梶谷真司のレビュー一覧
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ネタバレ目的をもって問う
「問うことは目的と結びついている時、より意義あるものとなり、その力を発揮する」
「人はなぜ生きるのか?」
私は今まで問いかけることしかしてなかった。
「なんのための問いなのか?」
この視点は初めて得た。
「つらくても新しいことを知るのは、現実とより深く複雑な関わりをもつことであり、それは平面的で単純な関わりよりも、絶対的に豊かである。」
「先進国の人間は、開発途上国で自分たちが消費しているものがどのように作られているのか、誰がどんなふうに働いているのか、想像もしないだろう。子育てをしているパートナーがどんな一日を送っているか、どんなことに喜び、どんなことで苦しんでいるのか、分かっているつもりで分かっていないだろう。」
通説〜広く知られていれば正しいか?
なぜ誹謗中傷が起きるのか?
「人を否定し攻撃をすることで、自分は正しく優れた人間だと思い込むことができる」
理解したいと思う気持ちから出てくる疑問は大切にしたほうがいい。
「『普通は……』と言いたくなったら、逆に常識や"普通"のほうを疑ってみるといい。」
受益者利益
意味を問う
「○○は何を意味するか?」
「○○の意味は何か?」
「○○とはどういう意味か?」
「○○とはどういうことか?」
「どういうふうに○○なのか?」
「どういう意味で○○なのか?」
理由を問う
原因「なぜ失敗したのか?」
目的「なんのために勉強をするのか?」
動機「なぜその本を買ったのか?」
根拠「なぜそれをいいと思うのか?」
「状況を問う」
「5W1Hで私がとくに重要だと思うのは、「誰」を問うものである。」
「関係」を問う
「○○と△△はどのように関係しているか?」(関係)
「○○と△△はどちらが〜か?」(比較)
「○○と△△はどのように違うのか?」「○○と△△の相違点は何か?」(相違)
「○○と△△はどういう点で似ている/共通しているのか?」「○○と△△の類似点/共通点は何か?」(類似・共通)
「どこまでが○○で、どこからが△△なのか?」(区別)
「○○であると、△△ということになるのか?」(因果/条件・結果)
具体的に考える
「「尊重」「持続可能」「有識者」「抜本的」「効果的」「未来志向」など、いずれも具体的に何を指しているのか分からない。」
反例を問う
「そうでない場合はないか?」
「他の可能性はないか?」
「人間は幸福を求めると言うが、そうでない場合はないか?」
「努力は報われると言うが、それが当てはまらないケースはないか?」
「英語を学ぶには英語圏に行くのが一般的だが、別の可能性はないか?」
「今年の夏休みは海に行こうと思うが、他にいい過ごし方はないか?」
あなたはどう思うのか?
「意見をもつとは、物事に対する自分の関わり方を決めるということである。それは責任のある思考をするということである。」
「あの人感じ悪くない?」→「だから何なのか?」
「こういうことは断じて許してはいけない!」→「それでどうするのか?」
「一人一人の意識を変えていかないといけない」→「それでどうするのか?」
「世の中には同じような境遇の人がどこにどれくらいいるのか?」
「実際に仲間ができてもできなくても、自分を他にいる同様の存在の一人だと思えば、得られるもの、与えられるものもできて、より大きなものに支えられ、自分も誰かを支えられるようになるのだろう。」
「あんなことするなんて非常識だ」
大した理由はないかもしれない。けれども問題は、なぜそれに腹を立てたかである。
方法を問う
「仲良くしましょう」「相手を尊重しましょう」「違いを受け入れましょう」「対等に扱いましょう」「親切にしましょう」「主体的に学びましょう」とよく言われるが、どうすればそのようなことができるのだろうか。それ以前に、そもそもそれはどうすること、どのような状態になることを意識しているのだろうか。
比較する
犬を金魚や猫と比較「ペットとしての比較」
キツネ、タヌキ、オオカミと比較「イヌ科動物としての比較」
子どもや恋人と比較「家族としての比較」
大きい問いから小さい問いへ
「幸せとは何か?」→「幸せとは満たされていることだ」というような漠然とした答えしか出てこない。→幸せについての小さな問いとは、たとえば、「一日のうちで幸せだと感じるのはいつか?」である。
「今まで幸せだと思ったのはどんな時か?」
問うべきではないこと
「問いには、それを支え導く目的があり、そのためによい問い方、効果的な問い方がある。目的が手段を正答かするので、目的がいったん正しいものとされれば、その後で問うこと自体を批判するのは難しい。」
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Posted by ブクログ
哲学対話を主宰するにあたって、これは読んでおかねばな、と思って読みはじめた。
著者の言葉の扱い方に「誠実さ」のようなものを感じ…、それだけで感動した。
特に現在の教育システムへの批判的な話は深く頷きながら読んだ。
哲学対話の基本的なルールや効用については、オンライン哲学対話を何回か体験していたので、既に知っている話が多かった。
哲学対話を主宰するにあたり、最後の章はとても参考になり、この読書体験を活かして、よい哲学対話が出来たらいいなと思うが、初めから成功させようなんて思い上がりだ、とも思うし、そう書いてあったような気もするし、身を引き締めよう。 -
