アビール ムカジーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前作『カルカッタの殺人』のレビューにて、「早いとこ次の現場に急行せねば!」と大口を叩いてから1ヶ月強。他の作品に気を取られてかなり出遅れてしまったが、こちらの2人も手遅れだったようだ。
2人というのは主人公ウィンダム警部とその部下バネルジー部長刑事のこと。
2人が警護していたにも拘らず、不覚にも藩王国の王太子が序盤で暗殺されてしまった。その刺客にも後々死なれてしまい窮地に陥るという、早々から手に汗握る幕開け。
都市部のカルカッタとは違い舞台となるサンバルプールは藩王国で、珍しく英領に入っていない。おまけに被害者(王太子)の生まれ故郷とは言え、ウィンダムらが所属する帝国警察には捜査権がなく… -
Posted by ブクログ
インド系移民2世である筆者なればこその作品。
英印、双方に軸足を置いて「公平」太郎と欲する気持ちの高まりがペンをとらせたのかと思うようなくちぶりがウィンダムの吐露を通じて随処で語られている。
支配・被支配の関係は16世紀ごろより始まって、植民地時代の幕開けと共に世界各地でなされて行った。
印度に於ける「植民地の圧政」は知っているようで意外とミステリー的部分が多い。
ローラット法の名前も初耳~かような法律の存在があることは想像に難くないけれど・・この法の下で針黒人の命と印度人の命を秤にかけた図式の悍ましさが浮き彫りになる。
イギリス人が支配できるのはその『道徳的優位性?!』『私たちが使えている -
Posted by ブクログ
英国統治下のインドで捜査に挑む、帝国警察のウインダム警部とインド人部長刑事バネルジーコンビのシリーズ第二作。
今回は『藩王国』が舞台になる。
聞きなれない言葉だったので調べてみたら『イギリス従属下で一定の支配権を認められていた藩王(prince)の領国』という説明だった。作品を読み進めると藩王であるマハラジャといえどインド国外に出るには英国総督府に旅券発行の申請をしなければならないし、インド政庁に財務報告書を提出しなければならないという義務があるとのこと。
だが政治や宗教、慣習や文化は認められているし『藩王国』内での捜査権は英国帝国警察といえど無い。
それをやってしまうのがウインダムの強引さ -
Posted by ブクログ
1920年、インド・カルカッタでサンバルプール国王太子が車中で射殺された、車中にはウィンダム警部とバネルジー刑事部長も一緒だったが、犯人は逃亡し自殺、王太子は死亡した。
王太子の葬儀がサンバルプール王国で行われウィンダムとバネルジーは葬儀に向かい王太子殺害事件の真相を探る事となった。
舞台は、カルカッタから遠いマハラジャの国サンバルプールは地方の田舎街だが、幻想的で豪華絢爛な宮殿が思い浮かぶ。ストーリーはウィンダムとパネルジーの行動は現代なら違法捜査や不法侵入等のルール違反が多くて、ほぼ物語として成立しないが、時代的には何の問題も無く捜査がスムーズに進んで行くが、登場人物全員が怪しい -
Posted by ブクログ
著者は1974年ロンドン生まれのインド系移民二世で、デビュー作の本作は2017年にイギリスで刊行され同年の英国推理作家協会(CWA)賞エンデバーヒストリカル・ダガー(歴史ミステリー)賞を受賞した。
小説の舞台であるインドは、1858年から1947年迄イギリスの植民地だった。
1919年インド・カルカッタでイギリス人の官僚が治安が悪く白人の寄り付かないブラックタウンの道端で惨殺された。イギリスから派遣されているウィンダム警部と現地人で新人部長刑事バネルジーが捜査に当たる。
翌日、列車強盗が発生し列車保安員が殺された。1時間に亘って強盗団は列車を止めたものの何も盗らずに逃走した。
-
Posted by ブクログ
1919年、イギリス統治下のインド・カルカッタでイギリス人の政府高官が殺され、口にはイギリス人に対する憎悪を綴ったメモが押し込められていた。
その後列車が襲われ保安員が殺される事件が発生。
捜査を担当するのはカルカッタに赴任してきたばかりのウィンダム警部、その部下ディグビー警部補、インド人部長刑事のバネルジー。
捜査を進める中で二つの事件を結びつける犯人として革命組織のリーダーが浮かび行方を追うが、軍情報部も横槍を入れてくる。
イギリス統治下のインドで現地人差別が公然と行われ、少数のイギリス人が政治も経済も握り、イギリス人同士での権力や経済を巡っての暗闘が繰り広げられる。インド人たちの中 -
Posted by ブクログ
時は一九一九年。舞台は英領インド、カルカッタ(今のコルカタ)。スコットランドヤードの敏腕刑事だったウィンダムはインド帝国警察の警部として赴任して間がない。第一次世界大戦従軍中、父と弟、それに結婚して間もない新妻を失った。過酷な戦闘で自分一人生き残ったこともあり、生きる意味と意欲を喪失し、アヘンに溺れていたところ、かつての上官で今はインド帝国警察ベンガル本部の総監タガートに誘われ、カルカッタにやってきた。
ミステリもいろいろ読んできた。舞台もアメリカ、ロサンジェルスをはじめ、イギリスのロンドン近郊、さらに最近ではノルウェーのオスロも仲間入りし、いよいよ国際的になってきた。しかし、インドが舞台と