石母田正のレビュー一覧
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戦後の歴史学を領導してきたひとりである著者が、文学作品としての『平家物語』について考察をおこなっている本です。
著者は「あとがき」で、『平家物語』にえがかれている治承・寿永の乱の歴史について研究をおこなっているときに、「いつもこの物語のことが念頭にあってはなれない」と語っています。そして、すでに江戸時代から『平家物語』の記述が歴史上の事実そのままではないという指摘がおこなわれてきたことに触れつつ、「平家物語を独立の物語=文学として正しく理解する努力を自分でやってみてはじめて、歴史の研究者は平家のもつ力から解放され、平家物語を全体として歴史研究のなかに生かすことができよう」と述べています。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
すぐれた古典文学のひとつである平家物語は何故に長くかつ深く日本人の心をとらえてきたのか。
その力は一体どこにあるのか。
歴史家でかつ古典文学を深く愛好する著者が、時代についての学問的造詣と清新な感覚によって、平家物語の文学としての本質を追究し、登場人物とその運命を生きいきと描く。
[ 目次 ]
第1章 運命について(新中納言知盛;生への執着 ほか)
第2章 平家物語の人々(平清盛の遺言;平家物語の保守的政治思想 ほか)
第3章 平家物語の形式(平家には性質のちがった物語が集成されていること;年代記的叙述の分析 ほか)
第4章 合戦記と物語(橋合戦;作中人物への共感 ほか)
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Posted by ブクログ
木下順二の「子午線の祀り」を読んだ際に出て来たきっかけとなる一冊。
名前聞いたことあるなー(『中世的世界の形成』は未だ手をつけられていない)と思ったら、目の前にあって、線まで引いているのに登録していなかった。
記憶にもない。ため、再読。
「子午線の祀り」で印象を新たにした知盛については、予言者として重盛とも重ね合わせながら述べられている。
そして、『平家物語』では不思議と表に出て来(すぎ)ない後白河法皇と源頼朝についても、なぜ出て来(すぎ)ないのか、という点を『平家物語』の本質から上手くまとめられていて、面白い。
「彼(頼朝)の政権は簒奪者の政権であるという弱さをもっていただけに、その政