Posted by ブクログ
シュタイナーの『自由の哲学』から思考という概念がキーになるような気がしていて,マルクス・ガブリエルの『考えるという感覚/思考の意味』に手を伸ばしているので,同系列の内容を期待していたが,哲学対話(いわゆる哲学カフェ)の話で予想と全然違った。
それでも考えることと自由について,自由と責任など哲学対話の異議から学ぶところは大きい。
問う・考える・語る・聞くの関係は,哲学という営みにとって本質的なものだろう。特に語ると聞くは,専門的な哲学研究では落としがちだが,コミュニケーション論として有益。
おわりにで語られる著者のドライかつプラグマティックな姿勢には好意を覚える。以下引用。
「私は学校教育を否定してはいない。「考えること」を教えてない,もしくは「考えないこと」を教えていると言っているだけだ。そもそも学校というのは,考えることを教える場所ではないので,私の言っていることは学校の否定にはなっていない。たんなる事実確認である。」,「学校とは,いい学校であろうとなかろうと,そういうところなのだ。」
「実際には,何を言ってもいい,何を考えてもいい自由がないのは,残念ながら日本だけではない。それは,多かれ少なかれ,おそらく世界中の国に当てはまる。どの国にも,こういう人がいい,こういう人が優れている,という規範があり,そこから外れるように思われる発言はできない。望むか否かにかかわらず,許容されていることを話すように強いられ,仕向けられる。」
「私自身は,日本の社会を大きく変えたいとは思っていないし,変えられるとも思っていない。どんな時代であれ,社会を一から立て直そうと夢見るのはバカげている。たとえ少しであっても,何かを変えられるのなら,できることをすればいい。何もしないであきらめるのは,たんなる怠慢である。あるいは,自分たちの問題を日本の問題,日本人の問題に広げ,全体が変わらなければ意味がないかのような議論をして,それができないから何もせずに,ただ批判したり嘆いてみせたりするのは,たんなる無責任である。哲学は夢を追いかけるユートピア思想ではないし,社会全体を変えようとする革命思想でもない。それは「考える」ということを通して,誰もが自分の生きる現実をほんの少しでも変え,自由と責任を取り戻して生きるための小さな挑戦である。そこで必要なのは,高邁な理想よりも徹底的なリアリズムなのだ。」 -
Posted by ブクログ
哲学対話と聞くと、難しそうなイメージだが、誰でも(子どもどころか、赤ちゃんでも!)参加でき、設定のしかたを間違えなければ、例えばクラスの苛めをなくすことに繋がるなど、予期せぬ効果をもたらしたりするらしい。
本書は哲学対話を企画したりファシリテーターを務めたりする人向けだと思うが、そのルールは、哲学対話以外の意見交換や部下とのコミュニケーションを深めたいときにも参考になると思う。
○哲学対話のルール
①何を言ってもいい。
②人の言うことに対して否定的な態度をとらない。
③発言せず、ただ聞いているだけでもいい。
④お互いに問いかけるようにする。
⑤知識ではなく、自分の経験にそくして話す。
⑥話がまとまらなくたもいい。
⑦意見が変わってもいい。
⑧分からなくなってもいい。
ちなみに、哲学対話が向いているのは、
•特に結論を出さずに、いろんな意見や情報を共有したい時
•とりあえず問題やテーマに関心を持ってほしい時
•相互理解を深め、人間関係の土台を作りたい時
•いろんな人(年齢、性別、職業、立場等が違う人たち)と話す時
とのこと。んー、やはり、哲学的なことは時間に余裕がある人しかできないかも!? -
Posted by ブクログ
確かに、物事を深く考えるには問いを立てることが一番の近道だと感じるし、答えを出すよりことも問いを考えることが重要だという話もある。
日常で問いを立てないことはないので、本書を読んで一から学ぶ必要があると感じた。
この本では、「問うための方法」などが、具体例により理解出来る。
哲学的で億劫になりがちだが、例に対して共感が多く読み続けやすい。
例えば、「問うことが攻撃的だと感じる」とか、「問うのが歓迎されない」など、問うことを躊躇ってしまうことってあるあるですよね。それが当たり前であるみたいな。
そのような勝手な思い込みで、大事な問いのチャンスを逃してしまっているなら、無くすべき考え方ですね。
何のために問うのか、しっかりと目的を定めて行動に移すことが大切になってきますね。 -
Posted by ブクログ
良い本と思います。
哲学対話について、その意義と普段の生活で得られない効用を示しています。また、実際のファシリテーションについて具体的な提案もあるため、やってみたい人の役にも立つ内容と思いました。
目の前の人と対話する能力は簡単に見えて意外とできないと理解しています。属性で決めつけたり、わかった気になったり、自分の得意なことに籠ってしまったり。
相手の話を聞いて、相手にわかりやすく話す、それだけのことがいかに難しいかは意外と無視されている事実なのかなと思います。答えが結果的に得られるかも大事な目的かもしれませんが、自分の思った通りにならない展開も、自分の自由な発言をすることも、なかなか得難い体験になるのではと両面からの価値を感じました。同じ場を過ごすことの大切さについても同様に共感するものです。