石澤麻子のレビュー一覧

  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    教え学ぶ技術
    問いをいかに編集するのか
    著:苅谷 剛彦
    著:石澤 麻子
    出版社:筑摩書房
    ちくま新書 1436

    本書は、オクスフォード大学で行われている、チュートリアルというマンツーマン方式の指導方法を、日本語化して解説するものです。苅谷先生と、石澤学生との対話になっています。

    第1部は、学部生向けに、ロジカルなドキュメントをどうかけばいいかを扱う
    第2部は、院生向けに、学術論文に向き合うための、リサーチクエスチョンをどう見つけるかを扱う

    根幹にあるものは、知識を吸収して我がものとする学習から、探究をを主体とする方法への転換である

    アクティブ・ラーニングといわれる、主体的・対話的な深い学びを中心とした新しい学習ー教授方法が推奨されています。

    いろいろな方法で、考え方をふかめていくところ、問いを分割したり、再考してほりさげていくところは参考になりました。

    気になったのは、以下です。

    ■チュートリアルとは

    先生1人、生徒は多くて3人で行う、個別指導方法であり、オクスフォード大学で現在行われている指導方法でる

    ・毎週課題図書10冊の著書や論文が与えられて、それらを読んで、エッセイといわれる小論文にまとめる
    ・エッセイは、A4で10頁ほどであり、先生がだしたエッセイ・クエスチョンに文献リストに示された文献をつかって自分なりの議論を展開して、解答を用意する
    ・チュートリアルの時間に、事前提出したエッセイをもとに、質疑応答や、議論が行われる
    ・チュートリアルが終わると、振り返りの短いセッションが行われる
    ・それが、1学期に8回行われる
    ・チュートリアルの他に、学習を補助するための講義が行われる

    学部生には、リサーチ・クエスチョンという、論文のテーマは、先生から与えられる
    院生には、自ら、リサーチ・クエスチョンを用意するという範囲が拡大される

    ■第1部:いかに論理を組み立てるか:学部生向け(2日)

    1日目 抽象と具体によって課題を明確化する

    ・クエスチョンをどう読み取ればいいのか
    ・大きな問いを、サブクエスチョンに分けていく
    ・導入部:最初の段落をどう書くか
    ・書き方:誤解をうけないように記載する
    ・考え方:深く考えるというのはいったりもどったりする
    ・論理の抜けを防ぐ
    ・3つの文献を出したら、3つとも使い切る
    ・ぼんやりとしたアイデアを明確に言語化する
    ・適切に接続詞を使う
    ・使えそうな概念をあたまの片隅においておく
    ・変化を描くために、時系列の表現を行う
    ・議論に広がりを持たせる。逆に、議論を限定して、話を広げ過ぎない
    ・議論を限定させることで、着地点をみつける
    ・考えたことをメモしておく

    2日目 分析枠組みはこう使う

    ・1日目の振り返りを行う
    ・自分の議論をどこまでするのか
    ・変化を描くために、時系列の表現を行う
    ・分析の枠組みを使いこなす、ガイドライン、キーワード
    ・論理を突き動かす力
    ・分析の枠組みをつかって、物の見方を決める
    ・パラドクス、アンビバレンツ(相反感情)、コントラディクション(矛盾)
    ・文献を読んだときに使えるところがないかを、メモに残しながら読む
    ・自分の中の師とキャッチボールする
    ・考えると考え抜く

    エッセイを最終稿へと落とし込む

    ■第2部:自分が解くべき問いを見つける:院生向け(4日)

    1日目 問題意識を俯瞰する

    ・関心のある事項をあげてみる
    ・具体から抽象へあげて、比較する
    ・抽象化、概念は、サーチライト
    ・関心の先、現象か、背景か
    ・その問いがわかると、どんないいことがあるか
    ・言語化して、次元を変える
    ・自分主体、先生の意見は参考
    ・物事を俯瞰してみる
    ・初発の質問からさらに、質問をほりさげる

