エリック・マコーマックのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
メキシコの古本屋で見かけた古書「黒曜石雲」。それはスコットランドのダンケアン町に起きた不思議な気象状況に関する記述だった。
ダンケアン。その名前に私の心は乱れる。それはまだ若かった頃の私が数ヶ月の間滞在し、情熱的な恋をして、そして酷く破れて去った炭鉱の町だった。
ここから物語は、ハリー・ステーンという名前の”私”の人生の回想となる。
ハリーは世界を回る生活だった。
生まれたのはスコットランドの工場町のトールゲートというスラムだった。大学を出て教師になるために訪れたのがダンケアン、恋に敗れてどこかへ行こうと船乗りとして海に出る。しばらくアフリカに滞在して、カナダに家を持つが仕事でまた世界を回る。
ハリーの人生は相当波乱万丈で、突然の別れに襲われたり猟奇的なものを見たり倫理的に問題のある問題を突きつけられたりするのだが、本書における語り口が淡々としていてどこか他人事ですらある。
書かれている伝承や、実際に経験したことも、なかなかグロテスク。出産で妻が死ぬと産まれた赤子を殺し自殺した夫、突然目玉が飛び出し大量に出血して死んだ子どもたち、不発弾が爆発して人を飲み込み崩れた長屋、女の母乳しか飲んではいけないシャーマン、アフリカの種族同士の争いで切り刻まれつなぎ合わされた死体、超常的な力を得た人たちに対する脳実験、互いに性行為も語り合う父と娘の深すぎる信頼関係、冷静な時は三人称で妄想に囚われている時は一人称になる物書き。
そうしてハリーが語る半生は、メキシコで「黒曜石雲」を手に入れたところまで追いつく。
「黒曜石雲」に書かれた不可思議な雲の現象は本当に合ったことなのか?そしてついにずっと避けてきたスコットランドを訪ねることにする。
ハリーの人生には突然の別れがあり、聞きたかったが聞けなかったことがあり、そして常に自分の人生に落ち着けなかった。
愛する人はなぜ自分を裏切ったのか?愛する人達は自分に突然訪れた死をどのように迎えたのか、親しい友人はその後無事に生きているのか、今彼らがいたらなんというのか…。
それらを少しでもわかるためにハリーはスコットランドへと向かう。そしてハリーに示される、新たな不安と、素晴らしい希望と、そしてそれらをも足元から揺るがすような悪い予感…。
自分の人生の謎、残酷で矛盾に溢れ怪奇に満ちたこの世界、だが自分の謎に向かい合おうとするのなら、不穏な先行きであってもそれは人生の旅なのだろう。
<いつも思うのだが、自分ひとりの胸にとどめておいたほうがいい事柄もこの世にはあるのだ。P453> -
Posted by ブクログ
ネタバレいかにも面白そうな出だし、どんどん読み進めたのだけれど、最後まで読んで読み終えて何の感動もなかったな。それがちょっと残念。
現在から始まりスコットランドのスラム生まれ(とはいえ事故で両親を亡くすまでは幸せな生い立ち)の語り手が不思議な運命に導かれて世界中を旅する、まあある意味サクセスストーリーではあるのだけれど。
重要な要素のひとつに異母兄弟。ひとりではなくて複数の人間のやらかし。この異母兄弟に抱く幻想?は男性特有のものだよなと思った。まあ、この話に出てくる異母兄弟はみんな良い人だけれどね。
最後に精神病患者とのあいだに子供が出来たのでは?と恐怖する語り手、いやそれあんたのスケベ心が悪いんだから。バチ当たったな。