下田明子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イェール大学リトルヒストリーシリーズは、哲学史、経済学史ともに良書だった。
そしてこのアメリカ史。
これまでの2冊がややカタログ的な作りだったのに対してこのアメリカ史は物語性を前面に打ち出している。
1492年、アメリカ大陸への上陸を端緒として物語が始まるわけだが、
それはアメリカ大陸自体の物語としてはほんの最近の出来事にすぎないという前置きがなされる。
ネイティブアメリカンへの配慮、というのももちろんあるだろうが、それ以上に偉大なる歴史への敬意が感じられる。
独立し、奴隷解放宣言がなされ、大陸を横断し
都市が縦に、そして横に広がり、2度の大戦を経て超大国へ…という成長の物語と
ヨーロッパからの独立、奴隷の解放、差別、黒人・女性たちの勇気…という自由への闘いの物語。
いまなお続くこの超大国の物語だが、歴史から浮かび上がってくる自由と平等への渇望は凄まじいものがある。
今後、この超大国はどうなっていくのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026年の37冊目は、アリエル・ローホンの「凍てつく河」です。建国して間もないアメリカに実在した伝説の助産婦マーサ・バラードを主人公とした物語です。
2026年のゴールドダガー賞ノミネートも完全に頷ける出来です。
建国して間もないアメリカの風土、社会、開拓者精神、女性達の置かれた立場というものが、主人公マーサや登場人物を通して良く分かります。当時の女性としては珍しく文字が書けたマーサは、日記を残していました。
その日記を基にして、フィクションを織り交ぜて書き上げられたのがこの作品です。
物語の大きな軸となるレベッカ・フォスターに対するレイブも実際に起きた事件のようです。どこからがフィクションなのかが非常に気になりましたが、著者あとがきで詳しく記されています。先に読んでは、絶対にダメだと思います。
タイトルにもなっている「河」、ケネベック川が凍りついた時に物語が始まり、川が雪解けした日に物語が終わりを遂げるという構成も良いと思います。
年間ベスト10級だと思います。
☆4.9 -
Posted by ブクログ
【若い読者のためのアメリカ史】
歴史の面白いところの一つとして、今では"普通"の考え方や技術なんかが生まれてきた潮流やその衝撃を感じ取れることがある。近代世界の首領であるアメリカの歴史であればなおさら、熱量を感じ取りやすいところも多い。(だからアメリカのこと書いた本が好き。多分。)
アメリカ史関連では、【アメリカ経済 成長の終焉】を読んだときはテクノロジーと経済成長、さらに前の【アメリカは食べる。】では各国文化が混ざり合う中での食文化の発展、【1493】では"新大陸"発見以後の物流の発展を読んだ。この本では、アメリカが発展するダイナミズムを概観する中での、個人の物語を読めた。いろんな背景を持つ人々が、どんな自由、どんな平等を求めて動いてたのか、なんというかライブ感あった。
#読書 #歴史 #アメリカ -
Posted by ブクログ
トピックはこれまでの美術史では取り上げられていない作品や人物、地域も多く意欲的。特に女性の作品についての扱いに力が注がれており、無知が啓発される。
各章のタイトルは、その章の一部を表していると割り切った方が良い。例えば8章は「プロパガンダとしての芸術」だが、ここに決してプロパガンダとは言えない源氏物語絵巻が取り上げられたりしているからだ。
同時代というだけで、様々な地域が横断して記述されている箇所が多い。わたしが学生時代、世界史を苦手としていた理由もそこにあり、本書を読むのにかなり根気が必要だった。なぜこうなったのかの考察がなく、事実の羅列が続くのだ。
本書の1番の欠点は説明されている作品に関する図版が少ないことだ。特に現代アートの図版がほぼないのはどういうわけか。また解説を読み解くにはサイズが小さく、拡大図が必要と思われるものが多いが、それもほぼない。ちなみに図版数はゴンブリッチの『美術の物語』の半分ぐらい。画像のサイズは電子書籍版では比較的大きく扱われていたから紙の出版の限界でもある。
いろいろ書いてしまったが、以下のメモにあるような作家と作品に出会うきっかけを作ってくれたことは心から感謝したい。
〈メモ〉
ソフォニスバ・アンギッソーラ<カニに手を挟まれて泣く子ども>1554年頃
プラウティッラ・ネッリ<最後の晩餐)1550年代
アルテミジア・ジェンティレスキ<ホロフェルネスの首を斬るユディト)1612~1613年
エリザベッタ・シラーニ <太腿を傷つけるポルキア>1664年
マリー゠ギユミーヌ・ブノワ<マドレーヌの肖像>
1799年
ハリエット・ホズマー <ゼノビア>1859年
エリザベス・フォーブス<ザントフォールトの漁師の娘>1884年ニューリン派
ケーテ・コルヴィッツ(死せる子を抱く母)1903年
エリザベス・キャトレット(わたしは世界に向けて歌う)「黒人女性」シリーズより1946〜1977年