小峰元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「アルキメデス」という言葉を残して死んでいった女子高生・美雪。彼女の死の真相を握る級友たちは大人たちの追及を嘲笑うようにかわしていく。クラスメートの弁当に紛れた毒、ある男の失踪、いずれの事件にも柳生という生徒が関わっているようだが・・・。
昭和47年の学園を舞台に若者の未成熟な友情と世間への反抗を示した青春推理小説。
1972年の江戸川乱歩賞、高校を舞台に人の死の真相を扱った青春ミステリーの先駆けといえる作品ですね。とはいえその青春は現代とはとても似つかないような内容となっています。解説に「青春悪漢小説」と述べられている通り、この作品に出てくる高校生たちはアウトローで小生意気で大人への敬意を -
Posted by ブクログ
古風だと思う、言葉回しも、考え方も、何もかも。江戸時代終末から昭和にかけて、押さえつけられていた人間のエゴや顕示欲や自己実現欲が溢れ出た気がする。ダムに留められた貯水が、開門されて轟々と流れ出るような、そんな暴力的な溢れ方だと思う。責任の所在は誰にあるのか。そんなことを問いただすかのような題名ではあるが、そんなことは正直どうでもいいし、この小説においても、そこまで鮮明にそこにフォーカスできているわけではない。ミステリーとしても古風。それよりは、それぞれの登場人物の古めかしさそのものが、十分一つのテーマ足り得ると思うが、多分そこは逆に作者にしてはどうでもいいところなのかな。噛み合わなかった。
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Posted by ブクログ
出張の機内で読もうと、成田空港の本屋で買った一冊。
敢えて慎重に選ばず、タイトルだけ見てさっと選んだ後に、
昭和48年に書かれた江戸川乱歩賞作品だったことを初めて
知った。
普段あまり推理小説やミステリーを読まないワタシは、
この本が青春推理の先がけであることはもちろん、そも
そも青春推理というジャンルがあることすら知らなかった。
というきわめて"うぶ"な読者の感想としては、テンポが
あって明るいものだね、というところ。テンポはよかった
けれど、この明るさは、たまにしか推理ものを読まない
ワタシが推理ものに期待しているものではなかった。
でも、