あらすじ
1942年,ポーランド.ユダヤ人強制居住区で家族と生き別れになった少年スルリックは,壁の外に脱出したとき,まだ八歳だった.農村と森を放浪する生活は過酷そのもの.片腕と過去の記憶を失いながらも,少年は知恵と力をつくし,嵐の月日を生きぬく.実話にもとづく勇気と感動の物語.映画「ふたつの名前を持つ少年」原作.
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Posted by ブクログ
ナチス・ドイツの時代を、まさに走って逃げて生き延びた主人公。戦争は人の心に大きな影響を及ぼすと考えた。
大きな戦争が長く続いている今、どれほど多くの人が傷ついているのだろうか?今だからこそ、多くの人に本作を薦める。
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ものすごく読みやすくていっき読み。訳者の解説にもあるが、あまり感情的ではない、淡々とした文章なのがとてもよかった。全くのフィクションと違って、ユレクの出会った人たちの中に悪い面と良い面両方あることが、この世界の救いのように思った。
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参ったよ。
こんなの、なにも知らずになんとなく手にとって読んでしまったのだもの、参るよ。
もしかすると世に知られぬだけで、このような現実が他にも起きていたのかもしれない。
この子はなぜ生き延びたのか。
当然だ、神様はこの子を愛して守ったからだ。
…にしても、ハードだぜ。
ハードすぎるよ神様。
Posted by ブクログ
以前にこの小説をもとに作られた映画「ふたつの名前を持つ少年」を見て、原作を読みたいと思った。私にはよくあることだけど、そのまま読まずに忘れて何年か過ぎ、たまたまこの本を目にして映画のことを思い出したので読んでみた。
エピローグで驚いたんだけど、この話は何人かの体験をつなぎ合わせて作ったフィクションではなく、たったひとりでナチスに支配されたポーランドを生き延びた9歳の少年の実話だったんだ……
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ブク友さんの本棚でお見かけして手に取りました。
この本には、ユダヤ人の少年がたったひとりで生き抜く姿が書かれています。
ナチスの迫害から逃れるため、ただひたすら逃げるユダヤ人の少年。
でも、少年が嘆き悲しむ姿はそこにはほとんどない。
そんな余裕なんてないのだから…
泣いている暇があったら逃げろ!
そして生きるんだ!
いや、「生きる」とかいう観念すらないのかもしれない。
常に命の危険にさらされ 将来はもちろん、明日の命もあるかどうかわからない…
ただ、今この瞬間だけは生きている。
それしか感じられない。
壮絶な逃亡生活の中、彼が出会った様々な人々。
温かな心を持ったドイツ兵との、つかの間のふれあいが忘れられない。
「戦争め」この短い一言が心を抉る。
そして、片目のまわりが黒いぶちの犬、アゾールとの出会いとつらい別れも…。
自分の名前を忘れてしまうほどの恐怖や哀しみは、想像すらできない。
それが淡々と書かれていることに、なお深く胸が締めつけられる。
比べるのもおかしいけれど、
ほんの少し辛くても、悲しくてもすぐ泣いてしまう自分には、
まだ涙を流す余裕があるのだと思い知らされた。
この本を読むことができて、良かった。
心から感謝します。
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ナチスドイツから逃げ延びた戦争孤児がいたことは知っていたけれど、その子ども目線で書かれたものは初めて読んだ。ただ生きるために、必死に知恵と体を使い、ときには人々の親切に助けられ、逃げのびてゆくうちに、本当の名前も、親の顔さえも忘れてしまうのだ。実話だということに、思わずため息が出る。
こういうものを読むたびに思うことだが。私はちゃんと「親切にできる」側の人間でいられるだろうか。真に、正しい行動をとれる人でありたいと、切に願う。
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2015年8月15日にヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開予定の映画「ふたつの名前を持つ少年」の原作本です。この本は2003年に岩波書店からハードカバーで出版されていましたが、この6月に岩波少年文庫のラインナップに入りました。若い世代により気軽に手にしてもらえると思います。8歳の少年、スルリックはポーランドに住んでいたユダヤ人でした。第二次世界大戦下で強制収容所(ゲットー)に強制移住させられますが、家族と生き別れ、ゲットーを脱出します。森や農村を転々として生き延びていく中で不思議と助け手が現われホロコーストの嵐を生き延びて行きます。戦後70年の節目となる今年の夏。「戦争と平和」は今年は特に取り上げられるテーマですが、この本もぜひ手渡してほしいと思います。
