伊禮規与美のレビュー一覧

  • 死者の国

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    親に捨てられたり、機能不全家族で育った人たちにはとても刺さる小説。私もそれなので登場人物たちにことごとく感情移入してしまった。してしまったというのは心の痛みが分かりすぎるということで、読んでる最中はトラウマが蘇り辛い場面もあった。

    犯人と主人公は同じでありながらそれぞれ違う未来を歩んだ存在として描かれる。自分がどちらになるかは自分で決められる。機能不全家族で育ったから、親に捨てられたから、呪われた血を受け継いでいるかは関係ないのだ。犯人が子どもに手をかけなかったのは、本人も薄々そのことに気づいていたからではないだろうか。

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    2025年08月22日
  • 死者の国

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    ネタバレ

    ペーパーバックのような分厚さ、読むの手が疲れるけれど夢中になって読んでしまった。
    美術系にSMとかグロい系あり。途中で意味不明なアクション?ありで、そこはいらなかったようにも思うけど、最初からは全く想像のできない最後だった。
    人ってそんなに出自にこだわる?と思いつつ、ヨーロッパは特にいろんな民族が入り乱れているからこそすごく気になるのかなと感じた。
    フランスで人気の作家との事なので、他の作品も是非読んでみたい。

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    2022年10月29日
  • 死者の国

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ面白かったですよ。
    エログロがとんでもなく多いし、こんな分厚くしといて伏線全部回収出来るの?とおもったらまぁすごいったりゃありゃしない。
    話の内容としては進撃の巨人に似てるね。
    憎んでた敵は同族ってね。
    なんかもう動機やらなんやらまで完璧じゃないかなぁ。
    あー凄かったって久しぶりに思った作品だった。

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    2022年07月21日
  • 死者の国

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    ネタバレ

    2段組で760ページ!
    読む前に圧倒されるボリュームだが、読み始めると引き込まれる。
    オープニングは猟奇的な殺人事件でサイコ的な味付けが強いが、容疑者が浮き上がってからの話しの展開が上手い。そのたびに話の風景まで変わっていく。

    「セブン」のようなサイコ犯と刑事の追いつ追われつの闘いかと思えば、法廷モノに姿を変え、そこからは贋作犯の話しになりつつ…。

    話しが起承転結と動くたびに形を変えながら、最後にタイトル「死者の国」に繋がる余韻が残るラストまで、プロット展開の巧さは見事の一言。
    登場する異形のキャラも濃厚で、そこに展開される個々のドラマの味付けも強烈だし、映画や美術、文学に対する作者の造詣

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    2020年06月19日
  • 死者の国

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    ネタバレ

    ポケミス史上最長、最厚!というこのレンガに取り組むために、積読を片付け、今年のサイクルロードレースの録画全てを見終わって、一気に読める時間を作り、いざ!

    『パリ警視庁迷宮捜査班』のど変態版か?と始めの頃は思った。有能で個性的なメンバーによる捜査。
    しかし、トップである主人公が規格外の生い立ち、経歴を持ち、泥沼の離婚争議中で、あぁその妻ときたらスーパーエリートで超ど変態…
    鬱屈具合の半端ない人びとがわんさか。

    物語のかなり初期にいきなり、日本の文化である「緊縛」「縄師」という言葉が登場して驚くが、かなりグロいSMの描写が続くので、そちらに嫌悪感を強く持たれる方にはおすすめできない。

    あぁ、

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    2019年11月03日
  • 死者の国

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    パリでストリッパーが連続して殺害される。被害者の下着で縛られ、唇の両端は耳まで切り裂かれていた。担当はコルソ警視。パリで最も優秀だが、強引な捜査を行う男。捜査が行き詰まったとき、昔同様の事件があったことを知る。その犯人はフィリップ・ソビエスキ。強盗殺人で刑務所にいたが、出所してから画家として成功していた。ソビエスキにとって不利な証拠や有利な証拠が出て来て・・・

