手間がかかることをAiに任せているというのはとても参考になる。人を使う、道具を使うも何かを使うというのは同じなのだと思った。丸投げするのは何も改善には繋がらない。
次に解くために膨大な時間がかかり現実的に解くことが難しい問題は原理的に解くことが可能であったとしても不可能な問題として考えるということも身に染みて納得した。世の中は原理的に可能ならば、できるのだという風潮があり、それが迷惑になっている事例がある。この言葉はとても心に入った。量子コンピュータはこれを可能にするのか。
最後は技術の発展、効率化が人類にどこまで貢献するかなど哲学的な話となる。ここは一番重要と思う。どれだけ技術、コンピュータが進歩発展しても人間の発展、人間の幸せに繋がらなければ意味がない。こういう部分に触れているところが著者、本書の優れているところと思う。 -
Posted by ブクログ
『量子コンピュータ』て何なのよ。
特に興味を抱くこともなく、噂や誇張ばかりの現実性の乏しい世界の産物のように思って来た。
「教養としての…」と言われれば、ちょっと気になる。何も知らないのは技術者として拙いのではなかろうか?…
かなりいい加減な動機で読んでみました。
結論から言えば、この本を読んで量子コンピュータに興味を持つようになった。
しかし、論理的な部分では分かりやすく書こうとして、逆に分かり難くなった部分が少なからずあるように思う。
特に、『量子論』を全く知らない前提なので、いきなり常識とかけ離れた事象が出て来て戸惑う。
『んなアホな』と思ってしまう。古典的な物理学の考えを捨てないと話についていけない。
また、「誰が持つべき教養」なのかと言えば、ビジネスマンの教養なのだと思う。
量子コンピュータに群がるスタートアップ企業やGoogle、中国の国策など。
“利益“に結びつく世界の話に多くのページを割いている。次の10年に起きる変革を先取りしておこう。こんなことが起きるかも知れない、あるいは起きつつある。
物理学者としては、純粋に研究を進めたいのだろう。しかし、AIがそうであったように、直ぐに答え・実用性が見られなければ、冬の時代を迎えるかも知れない。研究には膨大な資金も要る。
世論の理解、日本における量子コンピュータの現在を描いて興味を掻き立てる必要性も強く感じているのだと思う。
著者の思惑通り、最初に書いたように量子コンピュータには興味が湧いたので、巻末の文献など参考にもう少しだけ深入りしてみようか…と考えている。
表面的な理解で分かった気にならないように…