三森ゆりかのレビュー一覧
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この本は、『論理的な表現を身につけるための日本語レッスン』であるべきなのではないか、と思う。
もし、そうだったら、本書に対して素直に納得できたし、星も5つ、躊躇することなくつけただろう。
もちろん、本書で紹介されている言語技法は、どれも大事だ。
身につけておいて、損をすることはないものだろう。
だが、外国語を学んでいる立場からすると、違和感を感じる部分がある。
私が最も違和感を感じるのは、外国語は論理的なコミュニケーションを重んじると一元化した議論が繰り返される点だ。
例えば、質問を具体的にせよ、という内容。
くどいようだが、もちろん、その技術を身につけることの大切さは、よく分かる。
それ -
Posted by ブクログ
日本の教育には、言語技術(language arts)が足りない、という、ぼんやり感じていたことを明らかに書いてくれた本。
内容は至極納得。外国語を身につけるため、だけでなく、仕事を円滑に進めるために必要なコミュニケーション技術と思いました。日本人でも、仕事ができる人はできている。と思う。
私の周りに、言語技術スキルの高い人がいて、なぜ自分ができてるか理由を教えてくれた。ハードな登山が趣味なため、緊急時に即座に必要なコミュニケーションが取れないと命に関わる、というシーンがあって鍛えられているから、だそうだ。とすると、緊急病棟の先生も同じなんだろうな。
自己理解のツールである、MBTIの先生 -
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ネタバレ題名「外国語を身につけるための日本語レッスン」から、なぜ日本語の学習が外国語に必要なのかの疑問が出てくる。
その疑問から本書は始まる。
その答えは、「英語を話すときにまず日本語で文を組み立て、それを英訳しさえすれば話が通じるものと思ってしまいがちです。ところが、それではなかなか通用しない(P7)」からだ。
なぜ英訳しただけでは、通じないのか。欧米の言語や英語は、文法や文の構造が異なる。ものの考え方も異なる。その違いが文の組み立て方にも影響している。日本語の文の組み立て方は、欧米の言語と違うのだ。
では、日本語のどんな学習が必要なのか。本書ではそれを「言語技術」だと言っている。言語技術は、 -
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英会話を習った事がある人は講師から”Why?"とよく聞かれて返答に困ったことがある経験があると思う。自分もその一人であるが、講師がよく理由を尋ねるのは英会話のレッスンの一環だと思っていたが、この本を読んで外国語習得という以前にコミュニケーション文化や言語技術に対する認識の違いにあるようだ。
本書の著者はドイツでの留学経験をもち、つくば言語技術研究所を運営する三森ゆりか氏。三森氏は中高生時代にドイツの学校での経験から、日本の国語教育に言語技術(コミュニケーション・スキル)が不足していることが外国語の習得の障害になっていることを指摘している。本書は6つの言語技術(説明、描写、明確化、 -
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母語以上の能力を外国語で発揮することはできない。
気づいてはいたものの、痛いところをつかれた。
ある程度のレベルまでは外国語が日本語を引っ張っていってくれることもあるが、
そこからさらにレベルをあげるためには、その外国語にまつわる文化と歴史を理解するとともに、母語のレベルもあげなくてはいけない。
ただ、この本に書かれていることは、日本語のレベルを挙げるためのテクニックではなくて、
より外国語を通してのコミュニケーションを円滑にする為のスキル。
日本語を鍛えるというのとは少し違う。
とはいえ、いまの世の中で学ぶにせよビジネスシーンにせよ、曖昧さを潰してコミュニケーションを円滑にするスキルは -
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日本語の言語の構造と様々な外国語の構造を比較しつつ語学学習について語る的な本かな?と思って読んだら方向性が違った。
外国語の文法や単語や発音を学んだとしても、言語技術、つまり思考と表現の方法論も学ばなければその言語を使う人々と対等に意見を交わすことは難しい。自分の意見を適切に主張できるようになるために、まずは母国語である日本語で言語技術を身に付けるべき、というような本。
筆者の主張には概ね賛成だけど、タイトルと本書の内容は少しズレている気がする。どちらかというと「(外国語を身につける前にやっておくべき日本語での)言語技術レッスン」ぽいイメージ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
第1章 言語技術=グローバルスタンダードな母語教育
第2章 対話~質問を発しながら対話を展開する
第3章 説明~わかりやすく情報を組み立てる
第4章 記述の型式・パラグラフ~報告・連絡・相談の基本の型を身につける
第5章 絵の分析~「見る」から「観る・観察する」へ
第6章 テクストの分析~文字情報から証拠を集める
第7章 漫画の分析~高度な分析力で人生が変わる
終章 対話に戻る~さらに多彩な活用方法へ
<内容>
日本人は説明が下手。職場において職員の説明も心もとないことが多く、これでは生徒に伝わっていないのではないか?しかもその自覚に欠けている…と感じている。この