    長い。果てしなく長い。ポケミス上下二段組で700頁強、定価3千円。しかし、物凄く面白い。

    コルソの無茶苦茶なキャラがいい。ムシャクシャしたから、自分の担当でない銃撃戦に参加したりする。

    ゴヤの絵画が重要な場面で使われているのだけれ

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    2019年10月31日
  • 死者の国

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    作中のグロいシーンにはなかなか馴染めなかったが、大好きな街が舞台であるという事と、何より勢いのある文章が最後まで読ませてくれた。いつもは犯人を探し探し読むのだが、この作品は複雑な構成すぎて思わぬ黒幕にやられた感が凄かった。

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    2019年10月11日
  • 死者の国

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    グランジェ作品、最高です。『クリムゾン・リバー』は映画しかみてないけれど、『通過者』もめちゃくちゃ面白かったし。どの作品も主人公や出てくるひとが普通じゃなくてそういうのが、人間的。いや、変な人ばっかり出てくるんだけども、これも絶対絶対映画になったらみたいかもと思うくらいに人間関係が複雑で、第三部はじまったら怒濤の展開でめちゃくちゃ読むスピードあがります。ちょっと長いし、本が持ちにくいのが難点ですが。アーナルデュル・インドリダソンとグランジェがワタシの好きなミステリー作家さんやなーとしみじみ思いました。

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    2019年08月30日
  • 死者の国

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     ポケミスの愛称で知られるハヤカワ・ポケット・ミステリだが、年々ポケットという名が似つかわしくない厚手の本が増えている。もともとポケミスは、海外のペーパーバックを真似た洒落たオトナのデザインを身に纏っている。ペーパーバックは、海外ではハードカバーよりは下に見られていて、安い原稿料でノワールやアクションを書いて糊口を凌いでいた三文作家のことはペーパーバック・ライターと呼ばれて一段下に置かれていた時代があったと言う。ところがペーパーバックから多くのエンターテインメントの巨匠や天才が生まれ育つにつれ、世界の読者はペーパーバックこそが、名作の卵であったり雛であったりすること、そして何よりも面白く読める

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    2019年06月24日
  • 小さな嘘つき

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    物事には色んな側面があって、見えてる角度が変わるとその出来事の印象も大きく変わる

    先入観とかそれまでの価値観もあるから公平な視点ってすごく難しいけど、少なくとも何かを判断する時に自分が見えてない面もあるんだろうなってことは忘れないようにしようと思った

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    2025年10月13日
  • 小さな嘘つき

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    タイトルにあるような「小さな嘘つき」ではなく、他人の人生を狂わす大きな嘘がここにはある。他人の人生を狂わしてもなお言いたかった事はなんなのか。新しいタイプの社会提議本なのか。
    ただひとつ気になるのが思わせぶりな「後で読んでね。すべてが終わった時に」という最終章にある一文。それに関してなんの言及もないまま突然この小説は終わる。これこそが小さな嘘つきなのではないかと邪推する。

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    2025年08月23日
  • 夜の爪痕

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    パリの刑事フィリップ。50代でキャバレー課から犯罪捜査部へ異動。残虐な事件が起こり新任ながら課長として指揮をとる。キャバレー課にいたということで夜のパリを知り尽くしていてそのことが捜査を前に進めていく。警察小説として面白く展開されていくのだけれど犯人がまだ判明していない時点でこの人が犯人だなと思ってしまうほど不自然というか大袈裟に書かれているような箇所がありそこがすこし残念だった。それでもラストにある犯人との一瞬の対峙の場面は迫力や緊張感があってよかった。続編も書かれているということでぜひ読みたい。シリーズが途切れず発売されることを願ってます。

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    2021年08月28日
  • 夜の爪痕

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    パリの警察もの。事件が日にちを追って書かれていて、プロローグがうまく生きている。地道な捜査の様子やパリの街の道路の狭さや渋滞もリアル。ヨーロッパの作品にしてはドロドロした所がなくあっさり目。

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    2021年08月24日
  • 夜の爪痕

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    アレクサンドル・ガリアン『夜の爪痕』ハヤカワ文庫。

