馬場紀寿のレビュー一覧

  • 完訳 ブッダチャリタ

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    今作『ブッダチャリタ』は1~2世紀頃にインドで活躍した仏教詩人アシュヴァゴーサ(馬鳴)による仏伝です。漢訳では曇無讖によって『仏所行讃』として翻訳されています。

    現在語られるブッダの生涯の大元となったアシュヴァゴーシャの『ブッダチャリタ』。物語としても非常に面白い作品でした。

    漢訳の『仏所行讃』は私達日本仏教においても大きな影響を持っていたことでしょう。浄土真宗の開祖親鸞もこの作品を読んでブッダに思いを馳せていたのでしょうか。ロマンがありますね。

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    2024年08月23日
  • 仏教の正統と異端 パーリ・コスモポリスの成立

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    この本はものすごく面白いです!インド、スリランカの仏教を国際政治、内政の視点から見ていくというのはありそうであまりなかったのではないでしょうか。

    私も今年スリランカに行く予定でしたのでこれはものすごくありがたい本でした。とにかく盛りだくさんで刺激的な内容だらけです。読み始めは少し込み入った話や仏教初学者の方にとっては厳しい内容もありますが、途中からはスリランカの歴史パートに入り一気に読みやすくなります。

    これはぜひぜひおすすめしたい一冊です。いや~面白い本でした!ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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    2024年08月23日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    この本を読んで私が一番印象に残っているのは中村元先生の説が最新の研究においては否定されているという点でした。

    もちろん、中村元先生の説く仏教が全て誤っていたというわけでは当然ないのですが、最新の研究によるならば、かつてよりも随分と違った仏教が私達の前に開かれているということになるでしょう。中村元先生の説といえども無批判に受け取ることはできないということにハッとする思いになりました。と同時に学問はこうして進んでいくのだとしみじみする気持ちにもなりました。

    他にも、この本では最新の研究をふまえて、当時のインド社会とブッダの関係を見ていくことができます。後半ではブッダの思想そのものも解説されます

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    2024年08月23日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    【ブッダって比喩の天才】

    初期仏教の考え方が、とても簡潔に新書でまとまっています。

    まず、インド人ブッダの考えは、情緒的な日本人から見ると、物凄い構成力を感じました。西洋から見ると同じ東洋でも、全然違います。

    また、当時の他の宗教の、「アートマン」やら「業物質」などその存在が分からない仮定を取り除き合理的に考えたのがブッダだと思いました。

    「私は美しい女性を愛している」と言いながらその女性について容姿も知らない男のようだ、というブッダの発言には納得できます。


    最後に、「心の平静」を得るために、役に立たないことはバッサリ切り捨てです。

    「毒矢を射られた時、どんな容姿の誰が何の目的で

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    2020年08月10日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    仏教が出来た古代インドの背景から始まって、ブッダの教えを記録した仏典などを参照しながら、初期仏教のエッセンスをまとめている.聞きなれない言葉が頻出して読み直しながら把握してきたが、要点はp208に出てきた.曰く、四聖諦(ししょうたい)とは、「四つの、高貴な者たちにとっての真実」である.「五つの執着要素は苦である」(五取薀苦)ことが「苦という、高貴な者たちにとっての真実」(苦聖諦)であり、「再度の生存へみちびく渇望」が「苦の原因という、高貴な者たちにとっての真実」(苦集聖諦)である.「再度の生存へみちびく渇望の停止」が「苦の停止という、高貴な者たちにとっての真実」(苦k滅聖諦)であり、「八聖道」

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    2020年07月24日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    大乗仏教が成立する以前の仏教と大乗仏教独自の言説を見分けることは、素人には難しい。本書は仏教の教えが書写されるようになったことを契機に大乗的な思想が形成されていったことを指摘しつつ、それ以前の仏教のあり方を、バラモン教やジャイナ教などとも比較しつつ描き出していく。解脱とは何かについて、仏典に即して丁寧に説明されているところがありがたい。

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    2019年07月17日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    近年の研究を踏まえた初期仏教についての解説

