小峰元のレビュー一覧

  • アルキメデスは手を汚さない

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    第19回乱歩賞受賞作、なんと70年代!東野圭吾が読んで作家を志した本作、勉強がてら読んでみました。
    青春ミステリのはしりとも言われるこの作品、70年代の空気感は感じるがメッチャ読みやすい!
    大人と子供の理解の断絶は不変的なものなのだろうかな。謎が小粒だがタイトルがカッコいいね!

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    2025年06月02日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    ・社会や大人に対して自分達を主張したい高校生による青春小説としても読める。そこに3つの事件が発生し心理的な攻防戦が展開されていくのが面白い。
    ・言葉の表現、空気感が時代性を感じるが思春期から大人へと変貌していく剥き出しの精神的な部分は今と変わらない。

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    2023年12月20日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    ★もうお伽噺の年齢は過ぎたんだぜ。(p.374)
    3つの魅力(1)学生の頃、超ベストセラーでした。それゆえ逆に読む気になれなかったので、どんなんやったのかなあと楽しみ。(2)どうやら登場人物たちは高校生であり、この当時らしくそれ以前の世代に比してドライで、適度にシニカルで軽く、でもそれなりに反抗的、そして何かを探して焦っているように描かれてそう(読む前の予想)。読んでみて、この世代の雰囲気は出ているように思いました。まったく同世代なので、未熟なのに自分ではさばけているようなつもりになっているキャラたちに過去の自分を見るようで恥ずかしさがおもろいです。「新人類」という語が出たのはもうちょい後だったと記憶していますが、その萌芽のような世代と旧世代の大人たちの乖離と歩み寄り。(3)展開はテンポよく読みやすいです。ちょっと古い作風なのは間違いないですが、レトロさも楽しめるかも。

    ■簡単なメモ
    【一行目】葬式は、ほどほどに厳粛で、ほどほどに盛大で、ほどほどに湿っぽかった。

    【荒木之夫】二年二組。美雪とは気が合っていたらしい。
    【有田】美雪を診察した産婦人科医。
    【アルキメデス】美雪が最後に二度つぶやいた言葉。
    【延命美由紀】美雪の友人。いっしょに琵琶湖に行った一人。ファーストネームが同じなので怪しいひとり。
    【大賀】葬儀社の主任。
    【大塚礼光】豊中東警察署刑事。三十歳前後。野村の権威を振りかざさない捜査方法を馬鹿にしているところがある。ということは当人は相手を威圧しながら捜査したいタイプなのだろう。
    【会葬者】《女学生ってのは、全く葬儀屋にとっては最高の会葬者だね。湿っぽくて、それでいてほどほどに色っぽくて。葬式の雰囲気が、ぐっと盛り上がると言うものだ。》p.9
    【亀井久美子】正和の妻。
    【亀井正和】柳生の姉、美沙子の恋人。結婚三年目の妻と二歳になる子供がいるので不倫ということになる。いろいろあって現在は言い争いも小康状態で親公認のような形になってしまっている。柳生隆保にとってはそういうことはどうでもいいのだが、なんとなく好きになれないタイプ。自宅は西宮市。行方不明となる。不倫関係
    【健次郎】→柴本健次郎
    【高校生】《老人も高校生も、仕事がなくて金もない。そして人生に生き甲斐を見いだせないでいる》p.357。《いまの日本で、知能指数の一番高いのは、われわれ高校二年生なんだぜ。》p.366
    【校長】日本史専攻。古武士のような風格を持つことが自慢。
    【柴本健次郎】美雪の父。株式会社柴本工務店代表取締役社長。《いまは葬式という滑稽な儀式のさいちゅうなんだ。》p.12などと毒を含んだ物言いで妻を諭すいっぽう《美雪、仇は必ずとってやる》p.19と単純につぶやいたりもする。海千山千の実力者で警察に頼らず独自に捜査する。怪しいヤツがいたら何をするかわからないタイプ。
    【柴本祥子】美雪の母。《あなたたちの中の誰なんです。美雪を死へ追い込んだのは。》p.10。美雪の死の原因を作った誰かを憎んでいる。かなりヒステリックになっているようだ。
    【柴本美雪】死んだ女子高生。豊能高校二年。十七歳。父は柴本健次郎は会社社長。母は柴本祥子。死因は妊娠中絶手術の失敗だったようで学校の誰もが知っているが両親は公にはしていない。学校では美雪自身が気づく前すでに妊娠の噂が流れていたという奇妙な事態があった。
    【修学旅行】四国一周らしい。柳生の事件があったちょっと後に実施。
    【祥子】→柴本祥子
    【庄内】豊中の一地域。《都市スラム化寸前の地域であった。》p.121。当時の庄内はよく知っているけどぼく的には雑然とした雰囲気は悪くないと思ってました。庄内市場とか有名やったし。
    【武田長也】二年二組。
    【田中信博】弁当セリ市を発案した。
    【豊中商業高校】伝統的に豊能高校と仲が悪い。
    【豊能高校】柴本美雪や主要登場人物たちが通っている高校。
    【内藤規久夫】柴本美雪のクラスメート。いまだ「少年」に止まっている。美雪に恋愛感情を抱いていたようだ。健次郎の会社が建てたマンションのせいで家の日照が悪くなり、それが原因か祖母が身体を壊して死んだ。
    【野村恒男】ある意味主人公。豊中東警察署刑事。五十歳前後。相手に威圧感を与えないので大塚には不満がられているが気にしていない。自問自答しつつ捜査するタイプ。今回の事件の被疑者たちと同年輩の息子がいるので複雑な思いが生じている。
    【葉山弘行】二年一組。美雪とは同じ卓球部で美雪に気があった。軽い調子ではっきりモノを言う。
    【藤田正幸】美雪の担任。国語科主任で短歌をよくする穏やかな人物。健次郎に協力を要請される。
    【弁当セリ市】豊能高校二年二組の名物イベント。その日は弁当を食べたくない生徒がそれを提供しクラス内で競り落とす。田中信博が取り仕切っていた。
    【マイアミ】ここでは琵琶湖のそういう名前がついた恥ずかしい水浴場。美雪が友人たちと四人グループで三泊四日の旅行をした場所。
    【前川佳代子】美雪の友人。いっしょに琵琶湖に行った一人。
    【美雪】→柴本美雪
    【峰高志】二年二組。美雪とは中学からずっと同級。声がデカい。
    【宮崎令子】美雪の友人。いっしょに琵琶湖に行った一人。
    【柳生幾代】隆保の母。寡婦で生命保険の外交員。
    【柳生隆保】柴本美雪のクラスメート。すでに「青年」に入りかけている。ちょっとシニカルなタイプ。クラス内の実力者。内藤とは同じ中学出身。内藤の弁当を食べ砒素中毒で倒れたが命はとりとめた。
    【柳生美沙子】貿易会社OL。亀井正和と不倫している。母や弟も知っている。
    【芳野】葬儀社の社員。美雪の死因をネタに柴本健次郎を恐喝する。場数は踏んでいるようだ。が、その手のことには慣れている健次郎には、逆に利用されることになり探偵役を仰せつかる。

