ルー・バーニーのレビュー一覧
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久々のルー・バーニーという作家の名前だけで、冒険小説好きの好奇心が全面反応してしまう。ちなみに若かりし頃、冒険小説のフォーラムを主宰していたとは言え、ぼくは軍事オタクでもスパイオタクでもない。冒険小説とは日常生活の中から逸脱してあるアクションをやむを得ず選択してゆく勇気や意志を描くもの。ぼくはそう理解している。題材ではない。あくまでそこに介在する人間とその魂を描くフィクションのことを冒険小説と呼ぶのだ。
さてルー・バーニーだ。何年ぶり? 何と5年ぶり。しかも第三長編。何とも寡作である。でも書けばただじゃおかないとばかりに骨のある作品を提供し、ミステリー界をどよめかせる作家である。その理由 -
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「あらゆる決断によって新しい未来をひとつ作る、他の未来を全て潰して」
随所に、なかなかの哲学的な名言が刻まれている。
一九六三年十一月ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件は、ミステリーな点が多くフィクション、ノンフィクションとも数多くの作品が世に出ている。
この小説は、事件の謎解きではなく、事件によって人生が動き出した人々の物語。
追う側、追われる側、それに巻き込まれる人たち
疑心暗鬼の中、それぞれにドラマがあり、人生が動き出す。
それは、先に確かなことなど何ひとつないドラマ……
登場人物が魅力的で、ラストを読み終えたあとの余韻が映像的に残る。
わたしには、シャーロットの撮ったギドリーの長 -
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途轍もない実力を備えた作家に出会うと、ぼくはいつも少し興奮してしまう。それほどの掘り出し物の作家は、毎年のようにあちこちで見つかるわけではない。数年に一度、いや十年に一度くらい火傷しそうなくらいの印象と熱とを伴って唐突に眼の前に現れるのだ。
ぼくがこの作品を手に取ってすぐに感じたのが、そのような感覚であった。おお、来たぞ、来たぞというような震えが走る。翻訳小説であれ、この手の文章によるグルーブ感は感じられる。素晴らしい文章であり、言葉の流れであり、行間を流れる時がガラスの中を落ち行く砂音を確実に伝える。
題材はジョン・F・ケネディの暗殺事件。主人公ギドリーは、組織から依頼を受け、暗殺 -
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「ガットショット・ストレート」を
読んでからの二作目
直前に読んだ「キャサリン・ダンス」にも出てきた「雨が降れば、土砂降り」と言う言葉がこちらの話にも出てきた…謎
舞台は1963年
ボスのある秘密に気づき追われる身となった
マフィアの幹部ギドリー
それを追う同じマフィアの幹部(殺し屋)バローネ
そして、全く関係のない。ダメな夫に別れを告げ、子供二人と犬をつれて新しい生活探しの旅をする主婦シャーロット
三者が交差する。
前作にもあった「追う」「追われる」の読み合いの面白さアリ
他のマフィアのボスや殺し屋と行動を共にすることになる黒人の少年とのやり取りとか、会話が楽しい。
表紙は読んだ -
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1963年11月22日、第35代アメリカ大統領・ジョン・F・ケネディが狙撃され、暗殺された
裏社会に生きる男ギドリーは嫌な予感を覚える
数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない
「自分は消される」
そう思ったギドリーは仇敵を頼り西へ逃げる
そんな時、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会い…
組織が放った殺し屋がギドリーを追う形で物語は進んでいく…
無事に逃げ切れるか?
訳あり母娘とどう絡んでいくのか?
ドキドキしながら読み進める
展開が読めたところもあったが、最後までおもしろく読めた
ラストの何ともいえない主人公の行動は、前回読んだ同作家の作品『7月のダークライド』と重なるものがあった -
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主人公は遊園地で働く23歳のハードリー!
最低賃金の仕事だけど、別に多くを望むわけでもなく、ハードリーは十分に幸せだと思っている…
そんな彼が虐待を受けていると思われる幼い姉弟を見かける
そして、およそヒーローらしくないハードリーが幼い命を救うために壮大な賭けを仕掛ける!
「二人を助けるチャンスが0.1%でもあるなら、ぼくはためらわない」
ハードリーは決して諦めない
友だちとマリファナをやって日々を過ごすだけの負け犬ハードリーは終わりだ
これまでの自分ではない!
なりたかった人間になる!
彼を掻き立てるものは何なのか?
おそらく、彼の生い立ちも関係するだろう…
「二人には自分しかいない」 -
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殴られて尻もちをついても、また立ち上がる。
主人公は、二十三歳の青年ハードリー。 hardlyとは 「ほとんどない」「すこしも
…………ない」という意味の英語だ。本名はハーディだが、みんなからハードリーと呼ばれているため、自らもそう名乗っている。一年半通っていた大学を辞め、いまは遊園地のなかで最低賃金の仕事をしており、親しい仲間とマリファナをやっては酩酊しつづけている典型的な負け犬のダメ男だ。(解説より)
そんな彼がある日、虐待が疑われる姉弟と出会い、彼女たちを救おうと決意することで彼の生活は一変する。
そして冒険が始まる。
新たに出会った人々や彼を慕う友人の力を借りながら奮闘する中 -
Posted by ブクログ
子供たちを守るため未熟な青年が奮闘するが… 苦悩多き青春時代の郷愁を誘う物語 #7月のダークライド
■あらすじ
主人公である青年ハードリーは大学を中退し、遊園地の恐怖体験ができる施設で働いていた。ある日遊園地で幼い姉弟と出会うのだが、彼女らの身体に煙草のやけど跡を見つけてしまう。虐待を懸念したハードリーは児童保護サービスに連絡するも、相手にしてもらえない。幼い姉弟を守るべく、ハードリーは虐待の証拠を探し始めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
思いっきり青年の想いがつまった物語、探偵や冒険小説の部類ですね。
本作イチ推しなのは主人公のお人柄。未成熟な正義感がヒシヒシと伝わってきて、そ -
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殺し屋に追われる悪党ギドリーと家族を連れ戻そうと酒癖の悪い夫から逃げ出した母シャーロットとの逃走シーンがこの小説の展開の面白いところだ。双方に身元を明かさずいるが暫くすると悪党に情が芽生え、家族を母親を守ろうと動き始める。その逃走の中での言葉「これから出会うのは新しいことばかりだ。ここからずっと、どこへ行っても。新しいものは古いものよりずっといいかもしれない。その時になるまでわからないんだ」それは、新しいものが必ずしても良いとは限らない、だが経験しないことには誰にもそれを判断できない、と言うことだ。力強い母の情熱と新たな挑戦は子供二人の将来を見通し人生を賭けたのだ。
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ケネディ大統領が暗殺された背景にいた奴らが事件後にどのような顛末になったのかを作品に展開した。暗殺事件性の黒幕としてニューオーリンズの犯罪組織のボスであるカルロス・マルチェロは暗殺に絡んだ人物を消していく。ジャック・ルビーがオズワルドを警察署で射殺したのも作品ではマルチェロの指示とされる。ギドリーは現場の車を処分する役割であるが、証拠隠滅のため、殺し屋のバローネに狙われる。そこから逃避行が始まる。別の場所ではどうしようもない夫から逃げてきたシャーロットと二人の娘がロサンゼルスを目指している。ギドリーとシャーロットとの出会いが、二人の心情を変えていく。殺し屋から逃げるためには合理的な思考と裏をか