望月市恵のレビュー一覧

  • 魔の山 下

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    1999年に観た2本の映画「マトリックス」と「ファイトクラブ」が、四半世紀たったいまもfavouriteだ。この2本の映画は、ひたすらに画面が暗い。暗い画面の中に、ひとりの憂鬱な男。クソみたいな人生。しかし、男はやがて気付く。こんな世界は偽物だと。ザックの声と、ブラック・フランシスの声が、目を覚ませと、魂はどこにあるのかと、呼びかける。こんなにも気持ちを昂らせてくれる映画はそれまで観たことが無かった

    私がトーマス・マンの「魔の山」を読んだのは、その3年後くらい、2002年の頃だった。「魔の山」のラストシーンで、私は同じような、いやそれ以上の気持ちの昂りを感じた

    「魔の山」のラストシーンでは

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    2025年11月16日
  • 魔の山 上

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    この小説は私にとって非常に大切な作品です。私の「十大小説」を選ぶとすれば『魔の山』は確実にその中に入ることでしょう。それほどこの作品は力強く、強烈なインパクトがあります。とにかくスケールの大きな作品です!

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    2024年08月22日
  • 魔の山 上

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    100分で名著で現在説明されている。昔読んだような気がするが定かではない。結核患者の従兄に会いに病院に行ったところ自分も具合が悪くなり、そこに逗留するようになったところまでが上巻である。5章で病院の人々と自分がかかわっていくことが説明され、ここが上巻の半分ぐらいを占める。

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    2024年05月27日
  • 魔の山 下

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    長期滞在が続くハンス・カストルプは、ショーシャ夫人との出来事のあとも、様々な出会いと別れを重ねていく。

    まぁ、本を手に取った時点でわかっている話(700ページ近い厚さ)ではあるが、下巻もとにかく長い(汗)。ストーリーそのものだけにしぼればもっと短くできそうなものだが、音楽(レコード)やオカルト(こっくりさん的な降霊術)などにハマる長々とした描写も含め、ダラダラと論争や語りが続くところに意味のある小説なんだと思う。

    上巻以上に重要な出会いと別れが続き、単調であるはずのサナトリウム生活には話題が尽きない。多様な登場人物との触れ合いがこの小説の魅力だ。病いと死に隣り合わせのため、面白おかしいとい

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    2023年08月07日
  • 魔の山 上

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    1924年刊。スイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとなった、青年ハンス・カストルプの精神の軌跡。

    20世紀三大小説家のひとり、との声もあるトーマス・マンの代表作。年配の某文学系YouTuberの方が、『魔の山』はトーマス・マンの中では亜流で『ブッデンブローク家』こそ正統派だ、とおっしゃっていて、なるほどそうなのか~と思いつつも、やはり有名なので先にこちらを選んだ。何よりも、「今読みたい」と直感が働き、これがドンピシャだった。

    というのは、本作で主人公の青年ハンスが、過去に想いを寄せていたプリビスラウとの関係を引き合いに出しながら、ロシアの婦人への恋心をひそやかにしつつ、あまりにも控

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    2023年07月11日
  • 魔の山 下

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    この上下の大長編を読み終えて無言で本を閉じることはありえるだろうか。否、ありえない。私たちはニヒリズムという平行線から逃れ、ベルクホーフという山あいで生み出した綜合的な思想の萌芽を見逃さずにはいられない。退廃主義、退嬰的、ニヒリズム、ペシミズム、デカダンス、などありとあらゆる悲観主義を表す言葉は物語上では一定の水準に収まった一個人の叫びにすらならない悲壮の体現者の特徴にしかならず、どのような感受性も生まれない。それに対してトーマスマンはセテムブリーニの啓蒙主義とナフタの原初主義かつ神秘主義の思想がぶつかり合わせる弁償的論理でハンス・カストルプに新たな見地を植えつけた。その後ペーペルコルンの身に

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    2020年02月11日
  • 魔の山 上

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    「ノルウェイの森」でキーとなる物語。サナトリウムに入院している従兄ヨアヒムを、学校出たてのハンス・カストルプが尋ねて、そこで7週間のつもりが7年も過ごすことになる。大学工学部を出たばかりの世間知らずなところがなんともリアル。セテムブリーニが御託を並べるところがウザイが、経済的な後ろ盾が無く困窮している彼と、従兄弟達の恵まれた生活とが第1の対比をなす。下巻に第2の対比がある。たっぷり頁を使ったショーシャ夫人との恋愛沙汰がどうなるのか。閉じた空間に医者、患者ら多彩な登場人物がいて、読んでも読んでも飽きない。

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    2015年09月06日
  • 魔の山 下

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    上巻からは想像できないくらいの死。ナフタが登場してセテムブリーニとの宗教論争、政治論争、平和論争が延々と続き、終盤のペーペルコルンの登場で突然円周率の計算についてのご託がはじまって、ひょっとしたらハンス・カストルプの将来の姿かと思わせる。初読のときラストが衝撃だった。物語としては「ブッデンブローク家の人々」の方が面白いかもしれないが、サナトリウムで展開される人間模様が切れ目のない、否もしかしたらあらゆる所に切れ目があるような構造を持っているので、漱石の「我輩は猫である」のような読み方が可能かもしれない。

