丸山圭三郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
<コード化された差異>としての表層言語と<コードなき差異>としての深層言語の間の往還運動こそが、ニヒリズムと狂気に囚われること無く、生活する世界を豊かに見出しながら生きていくために肝要である。というのが本書の主張を大雑把にまとめたものである。そうした主張を、言語学に精神分析学・現象学の知見を持ち込むことで展開している。
個人的に収穫だったのが、ラカンのpoint de capiton――<クッションの綴じ目>ないし<マットのつまみ>――についての記述であった。メルロ=ポンティがソシュール的な差異の体系のなかに本質的な絆を持ち込もうと画策し、いわばソシュール言語学のヴァージョンアップを図る瞬間な -
Posted by ブクログ
眼に見えないモノこそ大切だ。眼に見えるものしか信望しないとすれば、表層にしか、批判する視野の狭い人になてしまうだろう。
言葉の裏にあるものが言葉なのだとすれば、見えないモノを見るというのは、ただ、そういう見えないモノを、意識するという事になるのだろうか。
確かに、認識という行為においては、言葉主義なのかもしれない。でも、言葉が総ての世界構築になっている訳でもない。なぜなら、人間が、認識出来る世界というのは、宿命的に、極小の世界であり、極小の世界が総てではないからだ。遥か宇宙の果てというのは、人間の認識の上では永遠に捉える事のできない真実だ。
それに認識という行為の汎用性も、またまた疑問に残