望月市恵のレビュー一覧

  • 魔の山 下
    長期滞在が続くハンス・カストルプは、ショーシャ夫人との出来事のあとも、様々な出会いと別れを重ねていく。

    まぁ、本を手に取った時点でわかっている話(700ページ近い厚さ)ではあるが、下巻もとにかく長い(汗)。ストーリーそのものだけにしぼればもっと短くできそうなものだが、音楽(レコード)やオカルト(こ...続きを読む
  • 魔の山 上
    1924年刊。スイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとなった、青年ハンス・カストルプの精神の軌跡。

    20世紀三大小説家のひとり、との声もあるトーマス・マンの代表作。年配の某文学系YouTuberの方が、『魔の山』はトーマス・マンの中では亜流で『ブッデンブローク家』こそ正統派だ、とおっしゃって...続きを読む
  • 魔の山 下
    この上下の大長編を読み終えて無言で本を閉じることはありえるだろうか。否、ありえない。私たちはニヒリズムという平行線から逃れ、ベルクホーフという山あいで生み出した綜合的な思想の萌芽を見逃さずにはいられない。退廃主義、退嬰的、ニヒリズム、ペシミズム、デカダンス、などありとあらゆる悲観主義を表す言葉は物語...続きを読む
  • 魔の山 下
    上巻からは想像できないくらいの死。ナフタが登場してセテムブリーニとの宗教論争、政治論争、平和論争が延々と続き、終盤のペーペルコルンの登場で突然円周率の計算についてのご託がはじまって、ひょっとしたらハンス・カストルプの将来の姿かと思わせる。初読のときラストが衝撃だった。物語としては「ブッデンブローク家...続きを読む
  • 魔の山 上
    「ノルウェイの森」でキーとなる物語。サナトリウムに入院している従兄ヨアヒムを、学校出たてのハンス・カストルプが尋ねて、そこで7週間のつもりが7年も過ごすことになる。大学工学部を出たばかりの世間知らずなところがなんともリアル。セテムブリーニが御託を並べるところがウザイが、経済的な後ろ盾が無く困窮してい...続きを読む
  • 魔の山 下
    本当に世界最高傑作とよんでいい大作。

    ヨーアヒム•チームセン、ペーペルコルン氏、圧倒的な一人一人のキャラクター。

    そのような一人一人と過ごす時間がずっと続いて欲しいと思うが、これまた圧倒的なフィナーレを迎えてしまう。

    大学生諸君に読んでいただきたい。

    そうして、十年ぐらいしたら、再読してみて...続きを読む
  • 魔の山 下
    サナトリウムという特殊な閉鎖された状況下で主人公が様々な経験を通じて肉体的・精神的に成長する様を描いた教養小説。
    哲学的な内容から宗教、民主主義、失恋などテーマが盛り沢山で読み始めは難解なものかもしれません。難しいとお感じになられた方は「時」の流れに注目しながら読み進めることをお薦めします。何と言お...続きを読む
  • 魔の山 上
    大学時代に購入して、何度も何度も挫折しながら読み進めた本。スイス高原にあるサナトリュウムでの奇妙な療養生活を描く。時間感覚や死の神聖化など哲学的な内容を多く含む。一生かけて付き合って行きたいと思う本。
  • 魔の山 下
    マンの超大作の下巻。中心的な登場人物はハンス・カストルプ、セテムブリーニ、レオ・ナフタ、ペーペルコルン氏。ハンス、ヨーアヒム、セテムブリーニ、マダム・ショーシャのあいだで保たれていた均衡が破れる。マダム・ショーシャの転院もさることながら、最大の原因はレオ・ナフタという反近代的――反セテムブリーニ的―...続きを読む
  • 魔の山 上
    マンの超大作の前半部分。中心的な登場人物は、ハンス・カストルプ、ヨーアヒム・チームセン、セテムブリーニとマダム・ショーシャ。
    ヨアヒムの付き添いで結核療養所に入院したハンスの「成長」の物語。結核療養所という特異な空間において、セテムブリーニとショーシャとの関係がハンスに複雑な「成長」を遂げさせる。セ...続きを読む
  • 魔の山 上
    カラマーゾフ読んでたら、無性に魔の山を詠み返したくなったのでのっけてみた。でも再読してないので、詳しいことがさっぱり言えない(笑)
    カラマーゾフ2巻読んでたら、コレは結局のところ人間群像が織り成すユーモア小説かいな?って感じがしてきて、ユーモア小説だったら、なんつっても魔の山だろー!!と思ったんで。...続きを読む
  • 魔の山 下
    下巻ではハンスはすっかり魔の山に毒されている。
    ペーペルコルン氏はあまり好きじゃない。むしろ、ペーペルコルン氏の「人物の大きさ」に惹かれ、でもセテムブリーニ氏を「愛すべき」というハンスが好印象。
    終盤、サナトリウムがヒステリーに満ち、同時に平地でも戦争が始まる部分の雰囲気が、時代の空気を表しているよ...続きを読む
  • 魔の山 上
    時々、こういう長い長い小説を読みたくなる。
    主人公ハンスが山上のサナトリウムに到着し、そこでの慣習を笑い、自分はそうならないと言いつつ少しずつ慣れ、染まっていく上巻。
    ハンスがショーシャ夫人のことをつい気になって見つめてしまう描写を、「不潔な関係」と表現する辺りが好き。不潔なプラトニックさってあるよ...続きを読む
  • 魔の山 上
    生とは、死とは、愛とは、理性とは。思考の実験採択と病の誘惑に溺れ、魔の山の虜になったハンス・カストルプ。感心するほど“単純さ”を貫き通す彼の姿を、ユーモアとアイロニーをたっぷりこめた目線で描いたこの作品、素材の小難しさを超える文章の面白さが楽しめる。全二巻。
  • 魔の山 上
    ハンス・カストロプみたいな境遇にあった当時過剰に感情移入して夢中で読んだ。隠遁に近い生活の中で彼は何を見、何を知ったか。全てが非人間的なまでに高速処理される社会において一見何の役に立ちそうも無いこういった経験を、多角的に見つめなおす事ができる稀有な書。
  • 魔の山 下
    療養生活を終えたハンスが向かったのは、戦場だった。
    あらゆる混沌を抱えたまま銃を片手に戦地をつきすすむ彼の後姿は、爆煙の彼方に消える。人的資産の浪費として、第一次世界大戦を痛烈に批判。
  • 魔の山 上
    有名な古典なので敷居が高いと思われがちだが、純粋にエンターテインメント小説として楽しめる。そこそこ長いが、肩肘はらずに読んでほしい。
  • 魔の山 下
    ナフタ登場で上巻より愉快度は下がるが、それでもトランプで駄目人間状態(?)のカストルプ青年などミドコロは多い。
  • 魔の山 下
    結局完全に理解できないまま読破してしまいました。けれども読み終わってから、心がゾワゾワするような感じがします。いつか再読したい作品です。
  • 魔の山 上
    とにかく長い。退屈。特に何も起きないまま上巻が終わる。ちょこちょこ動きはあるのだけれど。サナトリウムでの様々な人々との交流を通した青年の成長物語、とでもいうのかしら。病気、死、宗教、戦争、いろんなテーマを登場人物を通してひたすら討論していく場面が続く。しんどい。下巻、盛り上がりを見せてきたところで終...続きを読む