R.A.サルバトーレのレビュー一覧
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『アイスウィンド・サーガ ―暗黒竜の冥宮』 からの続編
前作で、ブルーノーの故郷ミスリルホールを探し出したドリッズト一行。
しかしミスリルホールは邪悪なドワーフ種族デュエルガーとブラックドラゴンの住処となっていた。
からくもミスリルホールから脱出を果たした一行であったが、戦いのなかでブルーノーはブラックドラゴンとともに燃え落ち、ハーフリングのレギスは盗賊ギルドの暗殺者アルテミス・エントレリに連れ去られてしまう。
レギスを助け出すため、バーバリアンのウルフガーとドロウのドリッズトは、ブルーノーを失った悲しみにくれながらエントレリのあとを追いかけるのだった。
ドリッズトとエントレリ、好対照な二人が今回は中心。
ドリッズトは自分がそうであったかもしれない可能性をエントレリの姿に見出す。
それは残酷なドロウの社会から抜け出すことができなかったら、自分も暗殺者として剣を振るっていたかもしれない可能性であり、自分がただの冷酷な殺人者に成り得たことだった。
剣士として互角の技量であること以上に、その似通った性質によって相手を強く意識してしまうドリッズト。
しかし一方のエントレリもドリッズトの姿に苛立ちを覚えていた、それは冷酷さによって自らを高みへ導いてきたエントレリにとって、友情だの愛だのと善を体現するドリッズトがその高みへと昇ってきているという事実によってであった。
今作はそんな二人の戦いが面白く描かれている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあー、こういう形で、おさまるところにおさまるのか。という感じ。
ウルフガーが、死んだ瞬間から、俄然輝きだした気がします……お話の構成的に。でも恋愛まわりは、ちょっと盛り上がりに欠けたかなー。恋に生きる系のキャラがいないので、そっち方向の関係性が展開する要素がないんだよねぇ。
せめてキャッティ・ブリーが、ちゃんと恋をする女の子だったらなぁ。この子の恋は感情のステータスって感じで、ときめきとは違う。作者がそういう書き方をする人なんだというのはわかるのですが……。情の描写は生き生きとしているのに、恋愛の描写は固いんだよなぁ。
とか、そういうのはともかくとして。
お兄ちゃんとお姉ちゃんが出てきてわくわくとか、仇敵再登場とか、見どころはいっぱいあるのですが、ドリッズドが「ふりかかった火の粉をはらう」に終始しているところが、話的にはもりひと味欲しいところ。
ドリッズドが、こいつ殺したいーって思ってくれるような、動機になってくれるような敵って、いないものでしょうか。
ちなみに、D&Dゲーマーの視点からすれば、ゴブリンたっぷりの、後日のキャリオンクローラーわさわさは、すごく楽しかったです。
回復役のいないパーティだなーとか、タウルマリルのデータどうなってるんだとか、急所攻撃されたようにドロウが死んでいくぞーとか、そういう突っ込みができるのも、D&D系小説ならではの楽しみです。
さて。この勢いのまま続きを読むのです。 -
Posted by ブクログ
前作『ダークエルフ物語 ドロウの遺産』で還らぬ人となったバーバリアンのウルフガー。その死をもたらしたのが自分を追ってきたドロウの仕業であると知ったドリッズトはこれ以上愛すべき仲間達を失わないため一人アンダーダークへ旅立つことを決意する。
またそれを知ったキャッティ・ブリーはドリッズトの後を追い、ドワーフのブルーノーはいまだウルフガーを失った衝撃から立ち直れずにいた。
一方でアンダーダークではミスリルホールを狙ってドロウが襲撃の準備を整えつつもあり・・・
ウルフガーの死はそれぞれの心に暗い影を落としていた、ドリッズトは迷いのうちにウルフガーの死が自分のせいだと思いこみ、ただ一人苦難に立ち向かうことを選択する。
キャッティ・ブリーもまた、居なくなったドリッズトを追って単身危険な地へと乗り込もうと決意し、ブルーノーは悲しみを乗り越えることが出来ずかつての威厳をもった存在からは遠いものへとなってしまっていた。
いつもは厄介事を持ち込むハーフリングのレギスだけが例外だろうか、前作あたりから随分とたくましくなった。
仲間達の綻びの見える絆に、そして今まで以上の危機にハラハラさせられながら読み進めることになる今作は剣と魔法の物語らしい戦いの描写よりも登場人物たちの葛藤にページが割かれていてこれまでのストーリーと合わせて胸を打つものになっている。 -
Posted by ブクログ
時系列としては『アイスウィンド・サーガ 冥界の門』の続きに当たる
前作で救出されたレギスは盗賊ギルドのギルドマスターの座を占め、ブルーノーはミスリルホールの奪還を果たして王となり、ウルフガーとキャッティ・ブリーの結婚の宴も間近に控えるなど、エントレリへの妄執も乗り越えたドリッズトにはかつてないほどの平穏な日々が訪れていた。
しかし、ドリッズトの生まれ故郷アンダーダークでは、ドリッズトを巡ってのある陰謀が持ち上がっていた・・・
ドリッズトは残酷なドロウの社会に馴染むことができず、半ば身を守るように地上世界へとやってきたのだったが、ドリッズトの家系である、ドゥアーデン家はドリッズトの裏切りによって没落。
生き残っているのはかつての地位を追われたドリッズトの兄姉二人だけになっていた。
『ダークエルフ物語』の1,2巻目あたりを読んでいるとやはり感慨深くなる作品。
でも、数年で早くも絶版なんですよね~、手に入らないってわけではないのですが。 -
Posted by ブクログ
アイスウィンド・サーガ第二作目
前作で、テンタウンズをそしてアイスウィンドデイルを守る事に成功したドリッズト達は今回、ドワーフであるブルーノーのかつての故郷ミスリルホールを探すための旅に出る。
だが、そこには彼らの後を追う者の姿があった。
暗殺者のアルテミス・エントレリは仲間の一人ハーフリングのレギスが持つ魔力を秘めた宝石を探して、また秘術の塔の魔法使いは前作でアイスウィンドデイルに災厄をもたらす原因となった魔法の水晶を求めて彼らを追う。
行く手にに拡がる過酷な旅と後方からの追跡者、多くの試練を乗り越えて旅の仲間達はミスリルホールを探し出すことができるのか・・・という話。
この作品特徴としての主人公のドリッズトがドロウ(ダークエルフ)であることが挙げられる。
ドロウは地下世界に住む邪悪な種族として知られていて、事実ドリッズトの生まれた街は裏切りと欲望にまみれた世界だった。
彼はそんな世界の在り方に疑問を抱きドロウの神ロルスの怒りを買ってしまう。結局追われるようにそして同時に自らの居場所を求めるために地上世界へとやってくることになるのだが、地下世界の住人にとっては厳しい世界でもあった。
やがて地上世界を旅する中辿り着いた北の大地アイスウィンドデイル。そこでようやく信頼すべき仲間と巡り会うことができたドリッズトであったが、やはり世間の目はドロウには冷たく、今作でも地上世界に本当に自分の居場所があるのか葛藤するドリッズトの姿を見ることができる。
英雄譚であるもののその主人公が常に心に葛藤を抱いているということがこの作品の魅力の一つにもなっていて、とても感情移入できる作品にもなっている。