reraのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ大好きだった曾祖母が遺した指輪を届けるため、イギリスを訪れた桜。そこで出会ったのは、伯爵家の跡取りであるヴィクターでした。
着物が似合う大和撫子のような外見とは裏腹に、桜はかなり行動的で気が強く、売られた喧嘩はきっちり買うタイプ。一方のヴィクターも簡単に他人を寄せつけるような男性ではなく、出会った当初の二人は顔を合わせれば反発してばかり。
しかし、曾祖母が遺した指輪について調べていくうちに、桜の曾祖母とヴィクターの祖父の間にあった、長い年月に埋もれていた過去へ辿り着いていきます。そしてその軌跡を追う二人自身も、いつしか互いを理解し、惹かれ合うようになっていく――時を越えた二つの恋が重なるような物語でした。
とてもロマンチックで、同時に切なさもある作品でした。
桜とヴィクターの恋ももちろん素敵だったのですが、個人的には二人を結びつけるきっかけとなった曾祖母たちの物語がとても印象に残りました。
想い合っていても、時代や国籍など、自分たちの気持ちだけではどうにもならない事情によって一緒になることができなかった二人。それでも相手の幸せを願い、それぞれが別の人生を歩み、その人生の中できちんと自分なりの幸せを見つけているところが良かったです。
本当は二人で一緒になれていたら、もっと違う幸せがあったのかもしれない。そう考えるとやはり切ないのですが、人生の最後に「幸せだった」と思えるのはとても素敵なことだと思いました。
特におじいちゃんの最期には涙が止まりませんでした。
叶わなかったからといって、その恋も、その後に歩んだ人生も決して不幸だったわけではない。そして自分たちには叶えられなかった未来が、何世代も先の桜とヴィクターへ繋がっていく。曾祖母から託された指輪が二人を出会わせたことまで考えると、本当に時を越えて導かれたようで、とてもロマンを感じました。
一方、現代の桜とヴィクターは、そんな切ない過去を背負った物語とは対照的に、なかなか賑やかな二人でした。
桜は見た目こそおしとやかな大和撫子ですが、中身はとても男前。ヴィクターに何か言われれば真正面から言い返し、自分から行動して彼を引っ張っていく強さがあります。
そんな桜に振り回されながら、人間不信になるほどつらい過去を抱えていたヴィクターが少しずつ変わっていく過程も良かったです。桜を好きになるだけではなく、彼女との出会いによってヴィクター自身が過去を乗り越え、精神的にも強くなっていくところに二人が出会った意味を感じました。
そして大人同士なのに、恋愛になると二人とも驚くほど初々しい。
顔を合わせれば言い合っているのに、実は互いに惹かれている。けれど二人とも恋には不器用なので、なかなか関係が進まない。その様子はどこか学生時代の青春のようでもあり、ケンカ友達から少しずつ恋愛へ変わっていく過程をじっくり楽しめました。
想いが通じるまでにはかなり時間がかかりますが、ようやく本心を伝え合ってからの二人は、それまでの焦れったさを取り戻すかのように一気に甘くなるのも良かったです。
ヴィクター側の心情も描かれていたので、桜との出会いによって彼がどのように変わり、どれほど彼女を大切に想うようになったのかが分かったのも嬉しかったです。
ただ、読者には比較的早い段階で曾祖母たちの過去が見えているのに、桜とヴィクター本人たちはまだ真実を知らないため、「早くそこに気づいて!」ともどかしくなるところもありました。
また、桜を長く想っていたある人物については、その気持ちがあまりにも桜に伝わっていなくて少し気の毒でした。本人はかなり分かりやすく大切にしていたはずなのに、桜からは単なる心配性として受け取られているという……桜、恋愛方面にはなかなかの鈍感さです。
ヴィクターの婚約者を名乗っていた女性については、その後どうなったのかが少し気になりました。もっと二人の障害になるのかと思っていたので、そのあたりがもう少し描かれていたら、さらにすっきりしたかなと思います。
それでも、家族が遺した想いと秘密を辿りながら、桜とヴィクター自身も成長し、恋を知っていく物語はとても読み応えがありました。
過去の二人には叶えられなかった「好きな人と一緒に生きる」という未来を、その曾孫たちが叶えていく。
曾祖母が遺した指輪から始まった縁が、国も世代も越えて新しい恋へ繋がっていく展開が美しく、ほっこりする甘さだけでなく切なさにも満ちた作品でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ
長年付き合った恋人から突然の別れを告げられ、仕事までも失った里英。人生のどん底に突き落とされた彼女の前に現れたのは、冷静沈着で隙のないエリート・黒木だった。再就職や生活の立て直しを支えられる中で、少しずつ心を取り戻していく里英。しかし元恋人との過去や複雑な人間関係、仕事を巡る思惑に翻弄されながら、彼女は自分自身の幸せと向き合っていくことになる。
最初は失恋から始まる物語だったので、ここまで長く深く感情を揺さぶられる作品になるとは思いませんでした。里英が傷つきながらも前を向こうとする姿に何度も胸が締め付けられ、そのたびに黒木の存在に救われました。