    2日目 関心をコンテクストにのせる

    ・複数の問いを、5W1Hをつかって、複数の文脈に変換する
    ・役割をわけて、比較する
    ・場所を変える、言葉自体を問題化する
    ・問いを翻訳する
    ・事象のねじれを感じる
    ・メタ視線から、問題を分解する
    ・どう研究するか、方法と理論を検討する
    ・誰に読んでもらいたいかを事前に考える
    ・どうやったら、オリジナリティを生み出せるか
    ・WhyをWhyで分割していく 等

    3日目 キーワードを探すために

    ・いかにキーワードを増やすか
    ・現象がどのような言葉で表現されているのかを探す
    ・何々以前、以降に注目する
    ・アクター(人)に焦点をあてて、別の面を探す
    ・言葉がみあたらないときは、とりあえず、Xと置いてみる
    ・出来事から、キーワードを探す
    ・モヤモヤからそこにある言葉を探す

    4日目 問いから、リサーチクエスチョンへ

    ・文献をどのように検索すればいいのか
    ・ピンとくるキーワードと、そうでないものとの違い
    ・キーワードの様々な布置連携
    ・対となる言葉をさがす
    ・調べる先は、研究だけとはかぎらない
    ・問題関心が埋まっている現場を探す
    ・さらに問いを掘り下げる
    ・具体的なリサーチ・クエスチョンにするために
    ・問いを振り返る
    ・どうリサーチして、どう研究成果を使いこなすか

    目次

    序章 「問いを編集する」とはどういうことか

    第1部 いかに論理を組み立てるか

    1日目 抽象と具体によって課題を明確化する
    2日目 分析枠組みはこう使う

    第2部 自分が解くべき問いを見つける

    1日目 問題意識を俯瞰する
    2日目 関心をコンテクストにのせる
    3日目 キーワードを探すために
    4日目 問いからリサーチクエスチョンへ

    学習レポート──チュートリアルを振り返って

    ISBN:9784480072498
    判型:新書
    ページ数:304ページ
    定価:920円(本体)
    2019年09月10日 第1刷発行

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    2026年07月05日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    ネタバレ

    「2018年問題」と言われた18歳人口の減少の中、廃校となった私立大学は予想に反して少ない。この謎を解明するのが、本書である。
    私立大学が生き残りを掛けて採った方策には以下のものが挙げられる。
    ・規模縮小
    ・提供するコースの調整(改組・名称変更)
    ・高校卒業生市場の掘り下げ
    ・中等教育機関を運営する学校法人と大学を有する学校法人との間の「垂直」の戦略的統合

    注目すべき点は、70-80年代の入学生減少期に米英の大学が採った以下の方策とは異なることだ。
    ・社会人学生や遠隔学習者(パートタイム学生)の確保
    ・海外からの留学生の確保
    ・研究費補増やすための産業界とのパートナーシップ

    日本では、90年代に中身が伴わない「ショーウインドウ化」した大学院の量的・質的充実が課題となり、アメリカの大学を参考にしつつ以下の制度も採られたが、「失敗」と評されことが一般的だ。
    ・2000年代初頭の大学院の拡充
    ・株式会社立の大学(2003-)
    ・専門職大学院制度(2003-)
    ・法科大学院制度(2004-)(74校➔39校に減少)。

    結局、私立大学の歳入の内訳(財政構造)は、18歳人口ピーク時の90年代の頃から変っていない。生涯教育・リカレント教育のかけ声にも拘わらず何の変化も生じなかった。
    それでも(歴史の浅い小規模大学が多い)「私立大学協会」に属する新興の「同族経営大学」の多くが存続している。それはなぜか。これら大学は、革新的な教育や経営的なアイディアを取入れ、試し、発展させ、カリスマ的な教育リーダーが熱心に改革を進めることができるからだ。同時に、コングロマリットの中で主要な”フラッグシップ”となる大学を閉鎖すると、学校法人全体の評判に傷をつける。系列の学校全てだけでなく、経営一族までが被害を受ける。だから大学を存続させることは必須で、これがレジリエンスに繋がったということだ。

    しかし、コーポレートガバナンスを強調することは「アカデミック」ガバナンスの仕組みの希薄化に繋がる。これまでどおり私立大学は「公益性を備えた存在」となり得るのか。理念と現実との相克の中で、「同族経営大学」は、営利企業のように継続していくのでであろうか。
    この問い対して各大学は、「政府によるコントロール」と「マーケットの力学に任せる」という矛盾した政策の中の「匙加減」で、私立大学は翻弄されていくのだろう。

