レティシアコロンバニのレビュー一覧

  • 彼女たちの部屋

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    前作「三つ編み」では、同じ時を生きるイタリア・インド・カナダの女性たちの人生を、まさに三つ編みのように交差させて描いていたが、今作は、フランスの同じ場所を舞台に別の時代を生きる女性たちを描いている。
    それぞれ横軸と縦軸で紡ぐ物語。
    その切り取り方がすごい。

    100年ほど前、救世軍の創成期の頃に幾多の困難を乗り越え、女性のための居場所を造った女性ブランシュと、現代に生きるバーンアウトしてしまった敏腕弁護士ソレーヌ。自分を含め女性が抱える困難に寄り添い、立ち向かう二人の女性の生き方に、諦めずに進めと言われているような気がする。

    救世軍は、年末になるとターミナル駅などで募金を募る「社会鍋」を、子

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    2021年04月25日
  • 彼女たちの部屋

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    ネタバレ

    映像化向きの本だなーと少し鼻白んでしまうところはあるけど,すごく良い話だった。三つ編みと同じくすごく好き。
    しかし弁護士って,こういう話の主人公にされやすい職業なのかな。

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    2021年02月15日
  • 彼女たちの部屋

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    「三つ編み」や今作、「82年生まれ、キム・ジヨン」などの所謂フェミニズム文学に弱い。共感と、連帯感。
    私自身女性として生きてきて、女性ならではの生きにくさを感じることがあるけれど、特にレティシア・コロンバニの作品に描かれる女性たちの人生というのはとても過酷で、同じ世界・同じ時代に生きているとは信じられないほど。
    偶々生まれた環境が違うだけ・偶々ボタンを掛け違えただけでここまで違ってしまう人生に、罪悪感のようなものを感じてしまう。なにか自分に出来ることがあればしたいけれど、無力な自分に何ができるのか、そこまでの責任が負えるのかと思うと、躊躇してしまうー 今作の主人公の一人、ソレーヌの気持ちがとて

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    2020年11月23日
  • 彼女たちの部屋

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    前作「三つ編み」とテーマは同じ。
    こちらは2つの時代に生きた2人の女性の物語。

    100年前、自分の全てを出し切って貧困や差別にあえぐ女性たちのために生きた高潔なブランシュ・ペイロンの存在には驚かされました。
    直向きに、ただ直向きに「助けたい」という信念を貫き通した人生には頭が下がります。

    そして100年継がれた思いを確と受けとめたソレーヌ。
    彼女は心に大きな傷を負っていましたが、女性保護施設で出会った個性豊かな女性達とのふれあいの中で、徐々に前を向き、立ち上がり、進んでいく気持ちを取り戻していく様が心を打ちました。

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    2020年09月30日
  • 彼女たちの部屋

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    パリの女性会館。現在と過去、二人の女性の苦闘。現在のソレーヌ、女性会館で代書人のボランティアをすることになる。100年前、救世軍のブランシュは女性・子供を救う施設を作る。ソレーヌは自分とは違う境遇の女性たちに最初は戸惑うが、代書を通じて心を通じ合わせる。ブランシュは病気であっても女性のために奮闘する。
    ブランシュの方は女性会館ができるまで、ソレーヌの方は、うつ状態を脱し、自信を取り戻し、立ち上がるまで。タイプは違うが二人の強さが描かれる。二人の物語でもあるが、現在のところで描かれる女性会館に登場する女性たちも、私に、読者にエールを送る。様々な境遇で戦う女性たち。どの女性もなんと力強かったことか

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    2020年09月29日
  • 彼女たちの部屋

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    ネタバレ

    サルベーションアーミー、前世紀の前半の時代に女性が動ける組織があったことが驚き。平等な使命に生きる結婚があったことが驚き。
    みつあみの期待を持たずに読みたかった。

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    2020年08月20日
  • 三つ編み

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    3人の女性になんの共通点も見いだせなかったが、三つ編みの如し、最後は絡まっていく。インド不可触民のスミタの壮絶な脱出劇なくして、髪はサラのところにまで届かなかっただろう。鋼のような心で立ち向かっていたスミタだが、最後、坊主頭ですっきり丸くなったのは、頭の形だけでない、全てを受け入れ後は神に委ねるというシンプルさの象徴でもあったと思う。
    ジュリアの恋人、シク教徒のカマルのしなやかさの中に現実的な視点が印象に残った。

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    2025年08月14日
  • 三つ編み

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    全然違う国と境遇の人が最後には三つ編みのように絡まる素敵な展開
    世界は繋がっていると改めて感じられる本。
    それだけではなく、女性3人の色々な葛藤があり、
    同じ女性として3人のように強く生きたいとエールをもらえます。
    読み終わったあとに『三つ編み』のタイトルに納得、
    著者のタイトルのネーミングに拍手したくなる一冊です。

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    2025年04月05日
  • あなたの教室

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    ある事情を抱えて、インド南部の村へ逃避行したフランス人女性(元英語教師)が、不可触民の子どもたちのための学校を作るお話。
    インドのエネルギッシュさや伝統的な習慣の美しい描写のほか、今なお続くカースト差別、児童労働、児童婚、忌み嫌われる不可触民であるのに女性が襲われるという逆説の事実。
    不可触民の差別から脱するために、ヒンドゥー教からキリスト教に改宗しているくせに、伝統的な価値観に則って12歳の少女を結婚させようとする養父母。赤色と金色の美しい布に刺繍が施されたきらびやかな婚礼衣装を纏う少女の悲しみ。
    「新妻は家族と別れ、夫の家族と同居し、その所有物となる。」所有物、という単語を人に使うことの意