    元パリ警視庁の警察官だった著者によるパリ警視庁賞受賞作のフレンチ・警察ミステリー。

    家庭を省みずに情報収集と捜査に没頭する刑事が主人公にストーリーは展開する。謎のエスコートガール連続殺人事件という興味深いテーマではあるが、ストーリーに起伏が乏しく、犯人像も在り来たりなような感じがした。また、余りにも悲劇的な結末までの展開も淡々とし過ぎていて物足りなさを感じた。

    主人公のフィリップ・ヴァルミはパリ警視庁売春斡旋業取締部キャバレー課に勤務する警視で20年間、パリの夜の世界の動向を探るため夜な夜なナイトクラブやストリップ劇場をまわり、情報提供

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    2021年07月05日
  • 死者の国

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    中盤にさしかかってからの二転三転によって大いに揺さぶられ、最後まで楽しく読みました。同じ作者の本で未読の物が少しあるので手を伸ばそうと思います。

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    2020年04月05日
  • 死者の国

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    好きな作品かと聞かれたらそうではないかもしれない。だけど間違いなく面白い。読ませる。とにかく読ませる。ちょう分厚いのに読ませる。まだこれだけページが残っている、というのがうれしくなる。リアルさや隙のなさを考えたら色々とあらはあるだろうけど、複雑な事件が起こってその謎がちゃんと紆余曲折を経てきちんと説明されて行くのは満足度が高まる。なんとなくディケンズを思わせるような物語の閉じ方。
    ただ最後のメッセージの文章の時制には違和感を感じた。原文ではどうなんだろう?

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    2019年10月23日
  • 死者の国

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    ちょっと今までに感じた事のない読後感。品が無いとも思うし、好きでもあり嫌いでもあるんが率直な感想かな。

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    2019年09月15日
  • 死者の国

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    700ページ強! バッグの中で重かったぜ…

    パリにて、頰を耳まで切り裂かれ、喉に石を詰められ、下着で縛られたストリッパー連続殺人に始まる第1部。アウトロー刑事が暴力と強引な操作で追い詰めた「犯人」が、第2部で有罪判決を受けて収監されてから、怒濤の展開の第3部という…気の抜けない作り。

    いやー、英米ミステリを読み慣れてると、ヨーロッパ大陸の捜査官たちの行動は破天荒だなあ。ネスボの「ハリー・ホーレ」もだけど、不法侵入から証拠破棄までなんでもあり。そのワイルドさにグイグイ惹きつけられて、ページを繰ってしまうけれども。

    絵画・歴史から日本の緊縛まで、JCの豊富な知識と美学が、背景また道具立て

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    2019年07月10日
  • 小さな嘘つき

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    15歳の少女はなぜ嘘をついたのか… 性犯罪への偏見、歪んだ司法を描いた法廷ミステリ #小さな嘘つき

    ■あらすじ
    弁護士のアリスは、強姦事件の被害者であるリザから弁護の依頼を受ける。アリスが事件について調査を進めていくと、ある日リザから衝撃的な告白がされる。当時15歳だったリザが嘘をつかざるを得なかった理由とはなんだったのか…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    真実とは曖昧で、ある方向から見れば○であっても、他方から見れば×ということもある。現代に書かれるべくして書かれた小説… なんかもう、胸が苦しくなるわ。

    本作は少女時代に性犯罪を受けた女性から、控訴審裁判の依頼を受けた弁護士の物語。物語の

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    2025年07月11日
  • 死者の国

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    長かった…。信頼すべき複数の書評家が取り上げていたので、暑さにも怯まず辛抱強く読み進めたのだが…。パリ警視庁犯罪捜査課コルソ課長の犯罪者を憎み正義を追求する姿勢や個性豊かな部下たちを鼓舞し叱咤しながらチームで操作を進めるやり方もみりょくてきではあるのだが。捜査が右往左往する中でなかなか真実に近づくことができず、最後に死んだ犯人からの手紙ですべてがあきさなにされるなんて、二時間ドラマ的すぎるよ。

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    2021年12月22日