中尾佐助のレビュー一覧
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初版は1966年1月なので、かなり昔の本です。
でも、書かれていることは大昔の栽培植物と農耕の起源ですから、古くても問題ないです。
私が手にしたのは、2024年4月発行の第67刷でした。
果物の中では、バナナが一番たくさん作られていること、
小麦や米などの穀類は野生種には多年草のものもあるけれども、栽培植物になったのはすべて一年草であること、
小麦と米を比較すると、米のほうが美味しいので、どちらも栽培できる地域では米が主流になることなど、いろいろとおもしろい知識を得ることができました。
人類の文化のおおもとは農耕なのだから、農耕の起源を知ることはアジアの文化、アフリカの文化、ヨーロッパの文化な -
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農学部生たるもの、中尾佐助大先生の著作ぐらいは読んどかなきゃ、ということで大学3回生のときに読みました。
イネ、ムギ、マメ、イモ、その他雑穀、茶などの私たちの食生活に欠かせない栽培植物について、現地調査や遺伝学的な解析から民俗学、文化的な考察を交えながらその起源を追求した傑作。
中学や高校の地図帳に載っている、根菜農耕文化(南アジア熱帯;イモ、バナナ)、サバンナ農耕文化(アフリカ・北部インド;雑穀、ゴマ、マメ)、地中海農耕文化(トルコ東部;ムギ、えんどう豆等)、新大陸農耕文化(メキシコ;トウモロコシ、カボチャ、ジャガイモ)という4つの独立した起源から農耕が伝わっていく中で形成されたそれぞ -
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しばらく前に金曜ロードショーの『もののけ姫』を観て、改めてその世界観やら今に通じるところとかをいろいろと考えさせられて、もののけ姫の考察的なサイトを読み漁っていたところで辿り着いた本。もののけ姫やトトロは照葉樹林文化論に基づいているとかで、そういう太古の森の話かなと思って読み始めてみると全然違った。野生植物から良い品種を選び出し、それをどのように栽培植物化して改良していったか、それがどれだけ文明発展の重要な基礎になったかということがエリア別・品種別に述べられている。読み進める中で、昔感じた素朴な疑問も思い出した。中1の歴史の授業では、「弥生時代に大陸から稲作が伝来した」と習ったけど、あんな水田
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世界の農耕文化を根菜農耕文化、照葉樹林文化、サバンナ農耕文化、地中海農耕文化、新大陸農耕文化に分け、それぞれの農業の形態の特徴や、栽培植物とその伝搬ルートについて説明する。
・根菜栽培植物が石斧があれば金属や土器がなくても成り立つ。BC1000年頃にアフリカ東岸に到着して西へ広がり、バンツー族が発展して勢力を拡大する要因となった。ブタとニワトリを家畜化した。
・照葉樹林文化の中心は、中国西南部のロロ系民族(イ族等)の地帯。
・サバンナ農耕文化は雑穀、果菜類、油料作物が特徴。マメは煮て柔らかくする必要があり、土器の発明以降に食用になったと考えられる。
・地中海気候地帯は野生の一年生植物が多かっ -
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ネタバレ[ 内容 ]
野生時代のものとは全く違った存在となってしまった今日のムギやイネは、私たちの祖先の手で何千年もかかって改良に改良を重ねられてきた。
イネをはじめ、ムギ、イモ、バナナ、雑穀、マメ、茶など人間生活と切り離すことのできない栽培植物の起源を追求して、アジアの奥地やヒマラヤ地域、南太平洋の全域を探査した貴重な記録。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の -
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人類の文化のなかで大きな位置を占めてきた、植物の栽培および農耕の歴史について解説している本です。
著者は、世界の農耕文化を四つの系統に分類しています。東南アジアを中心とする「根菜農耕文化」では、バナナとイモの栽培が中心となってきました。その北部にひろがる温帯の地域における「照葉樹林文化」では、クズや茶が、またアフリカなどの「サバンナ農耕文化」では雑穀やマメが、そして「地中海農耕文化」では麦の栽培がおこなわれてきたと著者は述べて、それぞれの農耕文化の起源について論じています。このほか、日本を含むひろい地域において重要とされてきた稲の栽培についての章と、新大陸の農耕文化について論じた章もあります -
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戦史を学ぶときに見落とされがちなのが、農耕の進化だ。よく出来た本ならば兵站についても語られることはあるが、それでもその時代の生産能力、収穫時期、保存技術が語られることは少ない。
まずは人類の農耕は如何にして発展してきたのか、というところから学ぼうと本書を手に取ったが、期待からはややずれていた。
本書は、野生植物が栽培植物として育てられるようになるまでをたどる歴史本であり、その視線の先はほぼ紀元前にある。
進化の概念が明らかになるのは近世まで待たなければならなかったが、配合の技術は紀元前どころか、人類の誕生とともにあった。
バナナ、イモ、クズ、アワ、ヒエ、ムギ、トウモロコシ。それぞれの農耕文