    古代インドやスリランカの文献学の研究が進んでいるということ非常に驚く。
    それまでの前提が変わることになるが、前の前提のまま大きなものを構築していった人達には読み辛いかもしれない。

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    2024年06月25日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    紀元前500年ぐらいに現れたゴータマ・ブッダが悟り、そして教えを説いた。それが後年仏教と呼ばれたものの初めである。大乗仏教とも違う最初期の仏教を「初期仏教」と呼ぶ。原始仏教という呼び名もあるが、著者は初期仏教を採っている。仏教を歴史的文脈で読み解くことを目指し、資料と歴史に基づいた解釈を行っているという。分かりやすい説明で、ブッダが教えを説いた背景や状況などが説明されている。部派に分かれた仏教教団であるが、そのなかで共通したものを取り出しそれが教えの神髄である。布施、戒、四聖諦、縁起、五蘊、六処などは、初期仏教の時代には成立していたようだ。「聞く耳あるものたちへ、不死への門は開かれた。」

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    2020年03月20日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    ルソーみたいな「起源経」の話はおもしろいな。



    うしろの方で、お釈迦さんの基本的な教えについてもいろいろ誤解していたことに気づく。

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    2021年01月05日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    最新の学説を素人にも分かる平易な文章で読ませてくれる。
    バラモン教とジャイナ教を並置してくれたことで、仏教における自己について、これまでで最もすんなり納得することができた。素晴らしい本に出会えて良かった。

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    2019年04月23日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    専門的な箇所もあるため、リーダブルではなかったが、最新の仏教研究が反映されていて、中村元の本などで仏教知識を得ていた読者にはアップデートされてとても興味深かった。
    本書の意義はここにある。P.75「韻文仏典がもともと結集仏典とは別のものであったという事実は、両者の区別をせずに初期仏教を論じる研究方法に問題を提起することになる。成立時期も編纂者も異なるそうした仏典を十分な吟味を経ないまま用いるなら、果たして存在したのかどうか曖昧な初期仏教像を作り上げてしまうことになりねない。そこで、本書では、そのような危険を避けるために、韻文仏典は取り上げず、結集仏典の原形に焦点を当てることにする。」

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    2019年04月13日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    今まで「四聖諦」「縁起」「五蘊」「六処」などを、かなり詳しく個別に学んできたが、今ひとつ理解が深まらなかった。ところがこの本に接し、初期仏教を網羅的・体系的に捉えることができ、ある意味「目から鱗が取れる」ように理解が進んだ。決して容易な内容ではないが、中級者にとっては「教え」を再認識・再確認するための適書であると思う。

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    2018年10月02日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    仏教というか宗教全般にこれまで触れてこなかった。おばあちゃんが毎日お仏壇に手を合わせてる姿は見ていたし、自分も折に触れて死んだおじいちゃんに定期報告をすることはあった。しかし、仏を信奉する対象として考えたことは一度もない。

    本書を読むきっかけは、むしろ東洋思想が流行っているからというものだった。

    本書から学んだことというと、正直なところ、①仏教というのは意外にも、社会変化を仕掛ける攻撃的なルーツを持っているんだなぁということ、②仏教が目指すのは無欲の状態、しかもあらゆる事柄に対して求める気持ちがなくなる状態である、ぐらいだった。

    というのも、分かりやすく説明してくれているのだとは思うが、

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    2019年05月11日
  • 初期仏教 ブッダの思想をたどる

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    「老師と少年」が面白かったので、もう少し仏教について勉強ししようと思って読んでみました。

    仏教は紀元前5世紀頃から広がり始めたそうで、その教義は口頭で伝承された。
    紀元前後になると教義を書き写した経典が出始め、様々な流派が生まれた。

    この、始まりから経典出現の手前までが初期仏教と定義している。

    混じりけのないブッダの思想を知るには初期仏教が良さそうだと思ったわけです。

    しかしブッダの死後、その教えをまとめた経典は「三蔵」と呼ばれているが長い歴史の中でその原点の大半は失われている。
    (やっぱりなーという印象)

    これまで、仏教の考えの中に「徳目を積む」てのがあるけど、それと煩悩を捨てて悟

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    2018年11月17日