小峰元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★もうお伽噺の年齢は過ぎたんだぜ。(p.374)
3つの魅力(1)学生の頃、超ベストセラーでした。それゆえ逆に読む気になれなかったので、どんなんやったのかなあと楽しみ。(2)どうやら登場人物たちは高校生であり、この当時らしくそれ以前の世代に比してドライで、適度にシニカルで軽く、でもそれなりに反抗的、そして何かを探して焦っているように描かれてそう(読む前の予想)。読んでみて、この世代の雰囲気は出ているように思いました。まったく同世代なので、未熟なのに自分ではさばけているようなつもりになっているキャラたちに過去の自分を見るようで恥ずかしさがおもろいです。「新人類」という語が出たのはもうちょい後だったと記憶していますが、その萌芽のような世代と旧世代の大人たちの乖離と歩み寄り。(3)展開はテンポよく読みやすいです。ちょっと古い作風なのは間違いないですが、レトロさも楽しめるかも。
■簡単なメモ
【一行目】葬式は、ほどほどに厳粛で、ほどほどに盛大で、ほどほどに湿っぽかった。
【荒木之夫】二年二組。美雪とは気が合っていたらしい。
【有田】美雪を診察した産婦人科医。
【アルキメデス】美雪が最後に二度つぶやいた言葉。
【延命美由紀】美雪の友人。いっしょに琵琶湖に行った一人。ファーストネームが同じなので怪しいひとり。
【大賀】葬儀社の主任。
【大塚礼光】豊中東警察署刑事。三十歳前後。野村の権威を振りかざさない捜査方法を馬鹿にしているところがある。ということは当人は相手を威圧しながら捜査したいタイプなのだろう。
【会葬者】《女学生ってのは、全く葬儀屋にとっては最高の会葬者だね。湿っぽくて、それでいてほどほどに色っぽくて。葬式の雰囲気が、ぐっと盛り上がると言うものだ。》p.9
【亀井久美子】正和の妻。
【亀井正和】柳生の姉、美沙子の恋人。結婚三年目の妻と二歳になる子供がいるので不倫ということになる。いろいろあって現在は言い争いも小康状態で親公認のような形になってしまっている。柳生隆保にとってはそういうことはどうでもいいのだが、なんとなく好きになれないタイプ。自宅は西宮市。行方不明となる。不倫関係
【健次郎】→柴本健次郎
【高校生】《老人も高校生も、仕事がなくて金もない。そして人生に生き甲斐を見いだせないでいる》p.357。《いまの日本で、知能指数の一番高いのは、われわれ高校二年生なんだぜ。》p.366
【校長】日本史専攻。古武士のような風格を持つことが自慢。
【柴本健次郎】美雪の父。株式会社柴本工務店代表取締役社長。《いまは葬式という滑稽な儀式のさいちゅうなんだ。》p.12などと毒を含んだ物言いで妻を諭すいっぽう《美雪、仇は必ずとってやる》p.19と単純につぶやいたりもする。海千山千の実力者で警察に頼らず独自に捜査する。怪しいヤツがいたら何をするかわからないタイプ。
【柴本祥子】美雪の母。《あなたたちの中の誰なんです。美雪を死へ追い込んだのは。》p.10。美雪の死の原因を作った誰かを憎んでいる。かなりヒステリックになっているようだ。
【柴本美雪】死んだ女子高生。豊能高校二年。十七歳。父は柴本健次郎は会社社長。母は柴本祥子。死因は妊娠中絶手術の失敗だったようで学校の誰もが知っているが両親は公にはしていない。学校では美雪自身が気づく前すでに妊娠の噂が流れていたという奇妙な事態があった。
【修学旅行】四国一周らしい。柳生の事件があったちょっと後に実施。
【祥子】→柴本祥子
【庄内】豊中の一地域。《都市スラム化寸前の地域であった。》p.121。当時の庄内はよく知っているけどぼく的には雑然とした雰囲気は悪くないと思ってました。庄内市場とか有名やったし。
【武田長也】二年二組。
【田中信博】弁当セリ市を発案した。
【豊中商業高校】伝統的に豊能高校と仲が悪い。
【豊能高校】柴本美雪や主要登場人物たちが通っている高校。
【内藤規久夫】柴本美雪のクラスメート。いまだ「少年」に止まっている。美雪に恋愛感情を抱いていたようだ。健次郎の会社が建てたマンションのせいで家の日照が悪くなり、それが原因か祖母が身体を壊して死んだ。
【野村恒男】ある意味主人公。豊中東警察署刑事。五十歳前後。相手に威圧感を与えないので大塚には不満がられているが気にしていない。自問自答しつつ捜査するタイプ。今回の事件の被疑者たちと同年輩の息子がいるので複雑な思いが生じている。
【葉山弘行】二年一組。美雪とは同じ卓球部で美雪に気があった。軽い調子ではっきりモノを言う。
