中尾佐助のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書が執筆された1966年から、生物学は大きな進歩を遂げていて、本書もその観点からすると不満を感じてしまう。
ただし本書には「民俗学的農耕文明史」といった側面があり、その意味では十分に現代的な価値もある本。
新書という体裁・読者層の制約から参考文献などの記述は敢えて外したとのこと。それはそれで妥当なことと思う。ただ、それならば文献に当たらなければ当否の判断できない記述をもう少し減らして、より民俗学的視点を強調した構成にした方が面白かったかとは思う。
目次:
1. 栽培植物とは何か
2. 根栽農耕文化 - バナナ・イモ
3. 照葉樹林文化 - クズ・チャ
4. サバンナ農耕文化 - 雑穀・ -
Posted by ブクログ
1966年初版の古い本です。
この本には、遺伝育種学、栽培植物学の立場から、人類がどうやって
栽培植物というものを獲得したかの仮説が書かれています。
大学生の時にこの本のp146〜p148のくだりに、えらい感動しました。
内容を適当に端折りながら書き出すと
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原始採集経済の人々が大草原に入り込み、
野生の種の採集と狩りをしキャンプをするようになる。
すると、キャンプの周囲には窒素を濃縮した排せつ物がまき散らされる。
そのことが、大草原の中に島のように土壌の異なる場所を作り出す。
この人間が新しく作り出した環境の中に入り込んで育つ植物は
普通の野生植物とは異なる植物