丸山圭三郎のレビュー一覧

  • ソシュールを読む
    すごい。
    バルトやボードリヤールの著作を事前に触れていた身として、ソシュールの主張する事柄のほとんどが二十世紀哲学、思想、文化、芸術等々へ浸透している実態に衝撃を受けた。
    言葉の実質性や概念の絶対性に信頼を置くロゴス中心主義のヨーロッパで、ソシュールが唱えた言葉の根本的曖昧性、体系のうちに差異をもと...続きを読む
  • 言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの
    ソシュール研究の権威という認識ですが、狂気と天才の差異を言語的な観点から解き明かすアプローチはスリリングで、自分の中の言語に対する理解の幅が広がった気がする。

    言語が一義的な意味との蝶番でがちがちに結ばれているという一般的な感覚から、そんなものは歴史・社会実践の惰性化であり、言葉の多義性、曖昧さと...続きを読む
  • ソシュールを読む
    最後の2章で提示される〈身分け構造〉、〈言分け構造〉の世界観は、私自身薄らと感じてはいるものの言語化できない文化的なモノのズレ感を言語化しているように感じて感動した。
    ただの言語学ではなく、生き生きとした丸山言語哲学の語りは読んでいてとてもワクワクする。
  • 言葉と無意識
    読み終えてみると、なるほど納得のタイトルと内容。ベースにある部分の話から、文化にまで話が派生する。思想を具体的に昇華するといえばいいのだろうか。ソシュールをベースにロラン・バルトが主にテキストや映像で展開したことの文化や生活観といった日常的な枠に反映させたものといえばいいかもしれない。芸術が、やや特...続きを読む
  • 言葉と無意識
    言語学と心理学を繋いだ中間領域における既存研究の概説書のようなものだと思って買ったが、実際は思想書であった。予想外ではあったが、思想書だけあって掘り下げは深いし著者の熱量は感じられるしで大変面白かった。晩年の書ということで、著者の思想の総括的内容といえるのかもしれない。ソシュールの言語学を礎に言葉と...続きを読む
  • 言葉と無意識
    ソシュール研究の第一人者である氏の言語論の入門書。ソシュールの言語論の発生論やそれと東洋哲学との接点などを平易かつコンパクトに説明しています。
  • 言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの
    もう四半世紀も前だが、モグリで著者の講義に出席したことがあり、ちょうどその頃の講義で『ドラクエ』やら『イカ天』やらをモチーフに本書に書かれている内容を話していたのを思い出した。温和な語り口はさることながら、大教室での学部生への講義で内容も平易だったので、彼の著作を理解するには打って付けだったが、逝去...続きを読む
  • 言葉と無意識
    [ 内容 ]
    現代思想の問いは、言葉の問題に収斂する。
    世界を分節し、文化を形成する「言葉」は無意識の深みで、どのように流動しているのか?
    光の輝きと闇の豊饒が混交する無限の領域を探照する知的冒険の書。

    [ 目次 ]
    1 情念という名の言葉?ロゴスとパトス(ロゴスと言葉;属性と考えられたパトス;ロ...続きを読む
  • 言葉と無意識
    言語学の地平を開いたソシュールを読み解き、言語文化をめぐって独自の思索を展開した丸山圭三郎晩年の刺激的な一冊。「言葉・狂気・エロス―無意識の深みにうごめくもの」同様、翻訳という一種の言葉の格闘をしていて、ふっと我に返るとき、自分の無意識の領野に広がることばの宇宙を見つめ直すためにひもとく本です。新書...続きを読む
  • 言葉と無意識
    丸山圭三郎。大学2年?時のゼミ参考文献。ソシュール、言語学、記号学に関する書籍は無尽蔵に出ていますので、まずは入門書と合わせてまずはこれを読んでおくと安心。日本人でここまで掘り下げている人は少ないらしい(教授曰く)。間違いなく薦められる良書。丸山圭三郎という単語を知っていること自体が一目置かれるはず...続きを読む
  • 言葉と無意識
    「言葉はどうやって習得されるのか」この本を読んで、改めて考えさせられた。
    概念説明などはやや専門的でわかりにくいところもあるが、筆者が遭遇した電車内での子どものエピソードは実に微笑ましい。「ママ、デンシャって人間?お人形?」

    こんな素朴な質問が言葉の概念の真髄を言い得ているのではないだろうか。「人...続きを読む
  • 言葉と無意識
    『ソシュールの思想』など日本のソシュール研究のたぶん第一人者である丸山圭三郎が「言葉」と「無意識」について切り込んだもの。1987年の著作なので、ずいぶんと古いが、非常に魅力的なテーマのように思えたので読む。

    だが、やや期待外れ。たとえばソシュールのアナグラムを高く評価するが、共感できない。ラカン...続きを読む
  • 言葉と無意識
    第一章が難しかったけれど第二章からついていけました。なんとか。総じて、この本は言語学者で構造主義の父と呼ばれるソシュールを中心にした言語論です。それもチョムスキーなどが扱う表層の言語論ではなくて、言葉の生まれる深淵までをも覗きみるタイプの言語学のやり方です。無意識の言語化っていう話が本書の結論部分に...続きを読む
  • 言葉と無意識
    ソシュールの一般言語学講義ではなく、アナグラム研究を素材として、ロゴスとパトスの問題から治療論にまで至る野心的試みで、新書には収まりきらない密度。各界からの引用も豊富で十分な刺激を与えられる。岸田秀の「コンプレックス」に関するこういう見解は今まで知らなかったが、これは早速頂きである。
  • 言葉と無意識
    ロゴスとは、名づけるることによって異なるものを一つのカテゴリーにとりあつめ世界を有意味化する根源的な存在喚起力として捉えられていた。ギリシャ語のパトスは、ふつう<情念>と訳されるが、これは同時に、一見全くことなった概念と思われそうな<受けること、被ること>ひいとは<受苦>や<受難>という意味を持って...続きを読む
  • 言葉と無意識
    はっきり言っていろいろ難しすぎて何を書いていいのかわからない。
    一部は、凡人からすると著者は妄想に捕らわれているんじゃないかと思うくらいだった。

    ロゴス(理性)とパトス(情念)の二分として、現実を捉えてきた哲学(?)の歴史とかそのへんは勉強になった。
    とにかく、自分の意見がうまく言えない。著者は何...続きを読む
  • 言葉と無意識
    スイスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュール。彼の人生とその業績を追いながら、「言葉・言語」のメカニズムを探る良書。「記号表現(シニフィアン)」「記号内容(シニフィエ)」「ランガージュ」「ラング」「パロール」「恣意的」「差異」、様々な言語学にまつわる用語が出てきますが、この本を読めば、「言葉」につ...続きを読む
  • 言葉と無意識
    初めてものすごく頑張って読んだ本。
    理解するのが難しい。
    丸山圭三郎の出す例は不思議。
    でもおもしろい。でもよくわからなくなってくる。
  • 言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの
    「ナンセンスとは言葉による言葉の破壊であり、一義的記号としての言葉を多義化する充溢現象と、言葉を音のイメージの戯れに変えてしまう空語化という一見両極端の操作によって、言葉にグロテスクでエロティックな肉体性を回復させる運動」なのだと丸山はいう。それを見たいし、それをやりたい。
  • ソシュールを読む
    10回の講義をまとめた内容。8回まではソシュールのテキスト(?)に基づいた逐語的な解説。9,10回で著者の主張。言葉によって、人間がマイナスになったという指摘が面白い。ホモ・デメンス。索引付き。