最所篤子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間は、自身を取り巻く自然を発見しつつその中に生きるのでなく、自ら創造したものの中で生きる。それが自らの生を空虚にすることもあれば、耐えがたい痛みに耐えられる力を与えもする。世界は、都市は、イスタンブルは、そんな人間の在り方が折り重なってできている。そんなことを哲学的かつ詩的に物語っている。
p195「僕らはイスタンブルに暮らす当たり前の住人たちと同じだった。昨日を理想化し、明日について空想した。今日は存在しないふりをしようとした。過去の物語をする一方で未来の物語をし、現在を、過去と未来の間に架かる橋だと思っていた。その橋が崩壊し、その下の無の空間に墜落することが怖かった。僕らは絶え間なく同じ -
Posted by ブクログ
これ今年のNo.1候補なのにつけてなかった。
19世紀後半、オックスフォード大辞典編纂という史実をテーマに、実在の学者たちの間にそのひとりの娘という架空の主人公を据えた。女性が学究の徒になることなどあり得なかった時代に、言葉を愛しその蒐集に情熱を燃やすエズメが体験する差別や弾圧は、今の時代を生きる私たちも規模は違えど覚えのあるもので胸に重い。
家族がわりの黒人使用人が自尊心を育んでいくエピソード、そしてたった一度愛し愛される人と出会えたこと…不幸の割合のほうが多かったように見えるエズメの人生だけど、これぞ天職と思うものに身を捧げられたことは、人の大きな幸せでもあるのだ。
そうそう見つからないけ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ印象的だったのは 姉と妹の関係性。
そしてまわりのひとびと。
モーディには私がいなくては。
わたしが彼女でもそう思ったと思います。
彼女の面倒を見なければと思う反面、
なぜわたしが、もしモーディがいなかったら私は、でもモーディが自分から離れていくのは嫌だ。
そんな を救ってくれたのはロッタ。
最初こそあなたは私の妹のなに?と反抗的な気持ちを抱くものの、ロッタは妹はこれくらい1人でできると教えてくれた。
だからこそ彼女は受験に前向きになれのでは?
も彼女の大切な友人。
暮らしは違えど親身にしてくれて、お姉さんのような友人だなと思いました。
そしてバスティアン。
彼女を精神的に支え応援し続けて -
Posted by ブクログ
著者のバックグラウンドを知らないと、なかなか理解が進まないはずだ。
クルド系トルコ人のソンメズ氏は、1980年の軍事クーデターの混乱のなかイスタンブルで法律を学び、人権弁護士として活動していたが、その活動中に警察に襲撃されて瀕死の重傷を負い、その後英国へ亡命。現在はトルコと英国を行き来しながら作家活動をしているが、イスタンブルの街への痛切な思いが、この小説に込められていると言う。
イスタンブルの地下牢獄の一室に、学生のデミルタイ、温厚なドクター、気難しい床屋のカモが閉じ込められていた。苛烈な拷問を待つあいだ、彼らは互いに物語をして時を過ごす。そこに激しい拷問を受けたばかりの老人キュヘイラン -
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