あらすじ
肺が胸水に漬かったための背中の鈍痛、深い咳き込み、さらに腹水による膨満感で衰弱の果てに運び込まれた大学病院への緊急入院。赤ん坊の頭大の卵管がん原発巣と、左右の子宮、卵巣、腹膜への播種状の転移が発見され、47歳でがん患者となった著者。検査、手術、抗がん剤治療……。延べ8ヵ月の長い入院暮らしで無数の患者たちの語りを聞き続け、死を敗北として扱う医療現場で彼らが深く傷ついていることを知る。「がん患者としていかにして生きていけばいいのか?」その答えを求め、医療の予測に反して長期生存をとげた18人のがん患者たちを訪ね、克明な体験談を聞いた記録。
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Posted by ブクログ
がんと言えばこの本と言うくらい代表的な本らしい。
著者自身もがんを患い、がんを乗り越えて寛解した人たちを取材している。
抗がん剤治療を否定しているのかと思えば、標準治療で寛解している人も登場するのでそういうわけでもない。
「こうするのが正しい」という押し付けが一切ないから読みやすい。
登場人物も、様々な年齢、性別、社会的地位の方が登場して、がんとの向き合い方も千差万別。
個人的には後書きの部分が1番響いた。
病にかかること、病で亡くなることを失敗、不幸と決めつける社会の価値観に疑問を呈している。
私達は病や死と常に隣り合わせで生きているのだから、病も死も常にセットで生活していると言える。
闘病生活は大変だけど、必要以上に恐れることはない。
病も癌も、生も死も私たちの一部なのだからと締め括られている。