八島游舷のレビュー一覧
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SF短編アンソロジー
今回が最後のGenesis、以後は紙魚の手帖に移行するそうです
海外作品ばかり読み耽っていた時期に、日本SFを読みたいと創刊号を手に取りました
以来ここで何人もの推し作家様と出会い、珠玉の作品の数々を拝読いたしております
自分の人生の一部であるこのアンソロジーが終了するのは少し寂しい気持ちです
深く感謝申し上げます
『風になるにはまだ』
第13回創元SF短編賞受賞作品
肉体を持たない“情報”として生きている女性が、現実の身体を1日借りるお話です
情報化の女性視点で久しぶりに生身を持った感覚は、まるで自分が体現しているように冴え、没入します
是非皆さま体感なさって下さい
タイトルの意味を知ったとき、切なさが込み上げました…新感覚の近未来SF
『応信せよ尊勝寺』
宇宙の森羅万象、物理ならぬ“佛理”により成り立ち、このエネルギーを超能力者の如く操る五百羅漢たちを描く未来SFスペースオペラ長編の序章
佛(ほとけ)の道に沿った独特な名称やアイテムに、背筋がゾクゾクするような期待感がとまりません(こういうのを待ってた)
長編が楽しみです!
『さよならも言えない』
地球から他星系へ植民し遥かなる時が過ぎ、環境に適した進化を辿った人類を描いた未来SF
外見、思想が大きく隔たった人間の社会を円滑に運営するため導入された“スコア”とは…?
真実を知った主人公のとった行動は、現実社会と重なって見え、やるせない
空木先生の世界観に魅了される作品です
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ネタバレどの話も設定が面白く、ワクワクしながら読めた。
◆天駆せよ法勝寺
最初から世界観に驚愕させられ、そのままの勢いで最後まで読み切ってしまった。最後、大人が大人であるがため苦渋の選択し、それでも前へ進まないといけないのに対して、主人公の意識が子供から大人へと変わる様子が危うげながらも、頼もしく清々し感じられた。世界観は奇抜だけど、共感できる。
◆家の外なくしてみた
扉や窓の外が家の中と繋がっている設定は四畳半神話大系と似ているかと思ったが、こちらはだいぶポップ。2人の会話が丁寧なのにテンポが良くて読みやすかった。
◆この光が落ちないように
これも世界観がすごい。
「感情は火と同じ。」と、感情の否定に向かい、すべて焼き払い必要なバックパックだけを持ってサクラに会いにいく様子は今までのウトウ博士との思い出も否定しているようで悲しい。この話が一番印象に残っている。
◆星から来た宴
主人公達が受け取ったものは、消えた文明が最後に放った音楽で、老師の「滅びた生物の遺言」という言葉が残る。文明はいつかは滅びるものなのかもしれないけれど、最後の声を受け取る人がいることはせめてもの救いになっていて欲しいと思った。
◆さよならも言えない
これは最後、悲しい。結局、ミドリと少女は真逆の人生を歩む。少女が去った後、今まで幸せで美しかった思い出と、残って冷めてしまったコーヒーの味が重なる。最後、ミドリが猫のブローチを自分でつけることで、自分の中で少女にさよならを言っている気がした。
◆風になるには
最後、ハコの「消えたくないな」という、心の底から無意識にふと漏れたようなセリフにどんな思いがあるのか考えると切なくなる。「死にたくないな」と私たちが思うのとは、違う何か複雑なものがあるのだと思う。
体の貸主と借主の分かりあおうとする気遣いがすれ違ったり、かみ合ったりするところも面白い。ハコの、「あたしの目」をとおして見た物の表現も活き活きしており、目に浮かぶようだった。 -
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ネタバレSFあまり読んでないな…と思ったけれど、初見の作家さんあまりいなくてびっくりでした。SFだと思って読んでなかったお話もあって、SFというジャンルの拡がりを感じます。暴論ですが、面白ければなんでも。
どれもこれも面白かったです。好みの問題で、好きなのと引っかからなかったのはあるけど、面白くないお話がない。このおふたりが選者だと間違いない…すごい。
1話目からオーシャン・クロニクルで嬉しい。これだけ読めていなかったので出会えて良かったです。
既読は「山の同窓会」「ディレイ・エフェクト」「天駆せよ法勝寺」。彩瀬まるさんのは幻想小説として読んでたけど、系譜とされてた「侍女の物語」「大きな鳥にさらわれないよう」「魚舟・獣舟」はどれもSFだ(3作とも既読)。既読でも別の目線から読めるの楽しいです。
「プロジェクト:シャーロック」「ホーリーアイアンメイデン」「親水性について」が好みでした。山尾悠子さん好きでこれは読めてなかった。。
「髪禍」はホラーとして。怖い。辿り着く結末にやられました。
酉島伝法さんのこのお話は読みやすかったです…もしかしたら既読かもしれない。。
「天駆せよ法勝寺」は安定のバカSF。今回もニヤニヤしました。半径三丈を涅槃に変えながら、「成佛がこれほど簡単であったとはな……」となりたいです。
2017年の日本SF界概況で読みたい本も増えました。 -
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ここしばらくいつものことながら、豊作だなあ!
