白川優子のレビュー一覧
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国境なき医師団の看護師として、世界各地の紛争地へ赴任した著者による自身の体験をまとめたノンフィクション。
国境なき医師団が活躍しているエリアと言われると、”現状は停戦協議などで戦闘自体は休止している”ようなイメージでした。シリア、南スーダン、アフガニスタン、ガザ地区などが本書に登場しますが、本書を読むとそのイメージは覆ります。
政府側・反政府側が内戦状態になっている国では、政府が入国を許可して活動をしていても、反政府側からは”敵対勢力(政府側)の手助けをしている”とみなされ、医療活動拠点に向けて銃撃や空爆が行われています。
本書冒頭で、敵対勢力のメンバーを捜索に来た民兵が侵入してくるシーンは -
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国境なき医師団に憧れて看護師になり、英語圏で海外経験を積んでから、実際にMSFから紛争地に派遣されるようになった著者。彼女の人生や、彼女が実際に紛争地で見たものや出会った人々について綴られる。
まっすぐな使命感と情熱、でも人間として当然ある安全を求める気持ち、平和なオフィスでの仕事のやりがい、恋人や家族に心配をかけたくない気持ちなど、相反する要素の中で揺れ動く気持ちについても言及されている。ジャーナリストにキャリアチェンジしようとしたことなども触れられていて、それでも看護師として紛争地に行くことを選び続けることに感銘を受ける。
イラク、シリア、イエメン、ガザなど様々な現場での活動について記 -
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瀬谷ルミ子さんの本を読んだときも思ったけど、自分も命の危険にさらされるところに行って、他の人の命を救う仕事をしている人には、頭が下がる。
私を含め、ほとんどの人はできないことだ。
著者がいくら有能で強い人であっても、凄まじいストレスであり、帰国するたび呼吸困難が一ヶ月ほど続く、とある。現地では気を張りつめているから、ほっとしたとたんに発症するのだろう。
そして、こうして実情を伝えてくれることで、私たちは世界を知ることができるし、どうしたら命が奪われない世界を作ることができるのか考えることができる。その程度しかできないのが申し訳ないけど。
安心して勉強できる日常を取り戻すために銃を取ったシリア -
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「為政者たちのさまざまな思惑によって国と国、民族と民族の衝突は止まることはありません」が「世界のどの紛争地でも、政治上は対立しているはずの市民同士が、実は心を通い合わせているという場面を何度も見てきました」(あとがき)という白川優子さん。
「平和を願う市民たちを支える一員であり続けたい」との生き様に大きく拍手する。
ガザで驚くほどの惨状を生み続けるイスラエルに心を寄せる日本の為政者よ。恥を知れ!
生命を奪われた人がたった5日で1万1千人を超え、4割の4500人が子どもだ。どうして止めずにいられるのか、どこまでアメリカの犬であり続けるのか。 -
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いつも聴いているpodcastの番組に著者の白川優子さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。
白川さんは現在「国境なき医師団(MSF)」日本事務局に採用担当として勤めていますが、18回の派遣経験を持つ看護師です。
以前、白川さんが著した「紛争地の看護師」を読んだのですが、そこで紹介されている世界各国の紛争地の実態に大いに驚きました。本書でも紛争現場の様々な立場の人々の素顔がリアルに描かれています。
同じ人間が生み出している悲惨で理不尽な人道危機。白川さんをはじめとして「国境なき医師団(MSF)」のみなさんの現地での献身的な医療支援活動には本当に頭が下がります。 -
購入済み
いとうせいこうによる「国境なき医師団」のルポルタージュ第2弾。比較的安全だった第1弾とは異なり、今回は素人が取材できる中ではおそらく最前線のガザを訪れる。そこは日々イスラエル軍の銃撃をうけた若者たちが運び込まれる野戦病院であり、リハビリテーションセンターであった。身体的にも精神的にも元には戻らない傷を負った人々は、それでも笑顔で取材に応えることで、そしていとう氏はそれを飾らない真摯な言葉で伝えることで、この世界の不当と人間の力を訴える。どんな政治的背景があろうとも、武器を持たない人々を一方的に傷つける「正義」は存在しないのだ。
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白川優子(1973年~)氏は、埼玉県生まれ、高校卒業後、坂戸鶴ヶ島医師会立看護専門学校定時制課程を経て、看護師資格を取り、地元の病院に勤務。その後、国境なき医師団(MSF)への参加を目指し、英語を習得するために、2004年にオーストラリア・カトリック大学看護学部へ留学、卒業後、ロイヤル・メルボルン病院で働き、2010年に帰国。帰国後すぐにMSFに参加登録をし、同年にスリランカに派遣されて以来、パキスタン、イエメン、シリア、南スーダン、フィリピン、ネパール、パレスチナ(ガザ)、イラク、アフガニスタンなど、紛争地を中心に10ヶ国/18回の緊急医療援助に従事。現在、MSF日本事務局で採用業務を担当し
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「紛争地の看護師」に感銘を受けて、本作も読んでみました。筆者の白川優子さんは「国境なき医師団(MSF)」の手術室看護師として主に諸外国の紛争地でもある、シリア、南スーザン、イエメン、パレスチナ等に派遣された経験を持っています。
前作との違いは、同じエピソードでもより住民目線で描かれています。白川優子さんのお人柄にも触れることができ、看護師だからできることがあると言っておられますが、私は彼女だからこその支援ができているのではないかと感じます。彼女が関わった患者さんやその家族、医療関係者…表情がやわらかいんですよね!掲載されている写真がカラーだからというのもあるけれど、それだけではないと思いま -
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「国境なき医師団」の手術室看護師として、20回近くにも及ぶ海外への派遣をつとめた白河優子さん、派遣先は、シリア、南スーザン、イエメン、パレスチナ…等の紛争地…。水も電気も充分に使えず、そもそもの医療提供体制が整っていない地ばかり…しかも、いつ空爆がはじまるか不安と恐怖を抱えながらの医療活動…もう何て言ったらいいのか、言葉もありません…。
この作品では医療活動の過酷さだけでなく、紛争地で生きる住民の様子も描かれています。高学歴なのに、女性であるがゆえに、仕事に就けず将来に不安を抱える若者、空爆のない夜間にそれとは知らず時限爆弾で遊び負傷した子どもたち、負傷してもなお早く退院して親の仇を打つ -
購入済み
まずは素直に読むべきか
イスラエルとパレスチナの問題 というのは、どちら側の視点で見てゆくか、政治的な立場抜きには語れない 描けない問題である。本書は原則 弱者 パレスチナ側の視点に立って書かれている。「片方の立場から」ということを意識して読めば、なかなかに参考になる本である。