【藤田正幸】美雪の担任。国語科主任で短歌をよくする穏やかな人物。健次郎に協力を要請される。
【弁当セリ市】豊能高校二年二組の名物イベント。その日は弁当を食べたくない生徒がそれを提供しクラス内で競り落とす。田中信博が取り仕切っていた。
【マイアミ】ここでは琵琶湖のそういう名前がついた恥ずかしい水浴場。美雪が友人たちと四人グループで三泊四日の旅行をした場所。
【前川佳代子】美雪の友人。いっしょに琵琶湖に行った一人。
【美雪】→柴本美雪
【峰高志】二年二組。美雪とは中学からずっと同級。声がデカい。
【宮崎令子】美雪の友人。いっしょに琵琶湖に行った一人。
【柳生幾代】隆保の母。寡婦で生命保険の外交員。
【柳生隆保】柴本美雪のクラスメート。すでに「青年」に入りかけている。ちょっとシニカルなタイプ。クラス内の実力者。内藤とは同じ中学出身。内藤の弁当を食べ砒素中毒で倒れたが命はとりとめた。
【柳生美沙子】貿易会社OL。亀井正和と不倫している。母や弟も知っている。
【芳野】葬儀社の社員。美雪の死因をネタに柴本健次郎を恐喝する。場数は踏んでいるようだ。が、その手のことには慣れている健次郎には、逆に利用されることになり探偵役を仰せつかる。 -
Posted by ブクログ
「アルキメデス」という言葉を残して死んでいった女子高生・美雪。彼女の死の真相を握る級友たちは大人たちの追及を嘲笑うようにかわしていく。クラスメートの弁当に紛れた毒、ある男の失踪、いずれの事件にも柳生という生徒が関わっているようだが・・・。
昭和47年の学園を舞台に若者の未成熟な友情と世間への反抗を示した青春推理小説。
1972年の江戸川乱歩賞、高校を舞台に人の死の真相を扱った青春ミステリーの先駆けといえる作品ですね。とはいえその青春は現代とはとても似つかないような内容となっています。解説に「青春悪漢小説」と述べられている通り、この作品に出てくる高校生たちはアウトローで小生意気で大人への敬意を知らぬ未成熟な若者です。当時はSNSは勿論、携帯の普及もない時代なので若者たちのストレスや主張は直接的な言動や行動によって示すしかないのでしょう。それが正解なのか不正解なのはさて置き、おそろしく行動的で危なっかしい青年たちが事件の中心陣取っています。一方で追及する側の大人たちはというと極一部を除き、まともな大人たちなのでさらに青年たちの生意気さを際立たせています。
物語の謎が氷解した後に残る若者たちへの印象は「分からない」、「理解できない」という意見が多いと思います。それは作中の刑事もそう感じている通り作者も納得づくの計算、本作はそんな得体の知れぬような不安定な若者像をあえて表現していると感じます。 -
Posted by ブクログ
古風だと思う、言葉回しも、考え方も、何もかも。江戸時代終末から昭和にかけて、押さえつけられていた人間のエゴや顕示欲や自己実現欲が溢れ出た気がする。ダムに留められた貯水が、開門されて轟々と流れ出るような、そんな暴力的な溢れ方だと思う。責任の所在は誰にあるのか。そんなことを問いただすかのような題名ではあるが、そんなことは正直どうでもいいし、この小説においても、そこまで鮮明にそこにフォーカスできているわけではない。ミステリーとしても古風。それよりは、それぞれの登場人物の古めかしさそのものが、十分一つのテーマ足り得ると思うが、多分そこは逆に作者にしてはどうでもいいところなのかな。噛み合わなかった。
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Posted by ブクログ
出張の機内で読もうと、成田空港の本屋で買った一冊。
敢えて慎重に選ばず、タイトルだけ見てさっと選んだ後に、
昭和48年に書かれた江戸川乱歩賞作品だったことを初めて
知った。
普段あまり推理小説やミステリーを読まないワタシは、
この本が青春推理の先がけであることはもちろん、そも
そも青春推理というジャンルがあることすら知らなかった。
というきわめて"うぶ"な読者の感想としては、テンポが
あって明るいものだね、というところ。テンポはよかった
けれど、この明るさは、たまにしか推理ものを読まない
ワタシが推理ものに期待しているものではなかった。
でも、この小説が書かれた時代を感じながら読むのは
なかなか楽しかった。これは今は違うだろというものも
あれば、今も言えてるというものがあったり。
主人公たちが高校生だし、もし自分が高校生のときに
読んでいたら、けっこう衝撃的だったかもしれない。