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    2025年04月04日
  • 彼女たちの部屋

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    知らなかった世界が見える本
    少しパリの世界にいるような世界観で本が読めるし
    世界のいろいろな状況を知り
    視野を広げることができる本

    改めてわたしには何ができるのかを考えるきっかけをもらえる

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    2025年02月13日
  • あなたの教室

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    ネタバレ

    ジャナキの一件が起こって、やっぱりフランスに帰るってなった時は「えぇぇぇぇ⁈ 」とプリーティと一緒に怒りが湧いたけど、諦めずにプロジェクトが一歩また一歩進んでいくさまに胸を撫で下ろしました。女性差別、貧困、不可触民、現状を知れば知るほど辛いし悲しい。

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    2024年11月28日
  • 彼女たちの部屋

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    ネタバレ

    3にしたけど気持ちは3.5くらい。同じ場所の過去と今が交差する構成は良いしさくっと読めて面白かったけど意外性はなかった。あと、独特の文体がちょっと苦手だった。
    映画化したら映えそう。
    元カレ家族との遭遇で落ち込むのは万国共通なんだなと思った(特にこちらがシングルで、他のことがうまく行っていない時)。

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    2024年07月09日
  • 彼女たちの部屋

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    SL 2023.3.16-2023.3.18
    パリの女性会館はおろか、救世軍のこともほとんど知らなかった。100年前から社会から排除された女性たちに屋根を与えようとして奮闘した人たちがいた。それは現在に続く闘い。そしてこれからも終わることのない闘いだということがある意味哀しい。
    自分にできること、あるはずだけどできていないことに恥入るばかり。

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    2023年03月18日
  • あなたの教室

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    聞こえてくるインドに関するニュースというと、女性がレイプされて殺されたというような悲惨なものや、また、本作にも描かれるカースト制度(不可触民)や児童の労働・結婚の問題についてなどが多いので、インドとは、常識や人権感覚が私とは違う、安易に立ち入れない国、という気がしてしまう。地元にもインド出身かな?と思うような方達が増えてきて、身近なのだけれど、なんだか遠く感じる存在でもある。
    本作はそんなインドで不可触民の子供の為に学校を作ったフランス人女性の話で、伝統や風習の壁に挫折したり、自分がしていることに葛藤(自分がしていることは偽善・自己満足ではないのか?)したり、喜びや使命感を感じたり、自分の生き

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    2023年03月02日
  • あなたの教室

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    ネタバレ

    『三つ編み』に出てくる少女が重要なカギとなる小説。
    主人公のレナはある理由でインドへ1ヵ月ほど滞在することになるが、その少女に助けられ、恩返しとして英語を教えることになる。そこから文化や言語の壁を乗り越えて仲間も集めて学校を立てることになるが、様々な試練が待ち受ける。
    三つ編みと同様女性に対する差別や格差について言及する描写が多く、インドでの状況を細かく知ることができる。主人公が女性を守る集団リーダーであるプリーティに会うことになるが、本当に存在するのであればインドも少し変わってきているのだなと思った。インドならではの風習で女性が若くして結婚させられたり、女性の教育は必要ないといった固定概念が

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    2022年12月19日
  • あなたの教室

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    「三つ編み」が良かったので、レティシアさんの本を読んでみたいと思った。
    インドは世界最大の児童労働市場。
    他にも、不可触民のような階級の問題、女性差別、児童労働、児童婚など、問題が多数あるように感じる。
    フランス人は、衝撃を受けると思う。
    レナを応援したい。
    あとがきも良い。
    SDGsのコーナーに置きたい本。
    (たくさん含まれている)

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    2022年11月15日
  • あなたの教室

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    フランス人教師のレナは、ある出来事が原因で教師を辞め、気分転換のためインドを訪れていた。そこで彼女を襲った悲劇から救ってくれた少女と、レッド・ブリゲイドと名乗る集団を率いるリーダーと知り合う。2人はインドにおけるカースト最下位の〈不可触民〉だった……。
    『三つ編み』のあの子も登場し、不可触民の女性として生まれた悲劇が描かれる。どんな環境にあっても明るく元気で学習意欲が旺盛な子供たちの姿がいじらしい。

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    2022年09月29日
  • 彼女たちの部屋

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    ネタバレ

    その時の姿形で目の前の人を判断しがちだけど、人間一人一人に目には見えない物語があることを思い出させてくれた。

    ソレーヌが立ち直ってゆく様子も良かったな。


    『傷ついた者の魅力、倒れ、再起した者が持つ魅力がある。』

    この一文が好き。

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    2021年12月19日
  • 彼女たちの部屋

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    敏腕弁護士のソレーヌは、敗訴したクライアントが見の前で飛び降り自殺をしたことから神経を病んてましまい、弁護士事務所を休職している。医師の勧めで、女性の保護施設でボワンティアとして代書人をすることになる。エリートとして自信満々だったソレーヌからは想像もしていなかった最下層の女性たち。それぞれの辛い過去からの自立を目指す彼女たちと触れ合うことで、ソレーヌ自身も自分を取り戻していく。

    この施設を1925年に女性の保護施設にした救世軍の女性の顛末が、現代のストーリーの間に挟まれているが、二つの物語を並べる効果があまり感じられない。現代の彼女たちだけでも良かったのではないか?

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    2021年07月08日
  • 彼女たちの部屋

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    『三つ編み』のレティシア・コロンバニによる新刊。大きな挫折のあと、保護施設『女性会館』で代書人のボランティアをはじめた弁護士のソレーヌの現代パリターンと、100年前の救世軍のブランシュの過去パリターンが交互に進む物語。さまざまな地域に根付く「女性」に関する問題を提起した作品、救世軍に関してはあまり詳しくなかったのだが、本作を読んでいるうちに興味が出たので、あとで詳しく調べてみようと思った。

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    2020年08月31日