ルー・バーニーのレビュー一覧
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ケネディ大統領が暗殺された背景にいた奴らが事件後にどのような顛末になったのかを作品に展開した。暗殺事件性の黒幕としてニューオーリンズの犯罪組織のボスであるカルロス・マルチェロは暗殺に絡んだ人物を消していく。ジャック・ルビーがオズワルドを警察署で射殺したのも作品ではマルチェロの指示とされる。ギドリーは現場の車を処分する役割であるが、証拠隠滅のため、殺し屋のバローネに狙われる。そこから逃避行が始まる。別の場所ではどうしようもない夫から逃げてきたシャーロットと二人の娘がロサンゼルスを目指している。ギドリーとシャーロットとの出会いが、二人の心情を変えていく。殺し屋から逃げるためには合理的な思考と裏をかく行動をする。殺し屋のバローネは獲物を仕留めるために犯す殺人は何とも思わない冷酷さ。ギドリーとバローネの騙しあいなど、犯罪現場の行動哲学が滲み出てて面白い。
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2019このミス海外篇6位。
物語はのっけからJFKが暗殺されるのと同時進行で動き出し、その関連性にワクワクしながら読み進める。組織からはぐれた中間管理職的なフランクと、酒飲みでだらしない夫から娘2人と犬(ラッキー)を連れて衝動的にオクラホマの田舎町から逃げ出したシャーロット。後半は2人でラスベガスまで移動するロードノベルとなる。フランクを追う冷血な殺し屋パローネが運転手として雇う黒人少年、ラスベガスでフランクが頼る大物エドなど、脇役達が魅力的。
ラストのフランクの選択はおもいがけないものであり、シャーロットへの愛が本物だったという証かな。
物足りないのはJFK事件との絡みがもう少しあっても良かったかなぁ、というのと、タイトルほどハードボイルド的ではないこと。3.8 -
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ミステリだけど、ちょっと変わった筋立てで展開も意外でおもしろかった。こういうのあんまり読んだことないかも!、と思いながら読んだ。
ケネディ大統領の暗殺に知らず加担していたマフィア幹部ギドリーが、知りすぎた自分は殺されると気づいて逃亡する途中に、新しい人生をはじめようと幼い娘たちを連れて家出したシャーロットに出会って、っていう話だけど、そこからふたりが恋に落ちて急にロマンスものみたいになるし、ラストで意外な人が意外な行動に出て驚いたし、結末も最初に予想したような感じにはならないし、すべてが意外。先が気になるし、テンポがよくて、なんだかあったいう間に読めた感じなんだけど、もっと細々長々読みたかったっていう気がする。ギドリーの育ちから生き別れた妹の話とか、シャーロットの思いとか、少年少女を家に住まわせているマフィアのエド、運転手のレオとかとか、登場人物ひとりひとりもっと深く書いててくれてもすごくおもしろそうだったのに、と。
エピローグがとてもよかった。(だけに、やっぱりもっともっとたくさん読みたかったな、と。)(しつこい) -
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1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていた―。
「このミス」でベスト10入りだったことを知り、本棚から取り出して読んでみた。例年のことながら、今年読んだ新作は、いずれもランキングの下位、もしくは圏外ばかり。
この作品は、犯罪小説だが、ロードノベルでもあり、実に切ない展開を見せる。おすすめ。 -
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フランク・ギドリーはニュー・オリンズを牛耳るマフィアのボス、カルロス・マルチェロの組織の幹部。一九六三年、カルロス・マルチェロとくれば、ケネディ暗殺事件がからんでくる。ジェイムズ・エルロイの「アンダーワールドU.S.Aシリーズ」でお馴染みの名前だ。オズワルドではない真の狙撃手の逃走用の車、スカイブルーのキャデラック・エルドラドをダラスの現場近くまで運んだのがギドリーだった。
暗殺事件が起きるまで、ギドリーは何も知らされていなかった。関係者が次々と殺される中、ギドリーは自分も消されようとしていることに気づく。ダラスでエルドラドを始末したその足でバスに乗り、行方をくらます。車を手に入れ、ラスヴェガスの犯罪組織のボス、ビッグ・エド・ツィンゲルを頼って西に向かう。テキサス州グッドナイトでカルロスの息がかかった保安官に逮捕されるが、持ち前の機転を利かして辛くも難を逃れる。
