【感想・ネタバレ】アルキメデスは手を汚さないのレビュー

ユーザーレビュー

ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月13日

4.9
凄い。 どこまでも精密に作られた作品。
まず第一に
裏と表を絶妙に突いてくる。そして裏と表はとっても密接しているものだと教えてくれる。

法律のもと行った仕事だと正当化しつつ、法律なんて関係ない私が犯人に手を下してやると言う、健次郎。

そして、ラストには純朴、無垢な子供たちも
自身の正義を...続きを読む生きるためには手を汚すことも厭わないと思う。 あんなに敵視した健次郎も歩んだ道だろう通路を行く。

似たようなことなら、 父親に対し、近いからこそ憎しをもち、正しく生きようとするがその最中、自分から子を身籠りそして殺す選択をした事実。
これは子供だからこそできる選択。

女心もわからない鈍感男ね、といった本人が鈍感女。おなじ科白(使いたかった笑)を吐かれるし。

もっと沢山、裏と表の密接部分を感じたところはあったんだけどなぁ。 それを書くのは難しい。

そして
第二に、子供心が忠実すぎる。

本当に、正義の履き違え、思い込みと夢見がちと… 本当に大人と子供の間をよく書かれている。
青春物は相当苦手だけど これは夢見てない、リアルなものでスッと入ってくる。好きなやつ。

後半の供述には夢中になって読んだ。
内藤は、美雪が誘ってきたんだと糞男を演じたが、美雪に対して悪気はなく、なんなら誠意をもっての行動だった事実。これは衝撃を受けた。犯すことを正当化し一石二鳥等とほざき、睡眠薬を使うことを決め、
最中に怯んだが柳生を求める美雪に苛立ち犯してやろうと決意したというのに。
自分の感情をまとめることは難しい年頃。感情の行くままにそれを素直に受け入れてしまう。本当に高校生というのを良く書かれてる。

これと類似してる部分はこれ↓
学園紛争で学内に立てこもった学生の間で乱交が行われていて その行為が彼らの意義を昂める源泉であるというということ。
まぁこれは単に、吊り橋理論もプラスされ、その行為にハマってるだけともいえるけどね。笑

そして何より、371ページ
二人の好意が、愛に醸成されていくのを静かに待っておればよかったのだ。美雪も内藤もアルキの会も、どうだってよかったのだ。あれも、これも、私はおおよそ道化た空転をしていたのだ 。

これこそが子供心を忠実に再現されていると感じた。

夢中になれる何かを探していただけのこと。
そしてその事実も素直に受け入れられてしまうこと。
私はそう解釈した。

そして重大な、アルキメデス発言して亡くなった美雪。
アルキメデスは、直接的には手を下してなく、死ぬまで正当化したが、現実はそう綺麗なものになってる訳がなかった。
美雪も、自分の選んだ道を正当化したいがため
アルキメデスを心に刻んで亡くなった。
虚しいな…。 

そしてこれを読んで思ったことは
「愛は世界を救うとは良く言ったもんやな」
失笑。 そっちに捉えた。笑

これ、時代背景が密に関わってくるけど
17歳はどの時代でも17歳だった。
現実と理想の狭間を葛藤する部分なんて何も今の若者とかわらない。
私の17歳も、本当にこれだった。
なんなら、17のあの頃が無知であるからこそ一番綺麗で正論を突いた意見を芯に持っていた気がする。
24歳の今は、汚れたような、本当の残酷さと本当の優しさをゲットできたような。それでも17の頃より弱くなったような感覚。
だからこそ、懐かしさとフィクションさが丁度よかった。


ミステリー部分を何も言ってないけど、 ミステリーとしてもすごくよかった。テンポがよく飽きさせない、そして一つ一つ点が繋がっていく良い感覚を最高に体験させてくれる。
持ち上げすぎ? いや、全くそんなことないわ。

この本、題名のセンスも良すぎ。
アルキメデスは手を汚さない
○○が、死んだ、倒れた、消えた
幼児が舐めた
老婆が感謝した
母が庇った …。

比喩なしに、ストレートに教えてくれる。
アルキメデスは手を汚さない、も丁寧に意味を教えてくれる。

村上春樹やエヴァのような
芯だけ明確にし、相手に考えさせ、都合よく解釈できるようにし、信者にさせるようなものではない。どっちも大好きだけど

この本は全てを教えてくれる。疑問を一つも残さない。

良書すぎる。

一つ苦労したのは、言葉のチョイスの古さ、旧字体が使われていること。

読めない漢字をスルーして半分まで読み進めて、
これは良書だから、この読み方は絶対勿体無い!と気付き
又一から読み直した。笑 次は漢字もちゃんと調べて。笑
良かった。 読み直して。本当に。

楽しかったです!!

