清水博之のレビュー一覧
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なんだろう、文字を追っているうちに気づいたらその街の景色や情景が浮かんでくる。
そして、登場人物の表情や心境が胸に突き刺さってくる。
読んでいて心が温まる小説だ。文章が優しい。
こんな本屋があったらなあ。
そしてこんな隣人が現れたらなあ。
人はその言葉と表情が一致せず、だからこそ、言葉を聞かず表情を読まなければならない。
ひとりでいるときのほうがよく見えるものがあり、寂しさから学ぶことは思うより悪くない。期待するものが少ないほど、生活は穏やかに流れていくから、心から望むものが生まれるのはつらいことだ。
人生はそんなに長くない。今から苦労しなくても、いずれ僕たちもこの世を去ることにな -
Posted by ブクログ
ゆっくり丁寧に物語が進んでいって、とてもゆったりとした読後感。
時間かけて読み終えたので、へウォンや、ウソンプの日常を作中にもある、「グッドナイト書店の会員」になって垣間見ているような気分。
恋愛ものとは知らずに読んだが、話はロマンチックになりすぎず、恋愛小説の甘々表現が苦手な私も難なく読めた。
現代の韓国の文化も所々描写されて、分かりやすく注釈のもあるので、すんなり受け入れ読み進めることができ、翻訳も丁寧で読みやすい。
作中に、
「人生はそんなに長くない。今から苦労しなくても、いずれ僕たちもこの世を去ることになる。だからそれまでは、どうか幸せでありますように。」
とあるが、とても優しく印象 -
Posted by ブクログ
途中まではなかなか面白くならないな~と思っていたけど、段々と話にハマっていった♪江原道彗川の北峴里の叔母の家に帰ってきたヘウォンは隣の家が書店になっているのに気が付いた。「グッドナイト書店」。こんな田舎に書店なんて、ソウルでさえ小さな書店は長続きしないものだ。ウンソプは田んぼスケート場からヘウォンの姿を見つけた。今年も帰ってこないのだろうなと思っていたが。ペンション「クルミハウス」への道をヘウォンは登っていく。彼女が叔母に引き取られて来たのは十五歳の時だった。昔祖母が運営していた時の名前は「北峴民泊」だったが、叔母の茶色の犬の名前のクルミがそのままペンションの名前になった。
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Posted by ブクログ
ソウルでの生活に疲れ切ったヘウォンは、ひと冬を故郷で過ごそうと戻ってきた。隣の空き家は、いつの間にか小さな本屋になっていたーー「グットナイト書店」。店主のウンソプにとってヘウォンは、初恋の人だった。彼女が戻ってきたことで、静かな冬の生活が変わっていく……。
本を読むことでその人の心が救われるなんて、そんなのは傲慢だ。本や物語にそんな力なんてない。でも人生で立ち止まった時、なぜか手に取ってしまうのは本だった。救われなくても、今抱えている嫌な気持ちを変えるきっかけをくれるから。
この本を読んだ後、なぜだかそう思った。
へウォンにとってウンソプはそんな本のような存在だったのではないかという気がする