上田早夕里「ルーシィ、月、星、太陽」
円城塔「Shadow.net」
小川哲「最後の不良」
我孫子武丸「プロジェクト・シャーロック」
酉島伝法「彗星狩り」
横田順彌「東京タワーの潜水夫」
眉村卓「逃亡老人」
綾瀬まる「山の同窓会」
伴名練「ホーリーアイアンメイデン」
加藤元治「鉱区A-11」
松崎有理「惑星Xの憂鬱」
新井素子「階段落ち人生」
小田雅久仁「髪禍」
筒井康隆「漸然山脈」
山尾悠子「親水性について」
宮内悠介「ディレイ・エフェクト」
そして 受賞作 八島游舷「天駆せよ法勝寺」
「プロジェクトシャーロック」「山の同窓会」「ホーリーアイアンメイデン」「逃亡老人」そして「ディレイ・エフェクト」が好きかな!「鉱区A-11」はまさかこのシリーズが収録されるとは、と驚いた。「階段落ち人生」は設定が好き。 -
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GENESIS(創元日本アンソロジー)シリーズが今回の五集目で最後になるという。いや~、実にもったいない、このシリーズとても気に入っていたのになぁ~。特に、表紙の絵(カシワイ作)が好きで毎回楽しみにしていた。まあ、社の方針だからしょうがないのかもしれないけど。私以外の人にはあまり好評ではなかったのだろうか。売り上げも伸びなかったのかな。
最近、帯の呼び込み文句が派手なものが多く、ちょっとこの傾向を懸念していたのだが、この本も首を傾げた。「日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編」って、ちょっと誇大広告でしょう。この6人のうち3人(宮澤・水見・空木)しか知らない。私も最近のSFを勉強してきたつもりだが、それでも勉強し足りないという事なのだろうか。他の3人は実際に牽引した、しているのだろうか、疑問です。しかも、水見稜なんてだいぶ古い世代だし、最近作品を執筆していたのだろうか。そして、裏の帯を見たら「ベテランから日本SFの未来を担う新鋭まで、6人の作家が集結!」だって。ベテランは水見稜のことだが、他の5人は日本SFの未来を担ってくれるのでしょうか?もし本当だったら今後も頑張って欲しいです。
6作品の中で一番高評価だったのが、空木春宵「さよならも言えない」だ。服飾局という設定が話の中核をなし、服装が物事の価値判断の中心となる設定。少々偏った設定というのがSFや伝奇小説にとっては都合が良い。近未来社会と言ってしまえば何でももっともらしく話を展開できる。つまりアイディアが一つありさえすれば、文章構成力がある作家であれば素晴らしい作品を大量生産できるという訳だ。作家と読者のwin-win関係は長く続くだろう。今後も空木春宵には期待している。
その次、二番目の評価は、水見稜「星から来た宴」。懐メロみたいな作品で、すんなり体の中に染み入っていった。昔だったら、幼稚な作品だなと思っていたかもしれなかったが、久々に読んだタイプの作品でもあるためが新鮮に感じた。逆に、この様な作品は現代の若者、現代のSFファンに受け入れられるのか少々疑問である。Z世代とか令和時代の意見を聞いてみたいものだ。もしかしたらコメントすら出ないのではないか。
三番目の評価は、笹原千波「風になるにはまだ」。さすが第13回創元SF短編賞を受賞されるだけのことはある。体の共有化という設定は目新しいものではないが、共有感覚が妙に生々しい、感覚を表現する言葉のセンスも小気味よいのには将来性を感じる。また作品を出すなら是非読んでみたい。 -
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SFを読もうキャンペーン2冊目。
「ホーリーアイアンメイデン」、「プロジェクト・シャーロック」、「鉱区A-11」が個人的ベスト3。初心者にも読みやすかった。物語の進行と共に、登場人物やロボ・AIに対する感情が変わっていきました。
「ルーシィ、月、星、太陽」は世界観が、「階段落ち人生」と「ディレイ・エフェクト」は設定が好き。
「髪禍」は気持ち悪さが後を引く。読み終わって数日経っても忘れられず、お腹と胸のあたりがぞわぞわする。きっと数年後の悪夢にも出てくる。
「漸然山脈」は車酔いしてる気分になった。さっぱり分からなかったけど、お酒を飲みながら読んだら楽しかったと思う。たぶん。 -