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Posted by ブクログ 2014年07月06日

元祖青春ミステリーだそうです。タイトルは普遍的で意味深い。人類は進歩し続けると共に失う、寧ろ自分自信を殺す羽目になる。そんな一つのパラドックスを投げかけてます。トリック云々を語る推理小説ではないです。高校生の現実を明るみにだした、当時としてはちょっとしたエポックメイキング的な作品だったのでしょうか。...続きを読む本作は東野圭吾氏が作家を志すきっかけとなったことで有名らしいです。

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Posted by ブクログ 2019年02月15日

それほど古い作品だとは知らずに手に取りましたが、登場人物がなんとも言えない魅力を醸し出しているので、飽きる事なくあっという間に読めてしまいました。
推理という面では少しあっさりした作品ですが、今の学生の青春とはまた違った形の青春を感じるストーリーが魅力的です。

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Posted by ブクログ 2016年12月03日

古臭さを感じさせない青春ミステリー!
これくらいの時代の人って堅苦しい言い回しが多いのに、この作品はそれが無く面白かった。

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Posted by ブクログ 2013年10月16日

舞台となるのは1972年。
あたしの生まれる10年も前の話だけれども、全然大丈夫。
実感として「まったくわかんないなぁ」ということはなく…。
むしろ、現在でも十分起こりうる状況、あるいはありえる考え方が多くて、びっくりしたくらいです。
72年と言えば、ちょうどあたしの両親も高校生くらいだけれど、なん...続きを読むだかあたしと大して変わらない高校生活を送っていたのかなぁ、なんて思ったり。(ただ、これは「悪漢小説」らしいから、当時の高校生の全部が全部、こんな高校生ではなかったのだろうけど)

そう考えると、ここ30年くらい、社会っていうのは、とくに学校の中っていうのは、あんまり変わってないのかも…と思ったりします。

ただ、やっぱり共感できないところもあって…。
一番、現在の高校生とは違うなぁと思ったことは、やっぱり「思想」。

社会学者である土井隆義は、「生きづらさの系譜学」(詳しい出典は最後に)という論文の中で、だいたいこの本の高校生たちと同世代にあたる少女(高野悦子)と、1990年代後半に高校生をしていた少女(南条あや)、2人が自殺するまでの数年分の日記(南条の場合はブログだけど)をとおして、彼女たちが「自己」をどう捉えているのか、その相違点や共通点を分析しています。
その結果、明らかになった相違点のひとつに、高野の場合は「思想」が「自己を支えるもの」として機能していたけれども、南条の場合にはそのような「思想」は見受けられない、ということがあります。
※今、手元に論文がない状態で書いているので、細かいところで違うところがあるかも。

思想、というのは、政治的・社会的・啓蒙的な思想。
土井の論文における高野や、この本における主人公たちは、学生運動が盛んな時期を体験しているから、その影響を受けて、自らのアイデンティティの根幹をなすほどに、そうした思想に傾倒したり、あるいは傾倒とまではいかなくとも、受容しやすい構えができていたりする。
でも、今の若い世代にとっては、そういう思想はむしろかっこわるかったりするし、だからといって、そうした思想に取って代わるような新しい思想もない。

あたしがこの本を読んで、一番共感しがたいと思った部分、一番、今とは違うなぁと思った部分は、やっぱりそうした政治的・社会的な「思想」のもとに行動を起こすことができる、というところ。

なんか、書きたいことは1つだけだったのに、長くなっちゃった。
…というわけで、今日はここまで。

注)
土井隆義、2002、「生きづらさの系譜学 ー高野悦子と南条あや」、亀山佳明ほか編、『文化社会学への招待 ー<芸術>から<社会学>へ』、世界思想社

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Posted by ブクログ 2014年11月14日

家臣に市民を殺すよう指示したアルキメデス。アルキメデスから指示され市民を殺した家臣。手を汚した、と言えるのは家臣だけなのか、アルキメデスだけなのか、両方なのか?

本当に悪いのは誰なのか、親が子を庇い、子が親を庇い、友達に協力したり、庇ったり、好きだったり、嫉妬したり。

日本で一番知能指数が高いの...続きを読むは我ら高校2年生!ノーベル物理学賞の受賞者も我ら程の古文の読解力はあるまい!だから大人に刃向かうのも遠慮はいらないんだよ!
っていう最後の田中の見解が好き。

ミステリー

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Posted by ブクログ 2020年04月28日

女子高生が手術で死亡
男子高生が毒入り弁当食べ
青年が行方不明から殺害発覚
女性が自殺?
刑事が事件を追う
タイトルは終盤になるほどという展開も

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Posted by ブクログ 2019年09月01日

古風だと思う、言葉回しも、考え方も、何もかも。江戸時代終末から昭和にかけて、押さえつけられていた人間のエゴや顕示欲や自己実現欲が溢れ出た気がする。ダムに留められた貯水が、開門されて轟々と流れ出るような、そんな暴力的な溢れ方だと思う。責任の所在は誰にあるのか。そんなことを問いただすかのような題名ではあ...続きを読むるが、そんなことは正直どうでもいいし、この小説においても、そこまで鮮明にそこにフォーカスできているわけではない。ミステリーとしても古風。それよりは、それぞれの登場人物の古めかしさそのものが、十分一つのテーマ足り得ると思うが、多分そこは逆に作者にしてはどうでもいいところなのかな。噛み合わなかった。

