臼杵陽のレビュー一覧
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ネタバレもし大学時代にこの本を読んでいて、「イスラエルとパレスチナの対立の経緯と現状について書きなさい」なんて課題が出されたら、多分この本をまる写ししてたと思う(笑)それぐらい、イスラエル誕生からこの本が上梓された2009年までのイスラエル情勢を、きれいに纏めていると思います。
もう少し、ユダヤ教がイスラエルに与えている影響について深く触れられていても好いかなとも思ったけど、200ページちょいの新書でそこまで取り上げろというのは酷でしょう。
むしろ、テーマを物凄く狭く絞り、その中でしっかり掘り下げて一つの書籍を組み立てられる、岩波新書に感謝すべきかも。やはり、この手の本になると岩波は強いと感じます -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
イスラエルはいま、「ユダヤ国家」という理念と多文化化・多民族化する現実とのはざまで切り裂かれ、国家像をめぐって分裂状態にある。
なぜそうした苦悩を抱え込んだのか。
シオニズムの論理、建国に至る力学、アラブ諸国との戦争、新しい移民の波、宗教勢力の伸張、和平の試みと破綻など、現代史の諸局面をたどり、イスラエルの光と影を描く。
[ 目次 ]
第1章 統合と分裂のイスラエル社会
第2章 シオニズムの遺産
第3章 ユダヤ国家の誕生
第4章 建国の光と影
第5章 占領と変容
第6章 和平への道
第7章 テロと和平のはざまで
終章 イスラエルはどこに向かうのか
[ POP ]
[ おす -
Posted by ブクログ
イスラエルという国は我々にあまり馴染みがないが、IT系のスタートアップ企業が多く輩出されている。私も仕事で使うサーバ機器などのディスク装置の設計者がイスラエル人の方であったり、家にはソーダストリームがあったりする。そう、ソーダストリームはイスラエル企業だ。中東情勢ではイスラエルは常に周辺のアラブ諸国と争いが絶えず、今もガザ地区へ侵攻中にある。これらニュースを見ていると、単に強国イスラエルが弱者であるガザ地区を一方的に攻撃する悪者のようにも見えてくる。歴史上、ナチスによるユダヤ人の虐殺の記憶が新しいが、それ以前にも定まった土地を持たず世界に離散するイメージのユダヤ人。そしてイギリスの二枚舌外交な
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Posted by ブクログ
イスラム教、ユダヤ教、キリスト教における「原理主義」にまつわる問題を論じている本です。
本書が「原理主義」を考察する視角は、かなり独特のものです。前半では、「原理主義」ということばについての研究史を概観しながら、その問題点を明らかにしています。「イスラム原理主義」というレッテルが孕んでいる問題を指摘しながら、単にこれをしりぞけるのではなく、「原理主義」ということばを手繰っていくことで現代の国際社会における宗教にまつわる問題を引っ張り出してくるという戦略的な意図のもとで議論が展開されています。
後半では、ユダヤ教原理主義やシオニズムを支援するキリスト教原理主義などがとりあげられ、より政治的な -
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Posted by ブクログ
原理主義とは、テロリストの事かと思っていた。しかし、基本的には思想の原理を信じる事の意味であり、様々な思想がどの様な内容を根底として抱えているかを知れば、テロリストたちも基本的には思想家であって、思想を掲げた活動家である事が解るだろう。キリスト教の原理主義者たちは暴力とは無縁であるし、暴力に訴えて社会に主張する者たちは、原理の意味を曲解して、不服を溜め込んでいるだけだとしか、思われない。原理とは、思想の一番根底にあるもの、と捉えているが、それは、解釈の問題でもあって、如何様にも捉える事が出来るもの、と思った方が良い。宗教は人間の悩みを救う事を目指すのであって、武力で征服して全てを奪いとる事など