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    2023年11月04日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    東野圭吾さんが作家を目指すきっかけになった本
    そういえばなんとなくプロットが似てたような
    大昔の本だから時代背景違うけどそれでも楽しめた
    そしてなによりタイトルが秀逸
    こういう最後にタイトルの意味がわかる小説好き!

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    2023年10月16日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    今ではあまり使用されない漢字や言い回しが数多く出てきて、調べながらなのでテンポ良く読む事が出来なかった。
    柴本健次郎は、社長なのに感情の起伏が激しく、一方で高校は落ち着いていて頭の回転も早い。どっちが大人なのか、少し違和感を感じる。
    謎解きも、あまりひねりもない。
    タイトルの『アルキメデスは手を汚さない』も最後に解説しているが、このストーリーとの関連性も弱い。
    ストーリーとしては悪くはないが、タイトルから期待してハードルを上げた分、物足りなさを感じる。

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    2023年09月19日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    「アルキメデス」という言葉を残して死んでいった女子高生・美雪。彼女の死の真相を握る級友たちは大人たちの追及を嘲笑うようにかわしていく。クラスメートの弁当に紛れた毒、ある男の失踪、いずれの事件にも柳生という生徒が関わっているようだが・・・。
    昭和47年の学園を舞台に若者の未成熟な友情と世間への反抗を示した青春推理小説。

    1972年の江戸川乱歩賞、高校を舞台に人の死の真相を扱った青春ミステリーの先駆けといえる作品ですね。とはいえその青春は現代とはとても似つかないような内容となっています。解説に「青春悪漢小説」と述べられている通り、この作品に出てくる高校生たちはアウトローで小生意気で大人への敬意を知らぬ未成熟な若者です。当時はSNSは勿論、携帯の普及もない時代なので若者たちのストレスや主張は直接的な言動や行動によって示すしかないのでしょう。それが正解なのか不正解なのはさて置き、おそろしく行動的で危なっかしい青年たちが事件の中心陣取っています。一方で追及する側の大人たちはというと極一部を除き、まともな大人たちなのでさらに青年たちの生意気さを際立たせています。
    物語の謎が氷解した後に残る若者たちへの印象は「分からない」、「理解できない」という意見が多いと思います。それは作中の刑事もそう感じている通り作者も納得づくの計算、本作はそんな得体の知れぬような不安定な若者像をあえて表現していると感じます。

