母袋夏生のレビュー一覧

  • クネレルのサマーキャンプ

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    自分はケレットに対しては手離しに賞賛はしてなくて、そういう人達は感受性が乏しいんではないか?と思っている。その理由は、自分が歪んでいるからであって、日頃
    そこを隠してオホホと世の中をうまく渡っているつもりが、ケレットの深い洞察力によってビシャーと、照射されてしまうからである。それで勝手に疲れて、疲労させられたことを逆恨みしているのである。だったら読まなきゃいいのに、なんだか面白いところもあって、見逃せない。これもまたマゾ行為なのである。こういう作家はたまにいて、心身共に健康な人向けの作家だと思う。

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    2022年02月12日
  • クネレルのサマーキャンプ

    Posted by ブクログ

    表題作が良かった。この表題作だけが中編であとは短編だった。イスラエルという国に住む人の宗教観や死生観が表れていて興味深かった。もう少しユダヤ教やユダヤ人に詳しくなろうとも思った。そして、イスラエル人だと一括りにはしないものとして、作者は死の先に救いがあるような書き方をしていてくれて、読んでいてホッとするような気がした。たとえ自死でも死後の世界に与えられる褒賞は少なくなれど必ずあるというような。そういうあたりが普遍的に、特に日本人の私には心に安心感を与えてくれた。

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    2019年01月30日
  • 走れ、走って逃げろ

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    ネタバレ

    映画「ふたつの名前を持つ少年」を観た時からずっと気になっていたけれど、ようやく読んだ。
    人種や宗教をこんなに幼いうちに考えさせられるというのは過酷だなぁ。
    ユレクは幾度となく追われるけれど、同じくらい助けられもした。そのなかでも家を燃やされながらもかばい続けてくれたレジスタンスの家族を持つ女性の件は何度読んでも胸が痛くなる。彼女の行いは尊いけれど、自分は果たして同じ行動をとれるかと言ったらおそらく無理。

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    2018年02月01日