柳原和子のレビュー一覧
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がんと言えばこの本と言うくらい代表的な本らしい。
著者自身もがんを患い、がんを乗り越えて寛解した人たちを取材している。
抗がん剤治療を否定しているのかと思えば、標準治療で寛解している人も登場するのでそういうわけでもない。
「こうするのが正しい」という押し付けが一切ないから読みやすい。
登場人物も、様々な年齢、性別、社会的地位の方が登場して、がんとの向き合い方も千差万別。
個人的には後書きの部分が1番響いた。
病にかかること、病で亡くなることを失敗、不幸と決めつける社会の価値観に疑問を呈している。
私達は病や死と常に隣り合わせで生きているのだから、病も死も常にセットで生活していると言える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半部分は、著者とがんの専門家(主に医師)との対話形式で進む。
著者からは、現代医療への憎しみが感じられる。
とりわけ、抗がん剤については、かなりの拒否反応を示しているようで、玄米菜食や免疫療法などの代替医療を主に信頼している様子。
後半部分は、著者の母が卵巣がんで亡くなったこと、そして、著者自身が、母と同じ歳に同じ卵巣がんに罹ったことの体験談が書かれていた。
著者の現代医療への不信は、全てこの体験に基づいていると理解した。
昔のこととは言え、医者や看護師の患者に対する態度は、こんなにも横柄だったのかと驚く。
治療方法は、この時代と今はそんなに変わらないかもしれないが、医療を取り巻く環境 -
Posted by ブクログ
がん患者学の最終章。
著書が告知から1年間手術と抗がん剤治療を受け、その後2年間山にこもって仙人の様な生活をした後の話。
告知から5年経っており現段階で再発はない。
現代医療は、命をかけた壮大な博打であるという言葉は胸に響いた。
がん治療に限らず当てはまることだと思う。
著者の「末期においては、もはやクオリティオブライフを追求するのではなく、クオリティオブデスを追求すべき」という考えには納得。
ダライ・ラマの「病気で死ぬのではなく完成したから死ぬ」という言葉は今後も覚えておきたい。
例え些細なことであってもその人はやろうとしたことを成し遂げ完成させた。だから誇りをもって去ることができる