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Posted by ブクログ 2018年11月18日

出張の機内で読もうと、成田空港の本屋で買った一冊。

敢えて慎重に選ばず、タイトルだけ見てさっと選んだ後に、
昭和48年に書かれた江戸川乱歩賞作品だったことを初めて
知った。

普段あまり推理小説やミステリーを読まないワタシは、
この本が青春推理の先がけであることはもちろん、そも
そも青...続きを読む春推理というジャンルがあることすら知らなかった。

というきわめて"うぶ"な読者の感想としては、テンポが
あって明るいものだね、というところ。テンポはよかった
けれど、この明るさは、たまにしか推理ものを読まない
ワタシが推理ものに期待しているものではなかった。

でも、この小説が書かれた時代を感じながら読むのは
なかなか楽しかった。これは今は違うだろというものも
あれば、今も言えてるというものがあったり。


主人公たちが高校生だし、もし自分が高校生のときに
読んでいたら、けっこう衝撃的だったかもしれない。

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

アルキメデスという言葉だけを残し中絶手術が原因で絶命した女子高生、同級生男子の弁当の毒混入、姉の恋人の失踪とセメント。著者は大正生まれで昭和四十八年出版だけれど古さを感じたのは始めだけですぐに気にならなくなった。ざくざくと進んでいく登場人物達や陰を陰と感じさせない高校生達の浮薄な明るさが小気味良い。

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Posted by ブクログ 2018年10月08日

名門乱歩賞作品/ 学園ミステリ系/ タイトルでちょっと騙されたとこあるけど、わるくない/ いかんせん古い作品だから高校生も古くさい/ 

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Posted by ブクログ 2018年09月29日

台詞の1つ1つ、少し芝居がかった言い回しや日照権問題、親の弁当に愛情を感じるか否かの議論など政治というか70年代の主義思想問題とでもいえるような部分に踏み込む描写、など時代をありありと感じた。
東野圭吾がこの作品に影響を受けたというのは非常に納得。

大筋、ミステリとして納得できるか、と言われたらう...続きを読むーん、な世界観だった…
後半、くどくどくどくど、状況確認などの描写が続くのがかったるかった

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Posted by ブクログ 2018年08月10日

時代を感じる。
当時はナウいキャラクター描写だったんだろうなあ。
なんだかどのキャラクターも好きになれなかった。

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Posted by ブクログ 2018年05月06日

推理小説としてはちょっと詰めが甘いというか、ご都合主義?
途中まで時刻表とか出てきて本格っぽいのに、最終的には探偵役の負け、ってかんじ。

フィクション小説としてはおもしろい。
キャラが立ってるし、わたしは女性だからかミユキの考え方も共感とまではいかなくても理解できていい意味で予想ができた。

あと...続きを読むこういう、タイトルが秀逸なのと、ラストが上手い小説は読後感が良くて好き。
次作も読もうかな。

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Posted by ブクログ 2018年04月04日

東野圭吾のきっかけとなった作品。
高校生と学校を舞台にしているけれど、内容はわりと本格的。高校生ならではの残酷さ……というのかな、未熟な善悪の規準が招いた事件。こんなことになるとは思わなかった、というのが正直なところだろう。
現代の高校生とは娯楽や言葉のチョイスもなんとなく違う。

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Posted by ブクログ 2018年01月06日

東野圭吾が高校時代に読んで作家を目指すきっかけになった本。第19回江戸川乱歩賞受賞作。悪漢小説という分野はあまり好きでないがこの本は読みやすかった。しかし、今ひとつ面白いものではなかった。ましては東野圭吾ほど驚きはなかった。

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Posted by ブクログ 2017年10月22日

題名に惹かれて購入したが、読みはじめてすぐ読んだことがあると思い出した。そのときもおそらく題名に惹かれたはずで、趣味が変わらないと実感。
昭和48年の江戸川乱歩賞受賞作ということで、自分達が社会を動かすというか、世間を斜に見るというか、当時の学生の意識のようなものが見えて面白い。今の時代にはかけない...続きを読む小説だと思う。しかし、事件が絡み合っているので、そこが面白さでもあるのだが、一つの事件が薄まっているようにも思える。

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Posted by ブクログ 2017年05月10日

中学生の頃実家にあり、それを読んで以来30数年ぶりに再読。恐ろしいくらい内容を覚えていなかった。つまらなくはないけど大傑作ではないです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年02月28日

1973年江戸川乱歩賞。東野圭吾が作家を志すきっかけとなった作品。「アルキメデス」という言葉を残して死んだ女子高生をめぐるミステリー。妙な独特の文体は時代が古いからか。トリック云々ではなく、大人社会への若者の葛藤を描く。「最近の若いやつは~」何年たっても変わらない。しかし、やはり、殺してしまう理由が...続きを読むわからん。

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Posted by ブクログ 2017年01月02日

本格的な推理小説。
文調も話の構成も、結構真面目に推理小説しています。
それなのに、高校を舞台にし、高校生を犯人にしたのかが疑問です。
学園物的な話と推理小説の雰囲気がアンマッチで違和感を感じました。
ただ、話としてはとても読みやすく、一気に読んでしまいました。。

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