母袋夏生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレブク友さんの本棚でお見かけして手に取りました。
この本には、ユダヤ人の少年がたったひとりで生き抜く姿が書かれています。
ナチスの迫害から逃れるため、ただひたすら逃げるユダヤ人の少年。
でも、少年が嘆き悲しむ姿はそこにはほとんどない。
そんな余裕なんてないのだから…
泣いている暇があったら逃げろ!
そして生きるんだ!
いや、「生きる」とかいう観念すらないのかもしれない。
常に命の危険にさらされ 将来はもちろん、明日の命もあるかどうかわからない…
ただ、今この瞬間だけは生きている。
それしか感じられない。
壮絶な逃亡生活の中、彼が出会った様々な人々。
温かな心を持ったドイツ兵との、つかの間 -
Posted by ブクログ
2015年8月15日にヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開予定の映画「ふたつの名前を持つ少年」の原作本です。この本は2003年に岩波書店からハードカバーで出版されていましたが、この6月に岩波少年文庫のラインナップに入りました。若い世代により気軽に手にしてもらえると思います。8歳の少年、スルリックはポーランドに住んでいたユダヤ人でした。第二次世界大戦下で強制収容所(ゲットー)に強制移住させられますが、家族と生き別れ、ゲットーを脱出します。森や農村を転々として生き延びていく中で不思議と助け手が現われホロコーストの嵐を生き延びて行きます。戦後70年の節目となる今年の夏。「戦争と平和」は今年は特に
-
Posted by ブクログ
ホロコーストを扱った小説は多く、児童書もかなりの数がある。
だから、どれを読むか、読ませるか(大人が子どもに手渡すか)は悩ましいところだが、これはかなりお薦め。
不謹慎かもしれないが、物語として面白い。
主人公ははじめ8歳で、2年ほどの逃亡生活を描いている。幼いため自分の置かれた状況もわからず、ただ生きるためだけに生きる毎日。そこを作家が勝手にお涙頂戴にしたりせず、子どもらしく受け入れて、時には楽しむこともあったことが、無駄な描写なく書かれている。
ある面で冒険ものですらある。読んで、体験してみたいとは決して思えないが。
面白く読めるものの、ホロコーストも、ユダヤ人もポーランド人もドイツ人もロ