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実際にあったホロコーストでの体験談を描いた作品。
片腕を失いつつも希望を持って生きたからこそ、生き延び結婚し家族をもつまでになった。とても過酷な経験で思い出したくない期間もあったと思いますが、貴重な話を聞かせてもらったという気持ちです。
あの時代を生きた少年たちの記録。
こういうことがあったという事実を忘れてはいけないと思うし読み継がれてほしい。
Posted by ブクログ
読んで良かった
ホロコーストについての本を読んでみたいと思っているけれど
ハードからソフトなものまで
どれから読んだらいいか迷っている人にぜひおすすめしたい…
ホロコーストについては、知らなくてはいけない歴史的事実だとわかっていても
受け止めきれる自信がなくて、つい遠ざかってしまっていた
けれど、ここでは感情的な表現は最小限に抑えられていて
とても淡々と進んでいく
しかし、当時のこと、ポーランドでの状況について知ることができる
Posted by ブクログ
走れ、走って逃げろ!まさにタイトルどおり。ユダヤ人スルリックは生きるために走る。森へ、親切な人の家へ、畑へ…そして片腕を無くす。それでも名前を変え、生きる術を覚えてスルリック=ユレクは走る。飢えとシラミ、恐怖、孤独。8歳の少年がよくぞ生き延びたものだと思う。と同時にユダヤ人というだけで世間がこれだけ冷たいのが私には理解出来ないけど。中学生向けだそうだが、大人が読んでも読み応えアリ。読んで良かったと思う。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦のユダヤ人の子供スルリックが経験したとんでもない話です。
こんなことがあっていいのか?いいはずがない。
両親や兄姉たちと生き別れ、酷い目にもあうが親切な人たちに助けられて生き延びます。
戦争の恐ろしさ、愚かさ。
こんな年端もいかない子たちに降りかかったんですね。
たくさんの人に読んでほしい本です。
Posted by ブクログ
ユダヤ人の8歳の男の子ユスフが、ユダヤ人迫害から一人で逃げ、生きていく姿。
ユスフの様子を見ていると、子どもというのは愛を内包して生まれてくるんだなあと思う。
ユスフは父親を目の前で殺され、母や家族とも別れ、一人で逃げ森などで暮らすのだが、常に明るさや好奇心を失うことなく、すべての出来事の中に楽しみ(興味)を見つける。そして接する人々に愛されるのだ。
事故で右腕を失ったりと辛い場面もあるが、基本的には読んでいる間中は、なんていうか”愛”を感じられてのめりこんだ。
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最後の父親との約束「お前は生き残らなくちゃいけない、どうしても」
8才のユダヤ人少年がユダヤ狩りから逃げて逃げまくる壮絶な4年間
少年はポーランド農民、ドイツ兵、ゲシュタボ士官、ソ連兵たちに助けられる
彼は、死ぬことへの恐怖はない 神がいないことは明白だ 純粋な生への渇望だけが圧倒的に存在する
片腕を失い、自分のほんとうの名前も忘れ、終戦になってもなお「ぼくはユダヤ人じゃない」といいきる この言葉が重く胸に刺す つくづく思う、よくぞ、生き延びた
映画「ふたつの名前を持つ少年」 原題:Run Boy Run
Posted by ブクログ
読みたかった本(見たかった映画の原作)
ユダヤ人でゲットーから逃げ出した8歳の少年が
名前を捨ててユダヤ人ってことを隠して農家とかで働きながら生き延びる話
事故で片腕になったり森で暮らしたり暴力にあったりつかまったりする
ハラハラハラハラする
かわいそうで泣ける
ときどきやさしくしてくれるひとたちがいて、いることにほっとする
実際にあったはなしで、その話をきいたユダヤ人の人が本にしたそうです
映画みたいなー
Posted by ブクログ
ホロコーストを扱った小説は多く、児童書もかなりの数がある。
だから、どれを読むか、読ませるか(大人が子どもに手渡すか)は悩ましいところだが、これはかなりお薦め。
不謹慎かもしれないが、物語として面白い。
主人公ははじめ8歳で、2年ほどの逃亡生活を描いている。幼いため自分の置かれた状況もわからず、ただ生きるためだけに生きる毎日。そこを作家が勝手にお涙頂戴にしたりせず、子どもらしく受け入れて、時には楽しむこともあったことが、無駄な描写なく書かれている。
ある面で冒険ものですらある。読んで、体験してみたいとは決して思えないが。
面白く読めるものの、ホロコーストも、ユダヤ人もポーランド人もドイツ人もロシア人も、型にはめず、人間としてきちんと描かれているし、極限状態の中で生き抜くためには子どもでさえ、倫理観や道徳心だけでなく、アイデンティティさえ捨てなければならない凄まじさが伝わる。
映画化されるのも納得だが、全てを端折ることなく映画化するのは不可能な気がするので、やはり読んでから見たい。
性的なことも書かれているので、中学生からが望ましい気がする。勿論、読める子を止める必要はないが。