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    2015年09月06日
  • 魔の山 下

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    本当に世界最高傑作とよんでいい大作。

    ヨーアヒム•チームセン、ペーペルコルン氏、圧倒的な一人一人のキャラクター。

    そのような一人一人と過ごす時間がずっと続いて欲しいと思うが、これまた圧倒的なフィナーレを迎えてしまう。

    大学生諸君に読んでいただきたい。

    そうして、十年ぐらいしたら、再読してみて欲しい。

    素晴らしい感動が待っているよ。

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    2012年12月28日
  • 魔の山 下

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    サナトリウムという特殊な閉鎖された状況下で主人公が様々な経験を通じて肉体的・精神的に成長する様を描いた教養小説。
    哲学的な内容から宗教、民主主義、失恋などテーマが盛り沢山で読み始めは難解なものかもしれません。難しいとお感じになられた方は「時」の流れに注目しながら読み進めることをお薦めします。何と言おうと物語の舞台が世俗と切り離された空間なのですから。
    一度読むだけでは理解しきれないほど奥が深い作品です。幾度と読む度に新たな発見があることもこの小説の魅力と言えましょう。
    内容が難解で文量が多いため敬遠される方もいらっしゃいましょうが、声を大にして読んでほしいと言える傑作です。

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    2012年03月11日
  • 魔の山 上

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    大学時代に購入して、何度も何度も挫折しながら読み進めた本。スイス高原にあるサナトリュウムでの奇妙な療養生活を描く。時間感覚や死の神聖化など哲学的な内容を多く含む。一生かけて付き合って行きたいと思う本。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    マンの超大作の下巻。中心的な登場人物はハンス・カストルプ、セテムブリーニ、レオ・ナフタ、ペーペルコルン氏。ハンス、ヨーアヒム、セテムブリーニ、マダム・ショーシャのあいだで保たれていた均衡が破れる。マダム・ショーシャの転院もさることながら、最大の原因はレオ・ナフタという反近代的――反セテムブリーニ的――な知性の登場である。ハンスは、セテムブリーニの人格には好意を抱き続けるがナフタの懐疑的で破壊的な知性に取り込まれかかる。しかし、そこでさらに登場するのが反知性的な権力者としてのペーペルコルン氏である。ハンスは、ペーペルコルン氏の登場によって知性への憧れを曇らされる。このような展開のなかでハンスの立

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    マンの超大作の前半部分。中心的な登場人物は、ハンス・カストルプ、ヨーアヒム・チームセン、セテムブリーニとマダム・ショーシャ。
    ヨアヒムの付き添いで結核療養所に入院したハンスの「成長」の物語。結核療養所という特異な空間において、セテムブリーニとショーシャとの関係がハンスに複雑な「成長」を遂げさせる。セテムブリーニはハンスを理性的に成長させる。だが同時に、ショーシャとの神秘的な関係を通じて、ハンスは理性的には解決できない自己のありかたに直面する。
    ハンスとマダム・ショーシャの神秘的な関係に心底魅了された。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    カラマーゾフ読んでたら、無性に魔の山を詠み返したくなったのでのっけてみた。でも再読してないので、詳しいことがさっぱり言えない(笑)
    カラマーゾフ2巻読んでたら、コレは結局のところ人間群像が織り成すユーモア小説かいな?って感じがしてきて、ユーモア小説だったら、なんつっても魔の山だろー!!と思ったんで。カラはまだシリアスに話が展開するんだろうか?ってのが読めなくって、どうもその中に差し挟まれるキャラのお茶目ぶりの処理がよく分かってないんですけど、魔の山は全編渡って皮肉な笑いに満ち満ちてる。
    隔絶されたサナトリウムに集う特権的なイっちゃった人たちが、ひたすらなんの特にもならない世間になんの寄与もしな

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    下巻ではハンスはすっかり魔の山に毒されている。
    ペーペルコルン氏はあまり好きじゃない。むしろ、ペーペルコルン氏の「人物の大きさ」に惹かれ、でもセテムブリーニ氏を「愛すべき」というハンスが好印象。
    終盤、サナトリウムがヒステリーに満ち、同時に平地でも戦争が始まる部分の雰囲気が、時代の空気を表しているようだと思う。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    時々、こういう長い長い小説を読みたくなる。
    主人公ハンスが山上のサナトリウムに到着し、そこでの慣習を笑い、自分はそうならないと言いつつ少しずつ慣れ、染まっていく上巻。
    ハンスがショーシャ夫人のことをつい気になって見つめてしまう描写を、「不潔な関係」と表現する辺りが好き。不潔なプラトニックさってあるよね。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 上

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    生とは、死とは、愛とは、理性とは。思考の実験採択と病の誘惑に溺れ、魔の山の虜になったハンス・カストルプ。感心するほど“単純さ”を貫き通す彼の姿を、ユーモアとアイロニーをたっぷりこめた目線で描いたこの作品、素材の小難しさを超える文章の面白さが楽しめる。全二巻。

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    2021年09月22日
  • 魔の山 上

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    ハンス・カストロプみたいな境遇にあった当時過剰に感情移入して夢中で読んだ。隠遁に近い生活の中で彼は何を見、何を知ったか。全てが非人間的なまでに高速処理される社会において一見何の役に立ちそうも無いこういった経験を、多角的に見つめなおす事ができる稀有な書。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    療養生活を終えたハンスが向かったのは、戦場だった。
    あらゆる混沌を抱えたまま銃を片手に戦地をつきすすむ彼の後姿は、爆煙の彼方に消える。人的資産の浪費として、第一次世界大戦を痛烈に批判。

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    2009年10月04日
  • 魔の山 下

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    ナフタ登場で上巻より愉快度は下がるが、それでもトランプで駄目人間状態(?)のカストルプ青年などミドコロは多い。

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    2009年10月04日