ウォルター・シャイデルのレビュー一覧

  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ


    四騎士として戦争、革命、崩壊、疫病を挙げ歴史上それらが不平等の解消にどれくらい寄与したのかが細かいデータに基づいて述べられている。
    結論から言うと暴力を伴わない富の再配分は効果が薄く、累進課税制をはじめとした平和的な制度によるアプローチは論外でフランス革命や共産主義革命ですら効果は限定的だったという救いのない考察。個人的にはベターな選択肢として第三次世界大戦が始まるよりも格差のある平和な世界を望んでしまう。

    Chaos isn't a pit.Chaos is a ladder.
    読みながら「ゲームオブスローンズ」リトルフィンガーの言葉を思い出した。

    1
    2024年02月10日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    歴史的に見て、不平等が解消されるのは(大量動員)戦争、革命、国家崩壊、疫病という非常に大きなイベントが起きたときのみで、それ以外の状況では格差はどんどん拡大していくという内容。
    シンプルな内容だが、学術書としてデータ積み上げて事実を論証していく大著。

    0
    2022年05月08日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    20世紀における不平等を解消した方法は、戦争・革命・崩壊・疫病だった。今世紀もいまだ不平等はなくなっていない。その解決策は紹介だけにとどまっているいるけれども、この実態を知ることができたことは実に有意義だった。

    0
    2024年12月20日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    購入済み

    悲観的絶望的な記述

    長大な著書であり 膨大な実例を挙げて不平等.格差の変化の実情 原因について論じている。かなりの箇所で同じエピソードの繰り返しがあり「冗長」との印象を抱いた。
    しかし、印象に残る箇所 感銘を受けた箇所も数多くあった。例えば下記のような文章である。

    歴史的に見れば、格差の是正 平等化には黙示録の四騎士黙示録の四騎士(戦争 革命 崩壊 疫病)による大惨事が必要であった。黙示録の四騎士のうち平等化に一番貢献したのは一番多くの割合の人を殺した「疫病」である。労働者が減ると労賃が上昇し、格差が解消してゆく。
    現在の日本の労働者減も、移民による労働力補充などをしないと労働力不足による賃金向上が実現でき、格

    0
    2024年08月08日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ


    世界大戦により不平等が圧縮された歴史があるが、過去何度かにわたる戦争の中ではなかなか富は再分配されなかった

    ペストや疫病でも、不平等は圧縮された
    しかし、今後そのような大きな戦争は起こる可能性が低い(おこってほしくない)
    そのようか中で開いていく格差をどのように埋められるのだろうか…

    #速読

    0
    2022年02月27日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    ・世界の不平等の歴史を探究する難題
    ・世界で最も裕福な1%の世帯が、世界の個人純資産の半分あまりを保有している
    ・「平等化の四騎士」=戦争、革命、国家破綻、伝染病が不平等を是正する
    ・本書の目的は、不平等が減少するのはなぜかという疑問に答え、平等化のメカニズムを突き止める。
    ・古代の遺跡や埋葬からも、ヒエラルキーや階層社会のような不平等社会はみられている。
    ・経済的な余剰の多寡が政治的不平等を発展させていることがわかる。たいした余剰生産のない集団は86%が政治的不平等の形跡がない。
    ・最初の「1%」ー少数のエリートを生み出す構造 →国家構造がうまく維持されている限り、エリート支配は安定してい

    0
    2021年09月19日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    暴力と不平等の歴史。一億総中流と言われた社会がかくも格差が広がった理由を知りたくて読んだ。結構難しく、読書カロリーは高め。ガチで論文のデータを載せているためである。

    人類と不平等は農業畜産以前からの長い付き合いだが、時には不平等が是正されることもあった。その平等化のメカニズムは「戦争」「革命」「崩壊」「疫病」であるという。

    この本では、なんとジニ係数を農業畜産以前まで持ち込むのがポイントだ。中世フランスイタリアの富裕税、オランダの家賃税、古代アステカの家屋サイズ、バビロニアの持参金の分配などを使うという。

    前近代の文明については、漢、ローマ、スペインなどが挙げられる。これらは、経済的な影

    0
    2021年06月05日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    一言でいうなら、大著である。それだけに読む者にもそれなりの労力が求められる。

