尾崎俊介のレビュー一覧
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前作『ホールデンの肖像』では、「ライ麦畑」の文庫化にまつわるエピソードに始まって、現代のブッククラブ事情まで論じたが、本書では改めてハーレクインロマンスシリーズだけを取り上げており、重複している部分がかなりあるのは確かだが、テーマが絞り込まれている分だけ考察が深くなり(販売チャンネルの挫折とその後の鮮やかなM&A戦略等々)、また近年のグローバル化に着目するという広がりも見せている。
【付記】マーケティングであるとか、読書文化であるとか、いろんな切り口が見出せる面白い題材なのだが、なんといってもシリーズの隆盛が当時のウーマンリブ(第二次フェミニズム)の運動と真っ向からぶつかり合ったという -
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英米文学の専門家が、ハーレクイン・ロマンスについて書いた本。ハーレクイン・ロマンスは読んだことがなかったが、タイトルは知っているわけで、なぜ、読んだこともないし、周りで話題になったこともないのに、有名なのかがわかった。学術的に分析がなされており、ステレオタイプ的な表現もあるのかもしれないが、面白く読めた。ハーレクイン・ロマンスについてかなり詳しくなった気がする。
「ハーレクイン・ロマンス:「恋は本屋さんで売っている」というキャッチ・コピーで日本でもお馴染みの、カナダ生まれの翻訳ロマンス叢書である。現在は「ハーレクイン・ロマンス」に加え「・イマージュ」「・ディザイア」「・セレクト」「シングルタイ -
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『無敵のレポート・論文術』は、単なる「レポートの書き方本」ではありません。むしろ本書の真価は、「卒論とは何か?」という問いに答えを与えてくれる点にあります。これから卒論に挑む人にとって、まさに道しるべとなる一冊です。
もちろん、この本だけで卒論がすべて完成するわけではありません。しかし、完成までの道のりをどう歩むか――そのための「ヒント」がぎっしり詰まっています。特に実際の卒論例が豊富に紹介されており、「卒論のイメージがつかめない…」という人には強い味方になるでしょう。
中でも注目すべきは、巻末の補講として取り上げられているアメリカ文学の卒論例。これがなかなか面白く、アメリカ文学で卒論を書 -
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心の底から自己啓発本を馬鹿にしきっている私、「自己啓発本はアメリカ発祥でその出現にはそれなりに歴史的経緯がある」「自己啓発本を白い目で見ている人にこそ読んでほしい」ということで興味をそそられ、読んでみたが…
残念。気持ちはほとんど変わらなかった!
そもそも本書はかなり軽めの文体で書かれているが、自己啓発本に抵抗のある読者にきちんと読んでほしいと思うならばこの文体は間違いではないか。「やはり自己啓発本は薄っぺらくて軽い」という印象から全く抜け出すことができなかった。
また、日本で自己啓発本が受容された理由の説明が適当すぎる。
理由は「士農工商制の解体」と書かれていたが、一体その根拠は何か、全 -
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自己啓発本は、「出世したければできる環境」と「出世したいと思う人」が揃わないと、成立しない。
だから、米国発なのか。
著者は、米国文学文化の研究者で、あるきっかけから自己啓発本の面白さに気づいて、読み漁ってきた人。愛に溢れている。
元々は、自助力型であった自己啓発本が、引き寄せ型になり、父から息子への手紙であったり、カレンダー型になったりと、読み物としてわかりやすく面白い。
先の大戦後、戦場から国に戻った若者が、平和な国内でのほのんと暮らしていた親たちとの間に溝を生み、あいつらのいうことなんか聞けっかー、でも子育てむずかしすぎてわかんねー、ので育児啓発系の本が一斉を風靡し、あんなジジイ