同じ頃、オクラホマのシャーロットは<Don't think twice, it's all right>の歌に誘われるように子ども二人を連れて家を出ようとしていた。酒飲みの亭主との生活に疲れ、自分と二人の娘の新しい生活を夢見ていた。夫が飲みに出かけたすきに荷物をまとめ、ロサンジェルスの叔母を頼って車で出かける。途中で事故を起こして車を修理中、モーテルでフランクと出会う。ギドリーは、自分の情報がばら撒かれていると知り、シャーロットに近づき、家族連れを装うことに成功する。
カルロスに雇われ、フランクを追う殺し屋がポール・バローネ。ケネディ暗殺の秘密を知る者を次々と手にかけてゆくが、手に深手を負う。傷口を縫ったメキシコ人医者のせいで感染症に罹り、ハンドルが握れないバローネは街角で拾った黒人の少年に車を運転させる。高熱で気絶したバローネのために医者を呼ぶのもセオドアだ。非情の殺し屋とぶっきら棒な黒人少年の取り合わせが、いい味を出している。
逃げる者と追う者、巻き込まれる女、三者三様の思惑が縒りあわされるように一つの物語を構成している。クライム・ノヴェルとしては、二人の腹の探り合い、相手を如何に出し抜き先手を取るか、という暗闘が見せ場。直接対決は最後にあるが、意外な幕切れに終わる。それよりも、この手の小説には珍しく、恋愛に重点が置かれていることだ。女など何人も相手にしてきた暗黒街の男がオクラホマから出てきた主婦にここまで入れあげるとは。
鍵は二人の交わす会話にある。夫の前では自分を見失っていたシャーロットが、フランク相手だと実に生き生きと会話をこなす。フランクは外見より、この当意即妙の会話に引きつけられているふしがある。それに、ジョアンとローズマリー姉妹の存在が大きい。フランクには、少年時代、父親の暴力から生き延びるために、仲のよかった妹を見捨てて家を出た過去があった。フランクにとって二人は妹の替わりだ。彼は姉妹をグランド・キャニオンに連れてゆく。
いくら豪華な家に住み、金と女に不自由しない暮らしをしていても所詮は裏稼業。頭が切れ、人扱いに優れていても、ボスがマフィアでは禄でもない仕事を回される。しかもこの世界に裏切りはつきもので、一数先は闇。作中、ダンテの『神曲』と聖書の引用がやたらと出てくるが、これはフランクの日常が地獄めぐりであることの隠喩である。運命的に出会ったシャーロットこそはフランクのベアトリーチェなのだ。
シャーロットは、前夫の悔悛の電話や、叔母の迷惑そうな口調に心揺れるが、その都度前を向いて進む道をとる。彼女の視点でこの小説を読めば、狭い田舎で若くして身ごもり、世間の口を怖れて結婚生活に逃げ込んだ女が、自分のアイデンティティを取り戻すための戦いを記すストーリーなのだ。シャーロットにべた惚れのフランクは、エドが手配してくれたヴェトナム行きにシャーロットと娘たちを誘う。シャーロットの心は揺れる。
バローネという刺客が担当するパートが最もノワール色が濃い。人を殺すことなど何とも思っていない。手で触れたものが金になる王のように、この男の手にかかると人は死体に変わる。バローネに人間らしさを感じさせるのが、黒人の少年セオドアとのやり取り。その間だけ人間的に見える。もう一つ死神が人間らしさを感じさせるのが感染症による高熱との戦い。立っているのが不思議なくらいの状態でじりじりと相手を追い詰めていく、その凄み。
それぞれの世界で自分の生き方を貫こうとして必死に生きる三人の姿が鮮烈に目を射る。フランクは無事アメリカを脱出できるのか。バローネがその前にフランクを仕留めるのか。シャーロットは本当にフランクと生きるのか。最後の最後まで事態はもつれにもつれる。まるでメロドラマのような展開にハラハラドキドキさせられること請け合い。
原題は<November Road>。異なる世界に生きる男と女が、それぞれの理由で今いる世界から逃げ出す。その路上で偶然に邂逅し、行動をともにするうちに、まるで運命のように恋に落ちる。その恋の顛末を描く、ラブ・ストーリーであり、追う者と追われる者の相剋を描いたクライム・ノヴェルであり、歴としたロード・ノヴェルでもある。『11月に去りし者』という表題は、この小説には寂しすぎる。『十一月の道』ではいけなかったのだろうか。 -
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無気力、それの何が悪いのか
頑張ったことがそんなに偉いのか
これは物語だから……
寂れた遊園地で働く青年が、ふとしたことがきっかけで、いままで思ったことがない使命感を募らせ、自らの手で未来を切り拓こうとする。
物語には、おばあちゃんがすきなジミー・ペイジのいるツェッペリンに、おばあちゃんが「女々しいあいつ」と言うジェフ・ベック、20世紀末の16弦が咽び泣くようなシーンもあれば、一方で、GoogleやiPhoneが活躍して、現代であることを思い出す。
同じ作者の前作『11月に去しもの』と同様に、シーンが映像として浮かび、その中でともに悪戦苦闘する。
でも、読み終わって、主人公は本当にこれでよかったのか、なんだか変なものが残る。
まぁ「物語なんだから、細かいこと言わない」って感じかなぁ〜 -
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ネタバレ3.5くらい?