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    2023年06月18日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    人口減少の影響で多くの私立大学が潰れるだろうとの2018年問題。この予想は外れ、多くの私立大学は粘り強く生存し続けている。これは何故か? この謎に挑む一冊となっている。素晴らしい研究成果で、社会人類学的な分析手法に拠っている。メイケイ学院大学(仮称)で繰り広げられる生き残り策がホントに「あるある」で、不祥事も含めてそれらが丁寧に分析されている。
    で、実は私大の問題は日本社会の特質でもあるわけだ。だから日本の研究者には、ここでの結論に辿り着けなかったんだろうね。

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    2022年02月13日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    めちゃくちゃ面白かった。久しぶりに時間を忘れて一気読みして、次の予定に遅れそう。少子化によって減少すると考えられた日本の私立大学の多くが生き残っている要因として、同族経営の重要性が見過ごされてきた点を指摘、最終的には優れた日本社会論になっている。
    ・最近の学生は真面目という言説を目にするが(少なくとも本書が扱う某私大では)定員維持のため大学が真面目に教え始めた方が先
    ・前近代的な世襲システムがいまだに持続する要因を検討すべき
    ・私大の三類型(思想背景を持つ結社型、宗教系が多いスポンサー型、起業家型)は実感に沿う

    最後駆け足で読んでしまったこともあると思うが、n=1の話を最終的には日本のイエの話まで昇華させるstorytellingの力はすごい。ただ、結局のところ本当に同族経営がパフォーマンスに結びついているかが分からない点は、消化不良というか、今後の課題だなと感じる。

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    2022年01月05日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    教えるとは、学ぶとはどういう営みなのか。教師が生徒に教えるという上から下へに知識を授けるというような方法をイメージしがちな気がするのだが、果たして本当にそのようなことが可能なのだろうか。自身の経験を思い起こしてみると、教師に教えてもらうことがなかったとは言わないが、本当に学ぶということは自分で本を読み、話を聞き、調べ、自分の頭で考え、書き記し、まとめ、テストへの回答や文章にするなど何らかの仕方で出力する過程を経ることで学びとしてきたように思う。それゆえ、教師とは教える存在というよりも、生徒が学ぶ方向づけをし、学習のペースを崩さないように見守り、時に調整をしてくれるコーチのような存在なのではないかと考えていた。

    本書はオックスフォード大学で実施されているチュートリアルという教師と学生が一対一、あるいは教師一人に対して学生が二、三人で構成する個人指導を文章で再現している。チュートリアルとは、「毎週、小論文を書くための問い(エッセイ・クエスチョンと呼ばれる)と、それに回答するために読むべき課題文献リストが渡される。毎週10冊ほどの著書や論文である。それらを読んだ上で、小論文を執筆する。エッセイでは、教員が出したエッセイ・クエスチョンに、文献リストに示された文献を使って、学生が自分なりの議論を展開し、回答を与える。そして、実際のチュートリアルの時間には、学生が事前に提出したエッセイをもとに、教員との間で質疑応答や議論が行われる」というものだそうだ。

    この概要の説明を読んだだけでも、何と贅沢な時間だろうと感じた。そして、そのチュートリアルの再現である本書を読んで、その嫉妬にも似た憧れの感覚はますます強くなった。羨ましい。教員と学生とのやりとりにより、当初学生が発した問いが様々な手法、見方で分解され、より深い問いへと導かれていく様は、学生本人にしてみたら手に汗握る緊張の連続かもしれないが、しかしそれは視野を拡げてくれるとても貴重な経験になる。日常感じ、発された素朴な問いをメタ化し、5w1hで分解し、whyを重ねるなどし、発展させることで、深化させるのだ。教員はそれを導くだけで、実際に深化させるのは学生本人であるところが魅力的である。

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    2019年12月17日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    外国からみた私立大学の経営に関する本。元々は英語書籍で、family-tuned private universitiesというタイトル。

