吉野裕子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の骨子を、思い出しながらまとめてみる。
粗雑なまとめで、著者には申し訳ないが。
古代の信仰では、東から西へという移行が注目された。
日本に限らず、太陽の運行に関わる発想だろう。
東の常世から西の人間界に、神も、新しい命もやってくる。
ここに、大陸から伝わった陰陽五行思想が習合する。
東西南北、季節、色、時間、音などが体系化される。
上記の古代信仰に、南北の軸が加わる。
韻である北(子)は女性、陽である南(午)は男性。
そして、陰と陽の二極は調和しなくてはならない。
こうして、日本の古代信仰では性的な結合が大きな意味を持つようになる。
生命は、北の未生の状態から、東(卯)へ移動し、現世へ -
Posted by ブクログ
正直なところ、論証する作法としてはどうなの、という部分が多分にあった。そもそも、かなり結論ありきで書かれている気がする。推量に推量を重ねて結論を導き出したり、ある地域の習俗に関して立てた仮説をそのまま別の地域にも当てはめるなど、日本にはかつて強力な蛇信仰を行っていた人々がいて、次第に恐れや嫌悪が強まったことで覆い隠されたが、言葉や習俗の裏にはその名残が残っているのだ、という自説に執着し過ぎて支配されているのではないか。
論証に関しては強行突破が過ぎると思う一方で、あらゆるものが次々と蛇に結び付けられていくのは読んでいて面白かったし、視点の一つとして興味深かった。言語的なアプローチを試みたり -
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Posted by ブクログ
ネタバレ本屋さんでタイトルに惹かれて購入。
「蛇 -日本の蛇信仰-」ってなんかグッと来ませんか!良いタイトル&テーマですよねー。
(本屋さん曰く”民俗学系の文庫でかなりオススメの本なんですが、POPも書かず、説明も特にしてないのに非常によく売れる”とのこと)
この本は、
古代日本の蛇への信仰が、今も残る習俗・言葉にどう残っているのか?
をまとめています。
人間が蛇を怖がるのは、
昔恐竜に追い回されていた記憶が残っているからだ、
なんて記述がドグラ・マグラにありますが、
確かに蛇に対して感じる不気味さ、怖さというのは、どこか本能的なもののような気がします。
蛇に関する伝承は、
古代日本やイ -
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