梶谷真司のレビュー一覧
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ネタバレ目的をもって問う
「問うことは目的と結びついている時、より意義あるものとなり、その力を発揮する」
「人はなぜ生きるのか?」
私は今まで問いかけることしかしてなかった。
「なんのための問いなのか?」
この視点は初めて得た。
「つらくても新しいことを知るのは、現実とより深く複雑な関わりをもつことであり、それは平面的で単純な関わりよりも、絶対的に豊かである。」
「先進国の人間は、開発途上国で自分たちが消費しているものがどのように作られているのか、誰がどんなふうに働いているのか、想像もしないだろう。子育てをしているパートナーがどんな一日を送っているか、どんなことに喜び、どんなことで苦しんでいるのか -
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哲学対話を主宰するにあたって、これは読んでおかねばな、と思って読みはじめた。
著者の言葉の扱い方に「誠実さ」のようなものを感じ…、それだけで感動した。
特に現在の教育システムへの批判的な話は深く頷きながら読んだ。
哲学対話の基本的なルールや効用については、オンライン哲学対話を何回か体験していたので、既に知っている話が多かった。
哲学対話を主宰するにあたり、最後の章はとても参考になり、この読書体験を活かして、よい哲学対話が出来たらいいなと思うが、初めから成功させようなんて思い上がりだ、とも思うし、そう書いてあったような気もするし、身を引き締めよう。 -
Posted by ブクログ
世の中には「自分で考えろ」という主張が多いが、じゃあどうやって?という続きがない場合が多い。
本書は哲学対話という切り口から「考える」とはどういうことかを本質的に、わかりやすく記した本。
自由と責任という観点は、自己責任を求めすぎることなく、自由と思考をうまく結び付けてくれる。「自由と責任を一緒に取り戻す」「自分自身の人生を生きる」という言葉はとても共感できるし、納得できる。
また、他者との関わりがあるからこそ、個人の自由が可能になるというとらえ方は、他者と生きていくうえでの希望を与えてくれる。
考えることがなぜ有用なのか、危機感で迫るでもなく、ビジネススキル的に捉えるでもなく、自分で人生 -
Posted by ブクログ
シュタイナーの『自由の哲学』から思考という概念がキーになるような気がしていて,マルクス・ガブリエルの『考えるという感覚/思考の意味』に手を伸ばしているので,同系列の内容を期待していたが,哲学対話(いわゆる哲学カフェ)の話で予想と全然違った。
それでも考えることと自由について,自由と責任など哲学対話の異議から学ぶところは大きい。
問う・考える・語る・聞くの関係は,哲学という営みにとって本質的なものだろう。特に語ると聞くは,専門的な哲学研究では落としがちだが,コミュニケーション論として有益。
おわりにで語られる著者のドライかつプラグマティックな姿勢には好意を覚える。以下引用。
「私は学校教育 -
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哲学対話と聞くと、難しそうなイメージだが、誰でも(子どもどころか、赤ちゃんでも!)参加でき、設定のしかたを間違えなければ、例えばクラスの苛めをなくすことに繋がるなど、予期せぬ効果をもたらしたりするらしい。
本書は哲学対話を企画したりファシリテーターを務めたりする人向けだと思うが、そのルールは、哲学対話以外の意見交換や部下とのコミュニケーションを深めたいときにも参考になると思う。
○哲学対話のルール
①何を言ってもいい。
②人の言うことに対して否定的な態度をとらない。
③発言せず、ただ聞いているだけでもいい。
④お互いに問いかけるようにする。
⑤知識ではなく、自分の経験にそくして話す。
⑥話 -
Posted by ブクログ
良い本と思います。
哲学対話について、その意義と普段の生活で得られない効用を示しています。また、実際のファシリテーションについて具体的な提案もあるため、やってみたい人の役にも立つ内容と思いました。
目の前の人と対話する能力は簡単に見えて意外とできないと理解しています。属性で決めつけたり、わかった気になったり、自分の得意なことに籠ってしまったり。
相手の話を聞いて、相手にわかりやすく話す、それだけのことがいかに難しいかは意外と無視されている事実なのかなと思います。答えが結果的に得られるかも大事な目的かもしれませんが、自分の思った通りにならない展開も、自分の自由な発言をすることも、なかなか得難い