    本書は、古代からの人類の悠久の歴史が、持てる者と持たざる者の不平等の歴史であること、両者の格差は拡大と縮小を繰り返してきたことを実証していく。そして、格差が是正され、平等化に近づくのは、常に暴力的事象の後であることを指摘する。すなわち、戦争、革命、国家の崩壊、疫病であり、著者のシャイデルはこれをもって「平等化の四騎士」と命名した。ただし、小規模な破壊やどちらかの一方的な勝利などは、平等化にほとんど影響しないか、限定的な効果しかない。四騎士の剣が振るわれるのは、壊滅的なまでの暴力のみである。

    ここ数十年、世界のグロ

    0
    2021年03月06日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    過去では、大量に人が死ぬことで平等化されてきたんだよ、という話。

    富裕層に余剰の資産があるのが常で、有事にはその余剰が没収され貧困層に再分配される、という極めてシンプルな市場原理を、4つのパターン(戦争、革命、崩壊、疫病)に分けて50個くらいの事例を用いて解説している。経済書と言うより歴史書。

    めちゃめちゃ示唆に富んでいる。事例の網羅性がすごいので、過去に平等化が進んだケース、進まないケースの違いが様々な側面から示されている。

    この本から何を持ち帰るか、と言う点では難しい。あくまで歴史書であり、現代に近い話はほぼ皆無なので。ここに、技術の介在などの現代の要素を取り入れることで、自分の意見

    0
    2020年04月23日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・注釈なども入れたら800Pほどの大作.事例紹介が多くてかなり読み飛ばせるが.

    ・不平等の発生は資本が蓄積可能になっていることが前提(狩猟採取から農耕牧畜型の生活にシフト)

    ・それは経済発展と権力者による搾取的行為により拡大した.

    ・その解消には「暴力的衝動」が必要不可欠だったと歴史が語っている.歴史を見ると戦争・革命・崩壊・疫病.

    ・しかし暴力的衝動は相対的な格差を縮めたというだけで当然,人々の死や社会の混乱を引き起こしておりこれを迎合することも難しい.

    ・人為的な,平和的な施策では不平等の解消の効果は「暴力的衝動」のそれには到底及ばない.
    政治家などの不平等解消を説得する演説も大

    0
    2019年08月04日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    この本を読みながら、平等とは何か、格差とは何か、平等と格差について、望ましい状態は何かを考えさせられた。
    本書が望む状態がクリアであれば、もっと楽しめたと思う。

    0
    2025年10月31日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    まず、本書については一言で言うと、
      『重い』(物理的にも、内容的にも)
    ということに尽きる。

    人類の歴史が始まって以来、人類の歴史は
      持つ者と持たざる者との歴史
    であると言って良いと思う。

    本書をざっと読んでみて、平等を実現することがどれほど難しいということかが改めて確認できた。

    農耕生活が始まる以前の
      狩猟採取生活
    が人類が最後に経験した平等であったのかもしれない。

    本書で論じられる人類を平等化をさせる可能性のある四騎士
      〇戦争
      〇革命
      〇崩壊
      〇疫病
    のうち、本当の意味である一定の社会を平等化できたのは
      〇戦争→大量動員戦争である第二次世界大戦
      

    0
    2021年05月23日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    不平等・平等化について
    歴史的なデータから分析している

    最近のITが発達している社会では
    同様なことが起きても
    また違った展開になるのかな

    0
    2021年01月07日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    歴史上のエビデンスから文明が平等化を平和裏に進めたことがないという事実は暗澹たる気にもなる。徳川~戦争~戦後処理にかけての日本への言及も多く非常に興味深い。

    0
    2020年12月31日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「数千年にわたり、文明のおかげで平話裏に平等化が進んだことはなかった。既存の秩序を破壊し、所得と富の分配の偏りを均し、貧富の差を縮めることに何より大きな役割を果たしたのは、暴力的な衝撃だった。」

    0
    2020年02月16日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    平等だった人間の狩猟採集社会は、農耕・牧畜で余剰生産と蓄積が可能になったことで、不平等化した。社会のしくみはレントとして不平等を維持・増加させる。過去、不平等を大きく減らしたのは、近代の戦争・革命や社会の崩壊・疫病、大きな厄災なしに起きたことはない。

    如何に富を増やすかというテーマの本ばかり読んできたので、いかに不平等を減らすかという視点が新鮮でした。というか、いかに世の中、不平等に向けて染まっているか、ということを再認識しました。

    0
    2019年07月22日