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    2023年01月16日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    ネタバレ

    関係のなさそうな3つの事件が、アルキメデスの会を中心に繋がってゆく。ミステリとしてはそれほどだったが、当時の高校生たちの〝ヤング悪漢〟ぶり、そして彼らとの世代の壁を感じ戸惑う刑事や教師のおじさん世代との対比がメインで、青春ミステリであることは間違いない。高校生たちのヤングぶりは、現代の高校生と比べても際立っていて、学園闘争などがあった時代だからなのか、とても生き生きとしている。アルキの会の思想は、おそらく現代の若者たちは持ち得ないもので、ゆえに現代では起こらない事件だろう。
    ずっと気になっていた作品を読めてよかった。

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    2022年11月17日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    1973年って、生まれる前やん。

    それくらい前の作品だから、言葉遣いとか、雰囲気とかはどうしても昔感が溢れていて、若干の読みづらさを覚えた。

    しかし、内容としては、こうして復刊{2006年)されるだけあって、読ませる作品であった。

    トリックとか結末は、それほど驚く様なものでは無かったけれど、興味深く読めた。

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    2022年06月01日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    時代背景として全共闘世代の少し下 自分より少し上 その頃の高校生の感性・言葉の質  こんな風な物語の仕上がりになるんだ・・・

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    2021年06月29日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    40年も前に書かれた作品だったとは…。年齢的には、この時代の高校生たちは私にとっては親世代にあたるんだけど、どちらかと言うと教師や刑事寄りに「若いもんの考えることはわからん」という印象(笑)あまり古くささは感じさせず、若者は若者らしかった。

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    2021年05月31日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    女子高生が手術で死亡
    男子高生が毒入り弁当食べ
    青年が行方不明から殺害発覚
    女性が自殺?
    刑事が事件を追う
    タイトルは終盤になるほどという展開も

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    2020年04月28日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    古風だと思う、言葉回しも、考え方も、何もかも。江戸時代終末から昭和にかけて、押さえつけられていた人間のエゴや顕示欲や自己実現欲が溢れ出た気がする。ダムに留められた貯水が、開門されて轟々と流れ出るような、そんな暴力的な溢れ方だと思う。責任の所在は誰にあるのか。そんなことを問いただすかのような題名ではあるが、そんなことは正直どうでもいいし、この小説においても、そこまで鮮明にそこにフォーカスできているわけではない。ミステリーとしても古風。それよりは、それぞれの登場人物の古めかしさそのものが、十分一つのテーマ足り得ると思うが、多分そこは逆に作者にしてはどうでもいいところなのかな。噛み合わなかった。

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    2019年09月01日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    出張の機内で読もうと、成田空港の本屋で買った一冊。

    敢えて慎重に選ばず、タイトルだけ見てさっと選んだ後に、
    昭和48年に書かれた江戸川乱歩賞作品だったことを初めて
    知った。

    普段あまり推理小説やミステリーを読まないワタシは、
    この本が青春推理の先がけであることはもちろん、そも
    そも青春推理というジャンルがあることすら知らなかった。

    というきわめて"うぶ"な読者の感想としては、テンポが
    あって明るいものだね、というところ。テンポはよかった
    けれど、この明るさは、たまにしか推理ものを読まない
    ワタシが推理ものに期待しているものではなかった。

    でも、この小説が書かれた時代を感じながら読むのは
    なかなか楽しかった。これは今は違うだろというものも
    あれば、今も言えてるというものがあったり。


    主人公たちが高校生だし、もし自分が高校生のときに
    読んでいたら、けっこう衝撃的だったかもしれない。

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    2018年11月18日
  • アルキメデスは手を汚さない

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    本書は1973年(昭和48年)に江戸川乱歩賞を受賞した青春ミステリーの魁となる作品。
    ある高校生の死をきっかけに紐解かれていく同級生たちの思惑。
    当時の高校生たちの感性を織り込みながら、綴られていく物語は、単なるミステリーの枠を超えて、読み応えがある。
    ただ、登場人物のキャラクターがそれほど際立っていないのが、ナチュラルと言えばそうなのだが、もう一つ物足りないように感じた。
    それは、その後のミステリーのキャラクターが立ちすぎているせいであろうか。あるいは、読者の欲張りすぎであろうか。

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    2023年01月05日