月刊『創』編集部のレビュー一覧

  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

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     2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、障害者19人が殺害され、27人が負傷するという事件が発生した。犯人の植松聖が同園の元職員であったことや優生思想的な発言から、マスコミは一時騒然となった。
     あれから二年が経過した現時点での事件の風化もさることながら、当時からこの事件に対してはだれもが腫れ物に触るような、あまり話題にしたくないという雰囲気が濃厚であった。一般人は一様に口を閉ざし、マスコミにしても全否定の一点張りで、生産的な議論はほとんどなかったと記憶している。それというのもこの事件からは、何か自分の陰部を見せられるような、他人事として割り切れない「不

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    2019年07月11日
  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

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    センセーショナリズへの批判を前提とした上であえてすべての立場からの論を開示していることに感謝の念さえ持った。犯人のすべてをさらすことは露悪ですらあり、グロテスク極まるが、この曝された文章、絵画、漫画こそが多くを語りかけてくる。むしろ被害者家族からの言説が幾重にもベールをかぶっているように感じられたことも重要。このベールをはがして向き合ったときに新たな希望が生まれるとさえ思う。

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    2019年03月29日
  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

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    映画「月」を観て、事件の背景を知りたくなり本書を手に取りました。
    障害者19名を殺害した痛ましい事件はどうして起こってしまったのか、特に、自身が過去にその施設で働き共に過ごしてきた人たちを殺そうと思ってしまったのか。本書では植松被告との面会や手紙のやり取りだけでなく、被害者家族の語りや重度障害を抱える方、精神科医などの幅広い視点から事件にアプローチしており、この事件における諸問題の数々が見えてきます。
    あの事件から14年経ちますが、事件の風化は早く、「見えないものはなあ事と同じ」空気を感じて怖くなります。

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    2025年08月24日
  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

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    あんまノンフィクション読まないけどこれはすごく誠実な本だと思った。海老原氏、最首氏のテキストが中間部にはさまれており、ちょっと泣きそうになった。精神科医としての分析はわたしが医療関係者だからかもしれないけど、どこかずっと上滑りに見える。結局は目の前にある仕事をやるしかなくて、誰かが誰かを理解するほんのわずかな一助にしか医療はなり得ない。ひとつだけ確かなことは、この本が「わからない」「解決できない」を、きちんとみんなのものにしようとしていることだと思った。意外とそういう本は少ない。

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    2025年06月30日
  • 街の書店が消えてゆく

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    雑誌の特集や記事をまとめた本を読むのはあまりないので新鮮だった。本屋って返品してるの知らなかった。本屋という空間が好きだからなにかの形で貢献したいと思った。棚に並んである本を見て買うものを決めるのが楽しいから。本は買うのも読むのも楽しい。
    あと数日で近所の本屋さんが閉店になってしまうのがやっぱり寂しい。昨日閉店間近の本屋で物色していた時、「なんで閉店しちゃうの?ここすっごくいいのに!なんでなんで?いいや、〜〜ぜんぶ買い占めよう」って言って本屋に入ってきた男の子の言葉が忘れられない。その子のお母さんも、閉店しちゃうの!?ってびっくりした声を出してて、この親子にとっても思い出のある時間と空間だった

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    2024年09月08日
  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

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    幻冬社文庫の『やまゆり園事件』を読んだときから、この事件についてもう少し踏み込んだ事を知りたいと思っていたので読みました。
    植松死刑囚の手記、書簡などに期待していたのですが、第3部の精神科医による分析が、1番求めていたものに近い内容でした。


    思想/妄想、司法/医療、監視/支援それぞれの狭間で、行き場をなくして事件へと突き進んだ死刑囚は、はたして特異な人間であったのか。
    生きる価値のある命とそうでない命が分たれるとするならば、自分はボーダーラインの内側に立っているだろうか、そんな不安は誰もが感じたことがあると思う。
    強さに憧れ、整形手術を受け、刺青を入れ、違法ドラックや大麻に溺れ、それでも足

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    2024年08月13日
  • 街の書店が消えてゆく

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    何とも痛ましい表紙だ。だが街の書店を支え、閉店を決めた人の気持ちはこんなものでは済まないだろう。書店は消えゆくものなのか。それとも形を変えて生き残るのか。リアル店舗の行く末を考えずにはいられない本です。まずは書店で本を買おう。

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    2024年07月12日
  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

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    2016年に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を風化させてはならないと、事件の背景を慎重に検証している。読んでいると常に「あなたはどう考えるか」を問い詰められているようで、非常に重たいテーマの本だった。この事件では被害者の名前を匿名で報じたことも含めて議論が起こり、日本の社会と人の心の在り方が問われている。

    被告が編集部等に充てた手紙の内容や書いた漫画など、「読むに堪えない内容」も、事件の真相を解明するためにあえて掲載されている。とは言え、関係者の感情や安易に被告に賛同するような風潮を作らせないように細かく配慮されている。

    著名な精神科医2人による対談の中で交わされた一節が刺さってきたの

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    2023年01月07日
  • 開けられたパンドラの箱 ――やまゆり園障害者殺傷事件

    Posted by ブクログ

    こいつの一言一言が胸糞悪い。面会時や手紙での丁寧な物言いのわざとらしさ…漫画はちゃんと読む気にもならんかった。
    でも、自主映画を作った人工呼吸器ユーザーの女性と、精神科医の斎藤環さんの項目は興味深かった。

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    2018年09月19日