    同族経営、というくくりは、日本人にとっては聖域じみていて触れられてこなかった領域に切り込んでいる。

    本著で同族経営によるレジリエンス(サバイバビリティ)に切り込むのは、後半から。前半はMGUという仮名の大学を例示して、日本の私立大学の典型例をリアルに書く。その中であの手この手で大学を存続させる施策やトレンドに触れる。

    自分自身はこういう場面に直接入っていく機会はなかったが、営利企業らしいしたたかさと、同族経営っぽい存続への想いなど、こう顕在化するのかと興味を持って読めた。



    MGUは茗溪、大阪学院大学のことかな。

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    2023年06月02日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    日本の、いわゆる三流大学が、1990年以降の急激な若年人口減少にさらされたのに、予想に反して大半が生き延びてきた背景には、創業者一族が一つの大学だけでなく複数の学校を所有して、グループ全体で相互に助け合う事によって収益を最大化することができるという同族企業の強かさがある。

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    2022年05月09日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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     楽しいのは、第Ⅱ部のやりとり。
     一番印象に残ったのは、“クェスチョンはあってもパズルが無い”というオックスフォードの言い方。確かにそうだ。
    学びが深まるためには、そういう知的な面白さが必要だ。
     それから、問をブレイクダウンしていくうちに、抽象化したキーワードが浮かび上がってくるプロセス。

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    2020年05月14日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    何かの書評から手に取ったが、とても興味深い本に巡り会えて感謝。この本のテーマは表紙の言葉で、「学校や大学での学習や研究の場面だけでなく、仕事の場や社会生活の上でも、一面的な見方にとらわれていたり、安直にわかったつもりで終わってしまう議論にならないためにも、問の立て方と展開の仕方を身につけることは役立つ思考力の要なのだ。」とある。オックスフォード大学で行われているチュートリアルという形式の、先生と生徒の一対一の学びを実際に行い、テーマにある問の立て方と展開の仕方を詳細している。先生はもちろん、生徒もレベルが高く、対話形式のまま記載されているので分かりやすい。最後に、少し時間をおいて生徒が振り返った内容もあり、こちらもポイントの理解を深めるのに効果的。

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    2019年12月30日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    オックスフォード大学での学部生向けの個別指導(チュートリアル)と大学院生向けの研究指導(スーパービジョン)を日本人向けに再現したもの。論理展開の方法や問いの立て方など、具体的に応用できる技術が散りばめられている。受講者による学習レポートも、指導中に感じた違和感なども率直に綴られていて、読み応えがあった。

    なお、指導の内容が身に付くかどうかは、学生自身の訓練が欠かせないし、「先生は教えることはできますが、後はモチベーションを出してもらうしかない」と言い切っていることは見逃せない。教員が教える技術を磨くことが必要なのは言うまでもないが、学生を良い意味で突き放すことも必要なのだろう(もっとも、突き放された大学生がモチベーションを出すような制度設計が、日本の大学や就職市場に備わっていないのが、大問題なのでしょうが…)。

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    2019年09月22日
  • 新しい経済のつくり方―「人間中心」の日本型資本主義へ

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    日本経済の置かれている環境 対策などを分析
    環境 dx エネルギー問題など ごみの排出量が減っているという点が目新しい情報だった。

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    2026年02月14日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    事実誤認あり。

    P.158 学習指導要領の指定内の語彙数で英語の入試が作られていると正しく指摘しているが、本文で挙げられている例はこれにそぐわない。

    また脚注26に、「『ジーニアス英和辞典』に収録されている英単語は五段階の難易度に分かれているが、入学試験ではその中で最も優しい三段階に含まれる一万三二〇〇語だけを使うことになっていた。」とある。

    しかし、学習指導要領が指定する学習すべき語彙数は最大で約5000語であり、この著者たちの調査期間では、これよりも少ない語彙数だったはずで、上記の記述は事実誤認。『ジーニアス英和辞典』の一・二段階の語彙を使って入試問題は作られている。現に、『ジーニアス英和辞典』がこの学習指導要領を意識して語彙レベルを設定した最初期の学習用英和辞典。

    ちなみに、著者たちがいう一万三二〇〇語の語彙レベルは、英検一級レベルのそれであろう。

    同じく脚注26で、上記引用に引き続き、「そのうち一一〇〇語が最も易しいレベル、四八〇〇語がが次のレベル、七三〇〇語がその次のレベルに含まれていた。」とあるが、これも事実誤認。