黒木は登場当初こそ何を考えているかわからない胡散臭さや掴みどころのなさがありましたが、読み進めるほどに彼の不器用な優しさや深い愛情が見えてきます。特に黒木視点で描かれる感情は印象的で、里英を守りたい気持ちと、自分でも制御しきれないほど強くなっていく愛情が伝わってきました。運転練習の場面や式場探し、何気ない日常の積み重ねが丁寧に描かれているからこそ、二人の距離が縮まっていく過程に自然と引き込まれます。
また、黒木だけでなく桐谷の存在もとても印象的でした。彼は間違いなく里英を傷つけた側の人間ですが、単純な悪役として描かれていないところが本作の魅力だと思います。後悔や未練を抱えながらも、最後には里英の幸せを願う姿に胸を打たれました。結婚式で黒木と交わした会話は切なくも清々しく、同じ女性を本気で愛した男同士だからこその重みがありました。
一方で円香や専務の存在には何度も怒りを覚えました。特に里英が一人で抱え込んでいた苦しみを知っている読者としては、真実が明らかになっていく場面で感情が追いつかないほどでした。それでも最後にはすべてが繋がり、それぞれの選択に決着がついていく流れが見事でした。
そしてラストシーン。花嫁姿の里英が黒木のもとへ歩いてくる場面は本当に美しく、ここまで二人が歩んできた道のりを思い出して胸がいっぱいになりました。特に、かつて黒木を睨みつけていた瞳が、今では幸せそうに光を宿して彼を見上げる描写が大好きです。苦しみも涙も乗り越えた先にある幸せだからこそ、あの一文の輝きが何倍にも増して感じられました。
失恋、再生、成長、そして愛。どれも丁寧に描かれた作品で、読み終えたあとには大きな満足感と温かさが残りました。長編だからこそ味わえる感情の積み重ねを存分に楽しませていただきました。
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購入済み
おもしろい
軽くはないです。
軽めのシーンもあれば、ずっしりするシーンもあるし、世界観が絶妙で深いです。
それぞれの人物像も魅力的すぎますね。
ハラハラしたり切なくなったり、のほほんとした雰囲気も堪能できます。
どのシーンも味わい深く、スケールが大きい。
まだまだいろんなスピンオフを本気で楽しみたいです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ会社の飲み会で酔い潰れ、目覚めたら“誰かと一夜を共にしたらしい”という事実だけが残っていた梢。けれど肝心の相手の記憶はゼロ。しかも、忘れられない元彼で同僚の拓海がなぜか妙に距離を詰めてきて――。記憶を取り戻そうとする梢と、独占欲を隠そうともしない拓海。甘くもどかしい再会ラブ。
記憶喪失(部分的)という設定から始まるので軽いコメディかと思いきや、実は元サヤ×拗らせ愛。梢が「ちゃんと新しい恋をしなきゃ」と前を向こうとする一方で、拓海の“俺以外に行くな”と言わんばかりの独占欲がじわじわ効いてきます。
特に良かったのは、拓海の「ちゃんとした恋は俺とするんだ」という台詞。軽く見えて、実はずっと梢を想っていた執着が滲んでいてキュンとしました。記憶がない梢と、全部知っている拓海という構図もドキドキ要素。思い出していく過程で、過去の恋心が再燃していく流れが自然でした。
ただ、もう少し“あの夜”の真相や拓海の葛藤を深掘りしてくれても良かったかな、という気持ちも少し。展開はテンポ良く読みやすく、甘さもきちんとありますが、重め執着好きの私としてはもう一押し欲しかったかも。でも、元カレが本気で取り戻しにくる系が好きな方には楽しめる一冊だと思います。
気まずい関係から再び恋に戻っていく距離感が心地よい、甘めの再会ラブでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ猫が大好きな玲香は、ある出会いをきっかけに“猫好き仲間”の男性と親しくなる。
その相手が、実は取引先の社長・佐々木大智だったことから、仕事とプライベートが少しずつ重なり合い、やがて恋へと発展していく物語。
物語序盤は、正直かなり胸が痛くなりました。
元恋人の裏切り、理不尽な配置転換、積み上げてきた努力を横取りされるような職場環境…。
玲香がどれだけ真面目に頑張ってきたかが伝わる分、踏んだり蹴ったりな状況が切なくて、読んでいて悔しくなります。
そんな中で救いになったのが、猫を通して出会った佐々木社長の存在でした。
彼は玲香を“かわいそうだから”ではなく、
仕事への姿勢も人柄も、そして猫を大切にするところも、きちんと見たうえで惹かれていくのがとても好印象です。
大人で男らしく、積極的だけど押し付けがましくない溺愛ぶりは安心感があり、読んでいて素直に応援できました。
猫好き同士ならではの距離の縮まり方や、猫たちが自然に二人を繋いでいく展開も微笑ましく、
「猫がご縁を運んでくる恋」というテーマが最後まで一貫していて、とても温かい気持ちになります。
猫に甘々な二人が、お互いにも甘々なのがたまりません。
また、元カレや意地悪な同僚たちがきちんと報いを受ける展開は、かなりスッキリしました。
派手な復讐ではなく、“正しい評価がなされる”形なのも好みです。
地道に努力してきた玲香が、理解者と居場所と幸せを手に入れるラストは、心から「よかったね」と思えました。
猫好きさんにはもちろん、
・理不尽な環境からの逆転
・大人の余裕がある溺愛ヒーロー
・安心して読めるハッピーエンド
が好きな方にもおすすめの一冊です。
読後はほっこり、心が温かくなりました。