評判は悪くないけどちょっと歯切れの悪い感じの感想だったので、デッドエンドになりそうだなと思ってたら案の定。ハードボイルドモノ?それ未満な感じ?
タイトルのダークライドは遊園地の暗闇の中を進むコースター的な乗り物かな。お化け屋敷のようなアトラクション。つまり一夏の冒険を表したかったのかな。
主人公の、誰かを救いたい、あの子達を救いたいという気持ちは良かった。救いたい理由より救わない理由がある?というのも良かった。
だけどやっぱ最後らへんの暴走はダメだよ、と感じるで。ハードリーのような人間がたどる末路としてはむべなるかな。
気になったのは、主人公より賢い人間がフェリスという年上の女性やエレノアというゴスの女性。あとは敵のネイサン。同居人兼家主のバークは賢いが危なくて頼っちゃいけない人間。兄はどうかな。
とにかく、メンター的な、いわば主人公のお株を奪うようなキャラがいない。お株を奪われたら話として成立しないが、なんか都合の良い世界だなって感じ。ラノベ的。
サルヴァドールは年下で頭の回らない描写がされ主人公を崇拝するという、読者を喜ばせるようなキャラで、それもなんだかな。
フェリスと寝るのも驚いた。寝ても良いくらいの容姿だったのかハードリー。ここら辺もラノベ的。
まあそれでも、ズブの素人が試行錯誤しながら見張ったり付けたり知恵をまわらそうとしたのは面白かった。
こういうのがアメリカではウケるんだろうか。 -
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ネタバレ23歳くらいの青年ハードリーが勇気を出して、児童虐待を受けている子ども2人を救おうとする話。
ハードリーは今が楽しければいいや、という生き方。マリファナを適度に楽しんで遊園地のお化け屋敷的なところで働いている。
この青年がいきなりむちゃくちゃな探偵まがいな行動をする。周囲の人に助けてもらうのだが突飛すぎる。最後はアドバイスを無視して強行突破。銃嫌いだったのに銃撃戦で2人を殺す。ハードリー本人も重症でその後のハードリーの結末はわからないまま。おそらく命を失ったと思われる。
今まで、何かを一生懸命にそれこそ命をかけた行動をしたことがない青年が暴走した一部始終という感じだった。巻き込まれた撃たれたサルヴァドールもかわいそうだし、必死になってハードリーの暴走を止めようとしていたエレノアもかわいそう。
ラストでハードリーがおそらく命を失う結果になったのは別にいい。こういう結果でもいい。だが何もかも唐突すぎてなんでこういうことになったのかよくわからないままだった。
自分は読書において、登場人物へ共感できるかどうかというのはどうでもいいタイプなので、ハードリーに共感できなくてもそれは別によい。ただ作品のなかに理解ができなかった部分が多いと感じた。
これは人生の不条理を楽しむ物語なのかとも思えてきた。リアルの人生では伏線と思えるようなことがあってもその後何も起こらなかったり、つじつまが合わないことがほとんど。ハードリーの物語もそういうことかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『11月に去りし者』を読んで面白く、力のありそうな作家さんと感じたので読んでみた。
うーん、なんか説得力に欠ける感じ。
あとがきに『11月に去りし者』の後したためていた作品が完成しきれず、5年ぶりの出版となったとの事情が記されていたが、その辺りの難産ぶりというか、源泉の涸れっぷりが伺えてちょっと残念。
主人公のハードリー(本名はハーディだが、兄がからかいも込めて「ほとんど~ない」の意(英:hardly)であるこの言葉で呼ぶので、自分でもそう名乗っている)は寂れたテーマパークの三流ゾンビアトラクション〈呪われた西部開拓地〉で脅かし役に扮する日々を過ごす。
プライベートでは、友人達と共にマリファナ漬けで、うだつの上がらない日常にも諦観含みの満足を得ている。
そんな日々の中、未納の駐車違反金を支払いに行った市役所で生気を失った幼い姉弟を見かける。
よくみると首筋に並ぶタバコ痕。
しかも連れ添っている母親らしき女性は、その痕を隠そうとしている。
そこからは天啓を受けたかのように、その姉弟を気にかけ、児童虐待の疑いある環境から救い出そうと東奔西走する。
途中出会う市役所職員のゴス娘エレノアや、空回りを繰り返す職場のカースト最下層クルー、サルヴァドール、元探偵の不動産屋美魔女マダム、フェリスといったキャラ強面々は悪くなく中盤くらいまではぐいぐい読ませる。
ただ途中、関係の発展が唐突だったり、なぜその行動をとるのかの話に深みが感じられなかった。
それぞれの関係性、エピソードの終着点もことごとく尻切れ。
もっと書き込みできたら面白かったと思うのに。
あと前作と登場人物も物語性も全然関係ない、原題にも含まれていないのに無理矢理「7月の」を入れてくる出版者側(なのか?)の浅ましさにもマイナスイメージ。