    『ジーニアス英和辞典』では上述のとおり、語彙レベルの一・二段階(当該辞書ではA・Bランクと定義)は学習指導要領に則った語彙数にしている。『ジーニアス英和辞典』は初版以来、この語彙数はほぼ一定でAランクが約1100語、Bランクが約3500語程度である。ちなみに、初版ではA・Bランクに続くBダッシュランクが約1300語「高校準基本語(大学入試必須)」である。そして、初版以降の版ではAランクの語彙数を除けば、収録総語彙数に反比例して、ランクが付いたレベルごとの語彙数やレベル表示が減っていく傾向にあり、増えている事実はない。これは現行の学習指導要領まで、学ぶべき語彙数が減り続けたのが一因であろう。

    著者たちは『ジーニアス英和辞典』を参照していない。

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    2022年03月27日
  • 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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    少子化で入試レベルが低い私立大学は軒並み潰れると思われていたが、案外現在も存続している。その理由を分析し、大学以外に様々な学校を併せ持つ同族経営が大学存続の一つの鍵だったと分析されている。なるほど、意外に面白い。
    本書は、外国人によって英語で発表されたものを日本語に翻訳されたもののようで、その意味では、日本人による日本国内向けの内容とは視点も異なっている。そもそも大学を運営する学校法人がどのような構成になっているかということは、あまり公になっていないし、学校のウェブサイトにも詳しく載っていない。学術的な分析、国際比較の部分に比べて、メイケイ学院大学(仮称)の個別具体的なエピソードが面白い。

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    2022年03月19日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    問いを磨くという観点でザッと読んだ。

    初発の問題意識から、研究対象となりうるリサーチクエスチョンに至るには?
    学生と苅谷先生の、教育テーマにまつわる問答が、とても面白い。
    二人で言葉を交わしながら、問いをブラッシュアップしていく様子がよく分かる。
    でも、これって教える側が、どこを突けば問いの質を上げられるのか、研究としての見通しが立ちそうなのか分かってないといけないということ。すごいな。

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    2021年07月25日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    私の所感では、「ロジカルシンキングをどう実践するか」をテーマにした本だと受け取った。「問いを立て、問いを解く技術」の方がふさわしいように思う。

    著者のオックスフォード大学での「チュートリアル」の経験をそのまま日本に持ち込んだ。「チュートリアル」とは、欧米の大学の厳しさの代表格で、ある課題について大量の図書を読んで小論文を執筆し自分なりの答えを出すというもの。例として、「日本の教育は社会の平等・不平等にどのように貢献したのか」を取り上げている。少人数の学生に大学講師が張り付いて手厚い指導や深い議論を行う。

    本書の大半は学生と著者の指導・議論で構成される。

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    2019年11月19日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

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    <目次>
    序章  「問いを編集する」とはどういうことか
    第1部  いかに論理を組み立てるか
     1日目  抽象と具体によって課題を明確化する
     2日目  分析枠組みはこう使う
    第2部  自分で解くべき問いを見つける
     1日目  問題意識を俯瞰する
     2日目  関心をコンテクストにのせる
     3日目  キーワードを探すために
     4日目  問からリサーチ・クエスチョンへ
    学習レポート~チュートリアルを振りかえって

    <内容>
    オックスフォード大学で教鞭をとる苅谷剛彦が、オックスフォード大学留学経験のあるライターを相手に、英国流の課題解決の流れを公開したもの。話は硬いが、子弟の会話で進んでいくので、ポイントは見つけやすい。このような会話をしながら、生徒(学生)を鍛えることができたら理想である。
    ①与えられた「テーマ」に対し、自分の賛否を考える。具体例を考える(具体化や例証)。言い換える(概念化)。例える(比喩)などの問いにかたちを示唆する
    ②キーワードを時間軸で考える。因果関係で考える。
    ③課題の大量の文献から、全体のパターンを拾い上げる(全体の構成の形・論理の展開の仕方など)。
    高校生にも応用可能なところはあるだろう。

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    2019年10月07日