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ネタバレ創元SFの年刊日本SF傑作選シリーズ。2017年に発表されたSF作品を集めたアンソロジー。なぜかシリーズを逆順で読み始めたため、『おうむの夢と操り人形』に続いて2冊目。2冊読んで思ったけど、テーマ別アンソロジーと違って、年刊アンソロジーは当たりもハズレも混在してるけどそういうもんだなーと。この中からいくつか気に入った作品と出会えたらラッキーだと思うべきかなと。
上田早夕里「ルーシィ、月、星、太陽」 ★★★☆☆
* プルームの冬により、地上が住めなくなったため、人類が海中で暮らせるように意図的な変異種を作り、ルーシィと呼ばれる種族となった。地球が暖かくなって氷上に出てきたが、すでに旧人類は絶滅しており、人類が遺したプログラムだけが稼働し続けていた。
* 作者の想像力はなかなかのものだなと。
円城塔「Shadow.net」 ★★★★☆
* 『攻殻機動隊アンソロジー』掲載作品のため、既読。
小川哲「最後の不良」 ★★☆☆☆
* 小川哲だけども、設定も未来だけども、SFテイスト弱め。あのPenに寄稿したらしいので仕方ない。カルチャー雑誌『Eraser』(Penのパロディ)が廃刊になり、これまでのEraserの”アンチ・トレンド”トレンドに対するアンチ達が暴動を起こす、みたいな話。
我孫子武丸「プロジェクト・シャーロック」 ★★★★☆
* オープンソースで開発された事件を解決するための探偵AI、事件の状況を入力すると誰がどのようになぜ殺人を冒したか示唆してくれる。その開発者である木崎が殺害された。
* シャーロックに対抗するモリヤーティと呼ばれる完全犯罪AIが裏では開発されていた。それを利用した人は、別の殺人の実行犯として指名される。
酉島伝法「彗星狩り」 ★☆☆☆☆
* 宇宙空間で暮らす機械生命体の話。ちょっと何言ってるかわからなかった。
横田順彌「東京タワーの潜水夫」 ★★★☆☆
* よこたじゅんや、と読む。シャーロック・ホームズのパロディ、ルーフォック・オルメス (Holmés) のパスティーシュとのこと。短め。
彩瀬まる「山の同窓会」 ★★★☆☆
* 人は卵を産む、三回も産卵すれば人は死ぬが、種のために卵を産むことが幸せとされている。そんな中でニウラは"交尾"することに興味が持てない、という苦悩…みたいな奇妙な設定。やたら記憶に残る短編だった。
伴名練「ホーリーアイアンメイデン」 ★★★★☆
* 売れっ子ということでもないのに、年刊日本SF傑作選シリーズに選出される率が非常に高いという。人に抱きつくとその人のエネルギーを奪い、柔和な人格に変えてしまうという特殊能力を持つ姉、という新鮮なSF設定も良いし、「妹から姉に対する手紙」という形態なのも面白い。
加藤元浩「鉱区A-11」 ★★★☆☆
* 漫画。ロボットもの。アシモフのロボット三原則ネタ。
松崎有理「惑星Xの憂鬱」 ★★★☆☆
* コメディSF。冥王星探査機と、冥王星から名前を取ったメイ。メイは冥王星の国王を宣言し、その独立のため国連と五番勝負に挑む。なんやねんそれ。
新井素子「階段落ち人生」 ★★☆☆☆
* 何度も階段から落ちているがアンブレイカブルな女子大生と事故多発地帯に赤いモヤが見える超能力者の話。
* 新井素子のこのカジュアルな文体があまり得意ではないため低めの評価。
小田雅久仁「髪禍」 ★★★★★
* おだまさくに、と読む。ホラー系SF。髪の毛にまつわるカルト宗教の祭事にさくらとして参加した主人公を襲う怪奇な儀式。新しい設定だった。どうも宗教ものにはハマってしまう。
筒井康隆「漸然山脈」 ★☆☆☆☆
* ちょっと何言ってるかわからない。
山尾悠子「親水性について」 ★☆☆☆☆
* SF第二世代とも呼ばれる山尾悠子による短編。
* 頑張ったけどやっぱり何言ってるかわかんなかった。
宮内悠介「ディレイ・エフェクト」 ★★★★☆
* 77年前の東京が現代の東京に重なってしまう、というなかなか新しい設定。曽祖父母と一緒に暮らしているかのような状況。そして数ヶ月後には東京大空襲がやってくることを「知っている」中で、職場の描写や夫婦関係のこじれなど色んな要素が出てきながらも、ラストは予想外な方向へ。
八島游舷「天駆せよ法勝寺」 ★★★★★
* やしまゆうげん、と読む。読み始めた瞬間からこれは星5つだなと。仏教が高度な科学(佛理学)に進化していて、仏閣そのものが宇宙船化してて、宇宙に飛び立つという。
* 毎回、この創元SF短編賞受賞作を読むのが楽しみ。