林香里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2017年出版の書籍なので、幾分情報が古いが、2025年の今起きている様々な問題ー例えばトランプの再選、行き過ぎたリベラリズムへの反動、ワンクリック主義とも言えるネットの視聴数稼ぎによる選挙への影響などーが既にここで問題視されている。アメリカ、ドイツ、英国民のメディア認識を通して見えてくる、日本人の特異性など、いろいろ考えさせられることの多い本だった。著者の鋭利な分析と明晰な解説は示唆に富み、現代のメディアに係る諸問題を理解するのに大いに役立つ。
SCLエレクションズ社が所有しているCambridge Analytica 社は、集めた個人情報を元に人心と行動をコントロールし、トランプ当選に深く関与し、さらにBrexit にも貢献しているらしい。2025年現在ドイツでも、「ドイツのための選択肢」躍進に貢献し、ドイツの右傾化にも寄与しているらしい。恐ろしい時代になったものだ。 -
Posted by ブクログ
メディア表現とダイバーシティーを抜本的に検討する会を(MEDI)の一作目、足をどかしてくれませんか
はまだ読んでいない。
自分もSNSとの関わり方に反省と戸惑いが多く、また、特に悪い方の、声が大きい方の少数者の言説やネットを超えた実力行使など、スマートなネット社会になっていないことへの怒り、無力感、戸惑いもあり、皆が当たり前にスマホをもちSNSを使いながら貧困や困窮や困惑を覆い隠していることや、国境越えた犯罪集団のツールとして活躍していることなど踏まえ、興味深い論説とインタビュー読んだ。
ハンナアーレントが引かれ、
公共的領域に必須な価値として提示した複数性plurality
全体主義に対置、対抗する概念
他者の存在を共に生きることが人間、人間性であり、複数性のある世界に公共の空間は成立し民主的合意形成に至る活動が可能になる、と。
ネットで繋がる空間の中で、またネットがあるから実世界でのつながりがおろそかになったり気を許せるものでなくなり、バラバラにされた個人、他者と共存しようとする力が押し戻されかえってバラバラの個人が他者不在の全体主義へ向かうのではという警告。さもありなんとと思う。
小島慶子がいう我々はまだデジタル原始人尖った石で斧を作ったが良き使い方や斧の向かう先、その帰結がわからない原始の荒野にいる、ままですでにいくつものテクニカルなアップデートを経験し消化不良のままアップデートされていくのか
浜田敬子の皇室バッシング報道をめぐる考察ネット記事が営利目的で配信されるなか変化していく皇室報道と女性皇族バッシング、英国王室の学びと現状の違い
など、間違いが起きやすいジェンダーを様々な現場で試行錯誤しながら変えていこうとする取り組みや、表現の自由などを盾に展開される誤った、というか人権意識がない表現の自由のやからたちとの攻防、など、なかなか興味深い。
スマホを手に金魚より短い集中力しか維持できない人間、これを読みながらも、度々スマホが気になり気づけばTwitterを見てしまう自分も中毒であり、また、一つ一つの言葉やネット世界でのあり方を検証、自省しながら使っていくしかないと改めて感じた。
労作、力作、読ませていただきありがとう。今後もジェンダーとメディア論展開して拡散していただきたい。
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Posted by ブクログ
メディアと大衆、メディアと国家の関係性が説明されている。国によってメディアのポジションや意義が異なる点が興味深かった。
◯ドイツ
欧州各国と比較しても、メディアの信頼度は高い。ナチスの反省から「リベラル・コンセンサス」が形成され、多くのメディアは保守的な発言を忌避する。しかし難民危機、欧州統合への懸念から、極右勢力の台頭も目立ち、リベラル派メディアの地位を脅かす存在にまでなっている。
◯イギリス
階級社会という特徴がメディアにもよく出ている。イギリスでは発行部数の多さ=信頼できるメディアという方程式にはならず、むしろ反比例しており、ジャーナリズムの質が高いThe Guardianなどは発行部数がかなり少ない。一方ゴシップ紙と呼ばれるDaily Mailなどは信頼性が低く、情報の精度よりも商業的な注目度を重視するため、いわるゆゴシップ的な煽りも多く、右派は労働者階級の受け皿となっている。このように新聞社によってイデオロギーがはっきりと分かれてるが、国内で最も信頼されているBBCは公平・中立性を保っている。ただ中立性に固執するあまり、時に正確な情報伝達ができていないと批判されることもあり、EU離脱の際も問題となった。
◯アメリカ
国内ではテレビの影響力は依然として健在しているが、ソーシャルメディアの普及により、メディアの構造が劇的に変わった。2016年の大統領選の際、トランプはTwitterを利用して扇動的な発信を行い、知名度を上げ続け大統領の座に上り詰めた。CNNを「フェイクニュース」と断罪する様子も印象的だったが、他者を攻撃する用途で信頼性について言及する場面も増える。SNSの情報の信頼性は非常に不透明で、何が「フェイク」なのか?、そもそも「フェイク」の定義とは?といった問題に国全体が直面することになった。発行時期的に本書には書かれていなかったが、2020年の大統領選では、SNSが主流メディアといってもいいほど活用がなされ、SNS企業がフェイクニュースを規制するほどにも事態は発展したことは記憶に新しい。新興メディアによって社会が左右されている。
◯日本
日本でもメディアに対する不信はあるものの、欧米諸国と比較すると、その構造が少しが異なる。日本の場合は、「無関心」による不信とされており、そもそもメディアを通した政治参画・市民参画といったケースが少ない。「マイ・メディア」を持つことなく、無関与な態度で現代情報化社会をやり過ごそうという風潮が存在する。