小峰元のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ4.9
凄い。 どこまでも精密に作られた作品。
まず第一に
裏と表を絶妙に突いてくる。そして裏と表はとっても密接しているものだと教えてくれる。
法律のもと行った仕事だと正当化しつつ、法律なんて関係ない私が犯人に手を下してやると言う、健次郎。
そして、ラストには純朴、無垢な子供たちも
自身の正義を生きるためには手を汚すことも厭わないと思う。 あんなに敵視した健次郎も歩んだ道だろう通路を行く。
似たようなことなら、 父親に対し、近いからこそ憎しをもち、正しく生きようとするがその最中、自分から子を身籠りそして殺す選択をした事実。
これは子供だからこそできる選択。
女心もわからない鈍感男ね、と -
Posted by ブクログ
1970年代の日本
東京オリンピックや大阪万博など景気の良い話の陰に、強引な開発や公害の垂れ流しを「多少の犠牲はつきもの」としてうそぶきながら大人たちが日本再建に躍起のなか、子供達はイデオロギーに戸惑いながら戦前からの道徳感を打ち破って、少しづつ新しい時代を自ら作り出そうとしていた。
物語はそんな空気感の狭間で起こる事件をめぐり、大人たちと高校生たちを描く。
女子高生の妊娠と中絶手術のはての死
妻子ある男性との不倫とコンクリート詰の死体
鉄ぐし差しの死体と密室
青春ものとは縁遠いかに思われる内容が次から次へと起こる。
70年代に書かれてあっという間に当時の若者たちの間で広がった小説。
-
Posted by ブクログ
何かタイトルが今風かと思ったけど(アルキメデスの大戦と被ってるだけかも?^^;)、国鉄とか言葉出て来るから古い作品やな!
関西地方の話やから、分かるけど、この頃から比べたら、だいぶ、交通の弁も良くなってるで!
後で、調べたけど、めっちゃ有名な作品。東野圭吾さんが、作家を志すきっかけの作品やとか…
半世紀前ぐらいの作品なんで、多少の古さはあるけど、推理小説としては良い感じ。
時代背景は、感じるな。タイトルの意味もしかり。
しかし、こんな賢い高校生おるか?ってのは思う。
西村京太郎さんばりの時刻表のトリックとか(でも、西村京太郎さんの方が後発になるのかもしれん。)、アリバイ作りとか。
アルキの会 -
Posted by ブクログ
東野氏の原点として紹介されていた作品。昔と今とで随分と推理小説の形態が変化したと感じる。昨今は奇をてらった殺害方法やストーリーに緻密なまでに張り巡らされた伏線とその鮮やかな回収、そしてどんでん返しが期待されているが、そんなものがなくても面白い作品は面白い。姉の死に関してほとんど説明がなくてもOKなのだ。現代で出版されていたら、レビューで解説が足りないとか謎が残ると言われそう。文章も難しく、昔の学生はこんな文章も読めていたと思うと、よりわかりやすく簡素化が求められている昨今の私たちは、知能指数が落ちてきているのかな、と思ってしまった。
本筋の事件よりも、最後の弁当セリ市を開催していた田中の一 -
Posted by ブクログ
ライトノベル感のあるボヤキ系青春ミステリー連作短編集。「長門有希の100冊」に入っていたから買ったような気がしていたのに、調べたら入ってない。どこで見たんだ?
共通一次試験の時代の話なのに、西尾維新や谷川流のキャラクタみたいに小難しい言葉や雑学知識を詳らかに交えながらぼやく主人公が出てくる。そのギャップが少し面白い。
内容は至って阿呆で、「共通一次に向けて勉強している場合か。我々はこのままでは恋愛共通一次で足切りされてしまうぞ」とモテナイ男子高校生数名が一念発起色々やるうちに、いくつかの事件に巻き込まれたり絡んだりのっかったりする、という感じ。
読みやすいし、ミステリとしてもしっかりして -
Posted by ブクログ
★もうお伽噺の年齢は過ぎたんだぜ。(p.374)
3つの魅力(1)学生の頃、超ベストセラーでした。それゆえ逆に読む気になれなかったので、どんなんやったのかなあと楽しみ。(2)どうやら登場人物たちは高校生であり、この当時らしくそれ以前の世代に比してドライで、適度にシニカルで軽く、でもそれなりに反抗的、そして何かを探して焦っているように描かれてそう(読む前の予想)。読んでみて、この世代の雰囲気は出ているように思いました。まったく同世代なので、未熟なのに自分ではさばけているようなつもりになっているキャラたちに過去の自分を見るようで恥ずかしさがおもろいです。「新人類」という語が出たのはもうちょい後だっ