井出明のレビュー一覧
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ダークツーリズムとは近代史の影の部分、とくに戦争と災害の現場となった土地を訪問する観光を指す。ダークツーリズムの核心は「悲しみの記憶を継承することで二度と悲劇を起こさせない」。戦国時代の戦場跡などは時代が古すぎるのでダークツーリズムには該当しない。
観光とは国の光を見ること。隠されがちな影に目を向けるのは悪趣味、不謹慎と思われがち。しかし破壊や死の歴史に思いを馳せることで記憶を継承する、語り継ぐ、生きる意味を再確認するなどポジティブな意味合いもある。強固な学びの意思なく、「物見遊山で行ってみたら、かなりためになった」程度でも十分ダークツーリズムたりうる。
本書では小樽、オホーツク、西表島、 -
Posted by ブクログ
「世界遺産」と聞きますと、日本人にとっては
世界に認められた観光資源、と考えてしまうの
が一般的と思います。
そして原爆ドームなどは、悲しい歴史ではあり
ますが、人類が後世に伝えるべき「負」の遺産
とも考えられます。
しかし「負の遺産」という言葉や概念は日本人
だけが持っていて、当のユネスコもそんな区分
けはしていないのです。
そもそも自然遺産ならともかく、人間の営みが
関係している産業や文化遺産には、見方を変え
ればいくらでも「負」の部分は存在するはずで
す。
それは2018年7月に世界遺産登録された「長崎
と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の内容
を詳しく見れば理解できると思いま -
Posted by ブクログ
よく人が集まったり(観光だったり)または実際、今現在も普通にそこに住んでいる場所
明るい観光地(と言っていいのか)の裏側の負の部分。
あぁこういうのが正にダークツーリズムなんだなと思った
自分が実際行ったことのある場所だったり観光地だったり、一見すれば分からないマイナスイメージだったり
そこにある悲しい歴史だったりを巡っている内容。
もっと読みたい!他にもぜひ!と思ってしまった。
先日東日本大震災で被害の大きかった石巻に初めて行き、現地に住んでいる友人の案内で様々な場所を巡ってきた。
仮に、では今後この本に登場するようなダークツーリズムな観光地として現地の経済を潤すこともできるのかもしれない。 -
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Posted by ブクログ
<目次>
第1章 世界遺産制度の概要とダークツーリズムの考え方
第2章 アウシュビッツとクラクフから考える
第3章 産業遺産の光と影
第4章 ダークツーリズムで巡る島
第5章 潜伏キリシタン関連遺産を観る眼
第6章 復興のデザイン
第7章 コロナ禍で考える世界遺産
附章 カリブの旅
<内容>
ダークツーリズムとは、その地その時代を代表する観光地ではなく、戦争や災害、奴隷や民族殲滅などの「負の遺産」を巡りながら、歴史や政治を考えていこうという観光の考え方。著者は、それを早くから訴えていた人。観光というと、美術作品(建築や庭園)を観たり、美しい自然を愛でたり、美味しいものを食べ -
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Posted by ブクログ
歴史の暗黒面を刻んだ観光地を訪れることを、「ダークツーリズム」と呼ぶのだそうです。普段、観光について取材する機会が多いにも関わらず、恥ずかしながら本書を手に取るまで知りませんでした。
もっとも、ダークツーリズムという言葉が世に出て来たのはごく最近のこと。何でも、世界的に人気になっている旅の一形態なのだそうです。本書は、日本のダークツーリズム研究の第一人者が、世界各地の「負の遺産」を訪ね、観光の新潮流の行方を展望したものです。
著者が訪れた場所を章ごとに順に紹介すると、小樽、オホーツク、西表島、熊本、長野、栃木・群馬、インドネシア、韓国・ベトナム―です。トップを飾った小樽でダークツーリズムとは意 -
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Posted by ブクログ
旅の目的は人それぞれだが、私個人、若い頃はハワイやヨーロッパの人気の観光地よりも、東南アジアの奥地やネパールなど、観光地として綺麗に便利に整備された場所よりも若いうちじゃないと行けないような体力を使う場所中心に旅していた。よってショッピングを楽しんだり豪華なホテルでラグジュアリーな時間を過ごす事は、当然環境もお金も遥かに到達しないような身分柄出来なかったし、しようとも思わなかった。
やがて生活に余裕が出ると、イタリアやスペインなどの南欧に加え、スウェーデンやデンマークなど北欧を回るようになり、言ってみれば日本とさほど都市的な発展度合いが変わらないが、食と人の見た目だけが海外風になっているような -
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